「ゼロ円」が6割強…音楽視聴にかける金額

2010/11/01 06:46

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お金マイボイスコムは2010年10月25日、音楽ダウンロードの利用に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、音楽CDなどパッケージ類の購入、曲のダウンロードも合わせた、音楽視聴のためにかける金額として「1円も使っていない」とする回答者が6割を超えていることが分かった。500円未満の人も2割に達している。経年データを見る限り、音楽にかける金額は少しずつ減少する傾向が見受けられる(【発表リリース】)。


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今調査は2010年10月1日から5日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万1954人。男女比は48対52で、年齢階層比は10代2%・20代12%・30代31%・40代31%・50歳以上24%。

個人個人の趣味趣向や利用機器によって異なるものの、業界全体としてパッケージCDやDVDの売り上げは減少する傾向にある。その分、着メロやモバイル端末による音楽ダウンロードデータの売れ行きは伸びているものの、音楽業界全体の売上は不景気感も後押しする形で、減少しつつあるのが現状。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-)
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-)(【音楽配信も業界を支えるには至らず…音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上(2009年版)】から再録)

今調査母体でもその傾向がうかがえる結果が出ている。パッケージ・デジタルを合わせた、音楽視聴にかける1か月当たりの金額を聞いたものだが、年々減少傾向にあるのがひと目で分かる。

↑ 音楽視聴のためにかけるお金(月ベース)
↑ 音楽視聴のためにかけるお金(月ベース)

特に気になるのは、500円以上の区分が継続して減少、500円未満は前回まで増加をしていたものの、今回になって減少、そして1円も使わない人が漸増傾向にあること。少額区分が増加しているのなら「単価が安いものに移行した」で済むのだが、「ゼロ」が増加しているところを見ると、「無料サービスのみで楽しむ」人が増えた事を意味する。1円でも使う人と1円も使わない人、差は1円だが(実際には1円で買えるCDも音楽データも無いが)、その差は果てしなく大きい。

「音楽にお金を使わない」という傾向は、何もパッケージソフトを買わないだけでなく、音楽データのダウンロードでも大勢を占めている。次のグラフは音楽のダウンロード経験者(調査母体全体の54.3%)に対し、1か月あたりどの程度のお金を使っているのかを聞いたもの。1円も使っていない人が過半数に達している。

↑ この1年以内で、音楽のダウンロードに1か月あたりどの程度のお金を使っているか(ダウンロード経験者限定)
↑ この1年以内で、音楽のダウンロードに1か月あたりどの程度のお金を使っているか(ダウンロード経験者限定)

他方で「この1年以内はダウンロードしたことがない(=それ以前にダウンロードしたきり)」は4.9%しかいないので、「無回答」を合わせた11.0%”以外”はこの1年間で音楽データをダウンロードした計算になる。つまり「ダウンロードしなかったからゼロ円」ではなく、「ゼロ円の音楽データのみをダウンロードした」人が相当数いるということだ。



いくらダウンロード回数のカウントが上がっても、タダの曲(プロモーション、あるいはサービスとしての無料配布や試聴レベルのもの)ばかりでは、ビジネスは成り立ちにくい。うまい仕組みが施してあれば話は別だが、たいていはゼロ円のものはゼロ円のまま。

今調査結果からだけでは「無料のも有料のも大して変わらないから」「お金をかけてまで聴きたいと思わせる曲がない」「お金そのものがないから有料のは聴けない」のどの理由によるもの(が多いのか)までは分からない。しかし曲の提供側は、なぜユーザーがお金を支払わずに曲を聴く傾向を強めているのか、本気で考え、分析する必要があると言えよう。


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