卒業後1年の間に正社員になれなかった人、最大の理由は「就活したけど不採用」(2014年)(最新)

2014/10/01 14:45

非正(規)社員として働いている人がその立場にいる理由としては、自らその立ち位置を望んだ人もいれば、病気やけがでフルタイムの就業が難しかった人、また正(規)社員としての就職を望んだが果たせなかった人など、多種多様なパターンがある。そこで厚生労働省が2014年9月25日に発表した、2013年時点における若年層(15-34歳)の雇用実態を調査した結果「平成25年若年者雇用実態調査結果の概況」を基に、現在働いている若年層のうち、卒業してから1年の間は非正社員として働いていた人が、どのような理由でその立ち位置にいたのを確認していくことにする(【発表リリース:平成25年若年者雇用実態調査の概況】)。

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今調査の調査要件、各種用語の意味については先行記事【若年労働者の割合などをグラフ化してみる】を参考のこと。

今調査対象母集団のうち最後の学校を卒業してから1年間において(「新卒」扱いされる期間)、正社員として勤務した人は69.7%、非正社員としては24.8%の人が該当する。卒業後1年間は無職だった人も4.8%確認できる。調査対象母集団は現在就業している人なので、その無職期間の後に就業を果たしたことになる。

↑ 最終学校卒業から1年間の状況(2013年)(在学していない若年労働者)
↑ 最終学校卒業から1年間の状況(2013年)(在学していない若年労働者)

そこでその24.8%の人に、非正社員として就職した理由を1つ挙げてもらったところ、もっとも多かった回答は「正社員求人に応募するも採用されなかった」だった。次いで「自分の希望する企業で正社員求人が無かった」「元々正社員を希望していなかった」が続いている。

↑ 非正社員として就職した理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した若年労働者の割合」(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)
↑ 非正社員として就職した理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した若年労働者の割合」(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)

「元々正社員を希望していなかった」とは、あきらめた・何か別の目的があって身動きしやすい非正社員の道を選んだ・非正社員の方が自分のやろうとしている仕事に合っているからなど、さまざまな理由が考えられるため、一概に「やる気が無い」と断じることはできない。いずれにせよ、働き人としての立ち位置としては非正社員よりはるかに優遇される正社員にならなかった理由は多種多様。そしてそれぞれの理由の割合の多い少ないが、現在の就労市場の状況を表しているともいえる。

「就職活動はした」「しかし色々な事情で結局正社員にはならなかった」項目を合わせると27.4+16.7+9.0=53.1%。終身雇用制が形骸化しつつはあるが正社員として雇用された以上、長期間同一企業に就労をすることになる企業へのアプローチなのだから、慎重に選ぶのは当たり前の話ではある。とはいえ、その結果として「正社員になれなかった・ならなかった人」の5割強が「正社員としての就活に失敗した結果」というのは少々辛いデータと見ることもできる。

これを各階層別にみると、それぞれの属性別の事情が見えてくる。

↑ 性・最終卒業学校、非正社員として就職した理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した若年労働者の割合」(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)
↑ 性・最終卒業学校、非正社員として就職した理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した若年労働者の割合」(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)

男女の差異はほとんど無い。やや女性の方が「正社員求人に応募するも採用されず」が多く、男性が「資格・技能取得のために勉強したかった」が多い程度。大きな違いが見られるのは最終学歴別の部分。大まかに箇条書きにすると、

・高学歴ほど「就職活動はしたが採用されなかった」割合が増える。

・大学院に限ると「自分の希望する企業で正社員求人が無かった」が大きく増加する。大学院卒レベルの技能を持つ人材を受け入れる企業で求人枠が少ないことがうかがえる。また同時に「資格・技能取得のために勉強したかった」も最も多く、大学院卒はさらなる高みを求める人が多いようだ。

・高学歴ほど「在学中から正社員として仕事につく気が無かった」が減る。

・「家庭の事情」「在学中から正社員として仕事につく気が無かった」は中学や高校、専修学校に多い。特に前者は中学で1/3強に達する。

・内定はもらったものの条件のミスマッチで正社員をあきらめるのは中学から高専・短大までほぼ一定の1割前後。それなりに正社員としての就職口はあること、そして雇用側と被雇用側の意志疎通の難しさが垣間見られる。

などが挙げられる。

中学、高校までは、家庭の事情による正社員就業を果たせない場合も多い。具体的にどのような事情までかは資料には無いものの、厳しい状態に置かれていたことが想像できる。



冒頭部分で今件項目にて「最後の学校を卒業してから1年間において(「新卒」扱いされる期間)」と表記を用いたが、新卒者の就職環境の厳しさを受けて雇用対策法第7条・第9条に基づく厚生労働大臣による「青少年雇用機会確保指針」(青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針)が改正され、卒業してから3年以内の既卒者を新卒扱いすることを各企業に要請している(【 新卒者・既卒者の皆様、事業主の皆様へ(厚生労働省)】)。罰則規定はないものの、「事業主の皆様には、本指針の趣旨をご理解いただき、最大限尊重していただく必要があります」と関連文面には記載されており、企業側としては極力遵守することが求められている。

今件データを見るに、正社員としての就業を希望していたが果たせなかった、特に「応募したが採用されず」「希望企業で正社員求人が無い」の回答率が高い高学歴の非正社員にとっては、3年以内の新卒扱いの指針は、願ってもないことかもしれない。一方で「就職先の受け入れ許容量は変わらない」のならば、「本来の新卒は同年齢以外に1年前・2年前の新卒者が『新卒枠』のライバルになる」をも意味する。雇用情勢の改善には、雇用口の拡大(=企業の経営状態の改善、景気上昇)が何より欠かせないのではないだろうか。


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