一人暮らしの女性の決断か…男女別単身世帯の分譲マンション比率(最新)

2020/02/27 05:33

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2020-0218先行記事【単身世帯の居住スタイル】において、総務省統計局の住宅に関する定点調査「住宅・土地統計調査」の公開値を基に、単身世帯における住居スタイルの実情(持家か借家か、一戸建てか共同住宅かの違い)を確認した。その際に「持家・一戸建て」(要は分譲マンションの類)該当者率の特異な値の上昇について触れた。今回はその部分を男女別の動向から詳しく見ていくことにする。

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今調査の調査要項は先行掲載した記事【住宅の空き家率は13.6%で過去最高に(最新)】を参考のこと。

「住宅・土地統計調査」の公開値を基に再計算を行い、単身世帯における居住スタイルに関して、共同住宅か一戸建てかの細分化をした結果が次のグラフ。持家は一戸建てが、借家は共同住宅がメインであることが分かる。前者は個別の建売一戸建て住宅、後者はマンションやアパートをイメージすれば容易に理解できよう。

↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、年齢階層別)(2018年)(再録)
↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、年齢階層別)(2018年)(再録)

「持家・共同住宅」「借家・一戸建て」も単身世帯の居住スタイルとしている人の存在は確認はできるが、あくまでも少数派。また、「持家・共同住宅」が40代から50代前半でややふくらんでいるのも見て取れる。

そこでこのふくらみの部分について、男女別に確認をしたのが次以降のグラフ。まずは男女別に区分した上でグラフを再作成する。

↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、男性、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、年齢階層別)(2018年)
↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、男性、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、年齢階層別)(2018年)

↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、女性、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、年齢階層別)(2018年)
↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、女性、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、年齢階層別)(2018年)

グラフの大まかな形状は男女であまり違いは無いが、あきらかに「持家・共同住宅」の値が女性では中年層で大きく伸びているのが分かる。そこで「持家・共同住宅」の値のみを抽出して男女の違いが分かりやすいように作成したのが次のグラフ。

↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、持家・共同住宅、男女別・年齢階層別)(2018年)
↑ 住宅の建て方別住宅の所有関係(単身世帯、年齢不詳者・住宅関係不詳者・持家や借家以外を除いて計算、持家・共同住宅、男女別・年齢階層別)(2018年)

明らかな差異が確認できる。40代前半から男女で差が大きくなり、40代後半ではほぼ倍もの違いを示す。60代前半以降では男女の差は縮まっていくが、女性の方が比率が高いことに違いはない。

単身世帯の女性の居住スタイルとして「持家・共同住宅」が多い理由はいくつか考えられる。【自分の歳で結婚している人は何%? 結婚状況など】でも解説したように、男性よりも女性の方が一般的には長生きするため、夫と死別し、一人妻が自宅に残されるケース。女性の働き盛りの独身率が上昇しており、これに伴い「自分の城」として分譲マンションを買う事例が増えている結果。これを「おひとりさま」と称することもあるそうだが、新築・中古を問わず30-40代で半ば結婚をあきらめ、生涯の根城として家・マンションを買う事例が増えているとの話もある。さらに防犯上の都合から、女性が一人で住む場所として一戸建ては不安が大きく、消去法として共同住宅を選択せざるを得ないとの理由もある。

以前【一人暮らしの平均年収や貯蓄高】で一人暮らしの男女別収入と貯蓄額を比較したが、収入は男性の方が多いものの、貯蓄は40代以外は女性の方が大きい場合が多々見られる。

↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、男性)(万円)(2014年)(再録)
↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、男性)(万円)(2014年)(再録)

↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、女性)(万円)(2014年)(再録)(再録)
↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、女性)(万円)(2014年)(再録)

一人暮らしで生涯の根城を手に入れる想いは男女とも変わらないはずであるが、女性の方がその傾向が強いのは、お金を貯めることに長けているのも一因としてあるのだろう。

今後はこの「分譲マンションに根城を構えた、おひとりさまな女性」に向けた、あるいはそれに憧れる女性へのビジネス的アプローチも本格的なものとなるかもしれない。


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