【更新】景気が回復しても広告は回復しない…新聞の広告掲載「量」と「率」動向(2010年発表)

2010/10/27 12:05

先に【新聞社従業員の部門別推移をグラフ化してみる】で日本新聞協会が提示しているデータを元に、新聞業界の従業員数推移を精査した。新聞は記録を綴り公知し蓄積するのを存在意義としていることもあり、自らの情報についても積極的に開示することで、「隗より始めよ」を言葉通り実践している。この点は積極的に賛美されるべき点といえる。今回は公開データの中から、新聞の広告掲載「量」と、掲載文面全体における広告の「率」についてグラフ化し、昨今の新聞事情を推し量ることにした。

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データ取得元は【新聞広告費、新聞広告量の推移】。ここから新聞広告量と新聞総段数を取得。総段数から広告量を差し引いて「記事量」を算出する。厳密には広告以外がすべて記事ではないのだが、誤差の範囲に収まるレベルなのでここではまとめて「記事」としておく。なお「段」とは言葉通り、新聞の文字列を構成する横線の段組み。左端から右端までの1ライン分で1段として構成単位をカウントする。

↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)
↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)

総段数は数年前まで増加の一途をたどっているが、広告量は横ばいか漸減を見せている。明らかに大きな動きが確認できるのは2007年以降。記事総段数も多少は減っているものの、それ以上にダイナミックなまでの総広告量の減少が見て取れる。

そもそも論としてこの時期には新聞発行・購入部数の減退に歯止めをかけるため、文字数の大型化・段数の減少化、いわゆる「見やすくするためのリニューアル」を図っており、それが多少なりとも影響している。記事総段数の減少はそれによるものだろう。しかし総広告量の減少はそれだけでは説明が出来ない。この数年で15%内外の広告「量」の減少である。

新聞の総段数の減り具合以上のスピードで広告の段数量が減っているのだから、当然「新聞全体に占める広告の総段数率」は減少していく。

↑ 新聞広告掲載率推移(段計算)
↑ 新聞広告掲載率推移(段計算)

総段数ではさほど変化がないように見えていた広告掲載率も、実はこの10年強の間少しずつ減少していたこと、直近の数年では下げ方がキツいものになっていることが分かる。ただし、2000年前後の数字を見ると、前回の不景気(俗に言うITバブル崩壊、インターネットバブル崩壊時)にも1年で1ポイント強の下落率が確認できており、「不況のたびに広告掲載率が下がり、景気が回復しても広告は回復しない」という新聞の状況が把握できる。そしてこの数年は、金融不況により広告の掲載率が急降下状態にあるわけだ。



マイナス後ほど記事をあらためて解説・分析することになるが、新聞の広告掲載「量」と「率」の減少だけでなく、実は概算ではあるものの単位分量あたりの広告「料」減少も確認できる。毎月定期的に報告している経済産業省の広告費推移(直近では【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2010年10月発表分)】)を見ても前年同月比マイナスの域をずっと推移していることからも分かるように、新聞の広告料は減少を続けているのは確かな話。

広告単価を下げても出稿「量」の減少にはどめがかからず、広告掲載率も減少の一途をたどっている。新聞というメディアが必要不可欠なものに違いはないが、色々なメディア全体の中での立ち位置が変わりつつあることは間違いない。そしてそれと同時に、新聞というシステムそのものだけでなく、新聞を構成するコンテンツ自身とそれを創る「中の人達」への精査、あるいは自己改革を求める声が、広告周りの動きに現れているとする考え方もありではないだろうか。

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