【更新】2009年は大きくダウン…企業が払う新聞広告費と広告費相場動向(2010年発表)

2010/10/28 12:05

先に【新聞社従業員の部門別推移をグラフ化してみる】で日本新聞協会が提示しているデータを元に、新聞の広告掲載「量」と、新聞そのものの面積に対する広告の掲載率の推移を斜め見した。新聞は記録を綴り公知し蓄積するのが存在意義であり、自らの情報についても積極的に開示することで、「隗より始めよ」を言葉通り実践している。この点は積極的に賛美されるべき点である。今回は公開データを元に、企業などが新聞に広告を掲載するために使う広告費と、そこから導き出せる概算的な広告費の推移をグラフ化してみることにする。

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データ取得元は【新聞広告費、新聞広告量の推移】。先の記事ではここから新聞広告量と新聞総段数を取得し、総段数から広告量を差し引いて「記事量」を算出した。なお「段」とは言葉通り、新聞の文字列を構成する横線の段組み。左端から右端までの1ライン分で1段として構成単位をカウントする。

↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)
↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)(再録)

そして新聞の広告費を抽出してグラフ化。これは「企業など『新聞に広告を出したい』と考えている団体が、広告出稿のために支出する広告費」を意味する。イコール「新聞業界の売上」ではないので注意を要する。広告を出す企業と新聞社が直接やりとりすることは滅多になく、大抵は複数の広告代理店などが仲介を行い、仲介手数料などが差し引かれるからだ(今の点については姉妹サイトの【新聞の広告出稿マージンって3割くらいなのかな?】【広告業界や代理店の仕組みが分かるステキなレジュメ】あたりでちらりと触れている)。

↑ 新聞広告費(億円)
↑ 新聞広告費(億円)

いわゆる「ITバブル崩壊」時の2002年に大きな減少が確認でき、その後の景気回復でも広告費は元に戻っていない。これは先の記事における、広告掲載率の変化と同じ現象。そして2007年以降急激に減少傾向を見せているのも、金融危機・金融不況によるものであり、これも掲載率変化と同じ。

さて、企業の広告費と、実際に掲載される広告の段数が分かっているのだから、両方を合わせることで「1段あたりの概算広告費」が算出できる。もちろん直上で触れているように仲介手数料の問題もある。【「私は、ここにいる」アニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』第二期制作正式発表】での事例にもあるように複数段・1面丸ごとの場合は別料金となるし、場所によっても多種多様な料金体系が設けられている。居酒屋で1テーブルを予約するのは簡単でも、半日全部テーブルを貸切にするのは難しいのと同じ理屈(ちなみにアニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』の第二期制作発表の1ページ広告には1000万円単位の広告費がかかったとの話)。あくまでも「企業側が支払う金額として」「全部平均で均した場合の」「概算値」の推移として見てほしい。

↑ 1段あたり概算広告費
↑ 1段あたり概算広告費

恐らくはITバブル期の絶好期の際に少々単価が上がっているが、それ以外は漸減している。そして広告掲載率や広告掲載費の減り方と同様に、「ITバブル崩壊時に大きく減少」「金融危機・不況時も大きく減少」という傾向が確認できる。繰り返しになるが、あくまでも概算値ではあるものの、10年強で新聞広告の平均単価は3割強もの減少をしていることになる。



広告単価の相場が下がるのは、需要と供給の関係において供給が過多になったからに他ならない。つまり「場所は一杯ある」「広告を出す側が少なくなった」ということ。「現在の価格なら出すつもりは無いけれども、その値段まで割り引いて下げるのなら出してもいいかな」という広告主の期待に応え、広告を出稿してもらうため、相場を下げざるを得ないわけだ(あるいは自社広告で埋めるというのも一つの手。直接広告費は入らないが、間接的に自社商品の認知度を高め、間接的な業績アップにつながる)。

新聞とお金原因を考えてみると、インターネットをはじめとする新しいメディアの普及で、広告出稿場所が増えたのが一因。そして広告を出す側が費用対効果を考え、より効果の高いメディアに重点を置くようになったのも少なからぬ要因といえる。さらに新聞の質的な問題、読者数の減少によるメディア力の減退、そして【新聞のいわゆる「押し紙」問題を図にしてみる】などで指摘した問題もあわせ、複数の点が思い当たる。

これまでの流れを継続するのなら、広告単価はますます下がり、そして元には戻らない。新聞が記事を介して常に外部に向けて発している「改革の気概」が新聞自身に求められていると表現しても間違いではあるまい。

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