日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる(2009年版)

2010/11/18 12:20

先に【8月の時点で正社員労働力は均等、パートタイムは不足気味(2010年8月)】で8月時点の労働経済動向調査の精査をした際に、男女別の失業率のチェックを入れていたところ、以前、日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化した記事でデータを抽出・グラフを生成していたことを思い出した。しかもこのデータの更新版がすでに【労働力調査(詳細集計) 平成21年平均(速報)結果】として、今年の2月22日に公開されていることが分かった。来年の2月には2010年分のデータが出るはずだが、今回せっかく気がついたのだから、データ更新も合わせてグラフを再構築してみることにした。

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データの取得元は【労働力調査(詳細集計) 平成21年平均(速報)結果】中の「第14表 教育,年齢階級別完全失業者数(卒業者)」。さらに同様の統計データについて保全されている2002年分平均までをさかのぼり(【2005年発表分】など)、データをピックアップした。まずは全体の変移。

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)

「完全失業率」は完全失業者÷労働力人口×100で求められ、労働力人口は従業者、休業者、完全失業者を合わせたもの。非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)が除外されているなどの問題もあるが、今回の考察とは別の話。教育の別なく失業率が上昇しているのが確認できる。特に「大学・大学院」の失業率が、2008年平均では他とは逆行する形で減少していたにも関わらず、2009年平均では上昇している点は要注目な動きといえる。

続いて男女別にそれぞれ、学歴別のグラフを生成する。

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男性)

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(女性)

大まかに分けて失業率が「小学-高卒」「全体値」「短大・高専」「大学・大学院」の順に低下しているのは全体値と変わらず。ただし、

・失業率は全体的に男性の方が高い(後述)。
・学歴の差による失業率の違いは男性の方が大きい。
・男性では2006年以降、女性では2007年以降、「短大・高専」と全体値との差異がほとんどなくなっている(≒失業率が上昇している)。2002-2003年にも近い現象が見られ、景気が悪化すると「短大・高専」に大きなしわ寄せが出ている可能性がある。ただし2009年においては再び差が開く傾向がある(もっともこれは「小学-高卒」の上昇率があまりにも急なため、全体値にもしわ寄せが行ったがゆえのものだろう)
・他の階層が2006年以降失業率を高めつつある中で、男性の「大学・大学院」のみが失業率を下げてい”た”。しかし2009年にはその例外も失われている。

などの傾向が見られる。一言で表現するのなら、2009年においてはこれまでの特徴、傾向を多方面で打ち破る形で状況が悪化している。一体去年、失業と関連する事柄で何が起きたのか。2010年の値が出ればきっとはっかりと分かるはずだ。

男女の差
「失業率は全体的に男性の方が高い」について、全体及び「大学・大学院」のみを男女それぞれで抽出してグラフを作り直したのが次の図。

教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)

教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)

男女で比べると男性の方が失業率は全般的に高い。これは「完全失業率」の計算方法(完全失業者÷労働力人口×100で求められ、労働力人口は従業者、休業者、完全失業者を合わせたもの。非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)は含まれていない)や、女性の雇用形態としてパートタイマー(派遣社員を含む)が増加しているが大きく作用しているものと思われる(【1割強は非正規社員やその希望者…若年層の非正規従業員やその希望者の推移をグラフ化してみる】)。また、2006年に一時的な逆転現象が起きているが、この年に該当する関連事項といえば「改正・男女雇用機会均等法」の成立(施行は2007年)しかなく、これが影響しているものと思われる。

繰り返しになるが、これらのデータはあくまでも数字的に「学歴が高い方が失業率が低い傾向にある」という失業率の一側面を示しただけであり、「高学歴万能主義」の肯定・否定はまた別問題である。直上で触れている非正規雇用者の割合や非労働者人口のカウントの仕方などについて、他の問題の検証に用いる際には考慮の必要があることを付け加えておく。

ちなみに今件データに年齢を絡め、クロスオーバー・立体化したものはすでに【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2009年版)】で記事化している。こちらも合わせて目を通されると、理解が深まるだろう。

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