リワード広告を図にしてみる

2010/11/17 12:10

広告先に【資料請求でゲームアイテムゲット…リワード広告の現状をドリコムが報告】【ドリコム(3793)】が提供している「poncan」というリワード広告(報酬広告)サービスについて記事にした。この「リワード広告」という仕組み、自分が普段から遊んでいるソーシャルゲームでも最近導入され「これは面白い仕組みだな」と考えていたところに、このリリースが伝えられたので、まさに「渡りに船」的なものだった。今回はその記事がきっかけになるが、昨今ソーシャルゲーム周りで良く見かけるようになった「リワード広告」について、自分自身の覚え書き的な意味合いも含め、図にしてみることにした。

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インターネット上の広告の仕組みとしては「アフィリエイト(アソシエイツ)」がよく知られている。ブログなどに広告を貼り、その広告経由で買物や資料請求が行われると、成功報酬として企業側からその広告を貼った側に報酬が支払われる仕組み。いわばバナー一つひとつが保険代理店のようなものだ。

「リワード広告」もそれにほぼ等しいが、大きく異なるのが「報酬」の部分。通常の広告ではクリックしたり買物をした利用者自身には「新たな情報を取得したり、買物をする機会を得た」などの間接的な便益はあるが、直接的には何の報酬も与えられない。一方で「リワード広告」では広告に対して何らかのアクションを起こした利用者自身にも、報酬が与えられることになる。その報酬が「ゲーム内での特典」。

↑ 通常広告の場合
↑ 通常広告の場合

↑ リワード広告の場合(データ管理がしっかりしていれば(4)の(3)が順序が逆、さらには(2)の直後に(4)が行われる場合もある)
↑ リワード広告の場合(データ管理がしっかりしていれば(4)の(3)が順序が逆、さらには(2)の直後に(4)が行われる場合もある)

通常広告ではゲーム周辺画面などに表示される広告に目が留まり、興味があればそこから企業のサイトなどに移行し、買物をする場合がある。アクションゲームで高性能のジョイスティック、歴史ゲームで最新号の歴史関連の月刊誌などが掲載されれば、プレイヤーの興味も高まるだろうし、より高いメリットを供給できる。しかし直接的なメリットは与えられない(時には「広告経由で買うと割引」というものもあり、その場合は便益を得られることになる)。

リワード広告の場合は直接的な便益がプレイヤーに与えられる。そのほとんどはゲーム内での特典。通常は現金でないと購入できない「特殊なゲーム内通貨」をもらえたり、レアなアイテムを手に入れられる。「特殊なゲーム内通貨」を購入できない人(クレジットカード決済ができない人)にとっては、数少ない取得手段となるため、広告への注力も高いものとなる。

当然、ゲームへの注力が高いほど「リワード広告」への関心も高いものとなる。広告の利用者が増えればゲーム運営会社が広告主から受け取れる対価も増え、有力な収入源になる。直接課金をしたりアイテムを販売する以外の収入源が確保できるわけだ。直接課金よりもプレイヤーにとってのハードルが低いため、「プレイヤーを熱中させられる」「ずっと遊んでいたいと思わせる」(≒質の高い)ゲーム環境を提供し続けていれば、「リワード広告」による売上は、企業にとって力強いものとなる。しかもゲーム運営会社がプレイヤーに支払う対価はゲーム内の特典。直接的な費用はゼロに等しい(何しろデータの変更だけなのだから)。

問題点も……
良いこと尽くめに見える「リワード広告」だが、先行して普及している欧米でも多発しているように、問題が無いわけではない。まずは不正な登録やスパム行為。登録が簡単なリワード広告を見つけ出し、「登録」「ゲーム内特典の確保」を繰り返し、荒稼ぎする手立て。似たような事例は懸賞系・アンケート系のポータルサイトでも多発しているのだが、ソーシャルゲーム系のリワード広告の場合、報酬を得るアカウントは同一のため、発覚がしやすい(ダミーアカウントを山ほどつくり、それぞれにリワード広告で特典を取得させてメインのアカウントに譲渡……を繰り返すという手もあるが、手間がかかり過ぎるので非現実的)。

↑ 「poncan」の某広告の場合、「※虚偽・いたずら・重複ではない申込みである事!」の表記が確認できる。懸賞系サイトにおける申込ページでは良く見かける表記
↑ 「poncan」の某広告の場合、「※虚偽・いたずら・重複ではない申込みである事!」の表記が確認できる。懸賞系サイトにおける申込ページでは良く見かける表記

次いで、広告を利用した人の広告対象へのモチベーションの違いがある。【四人に三人は「我が身恋しや」な招待理由】などでも触れているが、通常広告を見てその広告内容に気が向き利用した人と、「ゲーム内特典が得られる」リワード広告経由で利用した人とでは、広告内容に対する思惑が大きく異なると考えてよい。

↑ 通常広告・リワード広告それぞれにおける、広告利用者の思惑(概念)
↑ 通常広告・リワード広告それぞれにおける、広告利用者の思惑(概念)

もちろんリワード広告利用者にも、通常広告利用者同様にその商品に純粋な興味関心を抱いた人は居る。しかし比率的には図にあるように、「ゲーム内特典が欲しい」という気持ちが多い人が多数に及ぶと考えてほぼ間違いない。当然、広告主の立場から見ると、同じ人数が集まっても、リワード広告経由の方が広告成果が低いという事例は多々あるはず。

例えば食品の新商品のサンプルで「腰が抜けるほど美味しくて一度食べたら止められない。まずは一度でも口にしてもらうことが大切」という類のものなら、商品に対する当初の関心度が低くても構わないので、リワード広告がその腕前を十分に振るえることになる。一方で「カタログ請求はもちろんだけど、自動車を買ってもらわねば意味がないんだけどな」といった自動車ディーラーの場合は、カタログばかり請求されて自動車の実売につながる成果率がグンと下がり、リワード広告の効果が認められないことになる。

お金さらにこれはゲームの仕様次第だが、一つのソーシャルゲームは閉じた経済システムの中で運営されている。よほど下手な運営をしない限りは、それなりに需要と供給のバランス・通貨価値の均等が取れた形でゲームの進行が日々おこなわれる。その環境下に、大量に外部からリワード広告の報酬として通貨が入りこんできた場合、通貨バランスが崩れ、インフレが生じてしまうことになる(同一市場内に想定以上の通貨が入れば、相対的にモノの価格が上がるのは当然の話)。

古い話で、かつ広告経由ではなく不正行為によるものだが、過去に【『ファイナルファンタジーXI』内で大規模不正行為によるインフレ発生。「当局」が対処へ】で例示したように、過剰の通貨の流入でゲームそのものがインフレ化してしまった現象が「公式の形」で明らかにされている。何しろリワード広告によるプレイヤーへの対価は、「プリンティング・マネー」(お金を印刷所で刷る)ような行為であるだけに、細心の注意が求められる。



以上ざっとではあるが、「リワード広告」についてまとめてみた。厳密にはやや趣向が異なるが、いわゆる「アマゾンキャンペーン」(アマゾンで指定された商品を指定された期間内の購入し、購入確認時のコードをキャンペーンサイトに入力すると、壁紙データやオマケ書籍のPDFファイルが贈られてくるというもの)のようなものともいえる。

ユーザーへの請求力の強い、質の良いゲームほど効果が高くなる可能性があるだけに、今後のネットワーク系ゲームにおいてはますます注目されるシステムといえる。同時に今回挙げたような問題点の解決のため、さらに工夫をしていかねばならないことはいうまでもない。

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