一人暮らしの買物生活はどのような変化をしているか…過去20年間の買物先の移り変わりをグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/10/07 08:09

総務省統計局では2015年9月30日に【「2014年全国消費実態調査」】のうち【「単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果」】の各種調査結果の値を公開したが、今件調査は5年おきに実施されており、現状では直近分も含め5回分の値を公式サイトや公開データベースから取得することができる。そこで今回は【「高齢単身者のコンビニ離れ」……一人暮らしの買物先をグラフ化してみる(2015年)(最新)】で精査した「一人暮らしの買物先」の変化を、今回発表分も含めて都合5回分、過去20年間にさかのぼり、その推移を確認していくことにする。

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今調査の調査要目は先行記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。

次以降に示すのは単身世帯における消費支出(税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)のうち、消費先が調査票上で明記されている金額のルート別金額シェア。「その他」は前述されている具体的店舗以外の店、例えば美容院、クリーニング店、問屋、市場、露店、行商及びリサイクルショップ、飲食店(レストラン、ファーストフード、居酒屋など)や自動販売機も含まれる。

……のだが。先行記事の「一人暮らしの買物先をグラフ化してみる」で解説の通り、2014年分公開値では「その他」の回答率が異様に高い値を示しており、明らかにそれ以前の調査結果とは異なる様相を示している。各種基準が変更されたのが原因のようだが、これでは正確な経年変化の確認が難しい。そこで今回は、素直に各値を元に算出した結果、そして過去のデータも合わせ「その他」を除外して再算出をした上での結果を併記し、精査は後者を元に行うこととする。

まずは30歳未満。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳未満)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳未満)

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳未満)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳未満)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)

まず目に留まるのが「一般小売店や百貨店の減少と、スーパーの増加」。大型スーパーやコンビニ、昨今ではディスカウントストアや100円ショップの進出と、消費性向の減退で、普通の小売店がビジネス的に立ち行かなくなり、近所の店がシャッターを閉じる場面が増えてきたのが一因。そしてそれらの店と比べて大型店などの方が安く、短い移動距離でまとめて買物が行えるので手間もかからない。メリットが多く、そちらに足を運ぶようになったのも大きな要因。

一方で同じまとめ買いが可能であるにも関わらず百貨店(デパート)の割合が減っているのは、価格的な問題に寄るところが大きいと思われる。また百貨店そのものの絶対数が減っている、容易に足を運べるような近場に無いのも原因。

気になるのはコンビニに関する動き。世間一般には「若者はコンビニを積極活用している」とのイメージがある。かつての「深夜帯のコンビニ営業への反対・自粛運動」では、反対派は「若者は深夜帯まで店舗あるいはその周辺を徘徊し、たまり場とするようになった。健全ではない状況を助長している」ことを反対理由に挙げていた。しかし今グラフを見る限り、利用金額の割合の面では、昔も今もさほど変わらないことが確認できる。むしろ直近では幾分であるが減退する動きすら見受けられる。

またネット通販の利用が大きく拡大し、代わりにディスカウントストア・量販店が減っている。購入時の便宜性や品揃えの豊富さなど、ネット通販のメリットはいくらでも見出すことができる。もっともネット通販がシェアを奪った対象は商品構成から考察するに、ディスカウントストアだけでなく、百貨店なども含まれているのだろう。

続いて30歳-59歳。30歳未満とはやや違った動きが確認できる。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30-59歳)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30-59歳)

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30-59歳)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30-59歳)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)

就職から間もない若年層でもなく、定年退職前後の高齢者でもない、単身赴任以外は微妙な立ち位置ともいえるこの世代の単身世帯。一般小売店の利用率減退とスーパーの増加は30歳未満と変わらない。スーパーの利用頻度はかなり高めで、30歳未満を超える。

一方でディスカウントストアなどの利用も年々増加しているが、若年層ではまちまちだったコンビニの比率が少しずつながらも確実に増加の一途をたどっているのが分かる。比率はまだ30歳未満より低いが、今後逆転することも十分にありえよう。

ネット通販の値が漸増しているのは30歳未満と変わらない。比率こそやや少なめだが、1割に近づく勢いを見せている。

最後に、社会問題的及びマーケティング的には一番気になる60歳以上の単身世帯。多くは定年退職前後に配偶者と離別・死別した一人暮らしの人が該当する。勤労者世帯か否か、無職か否か(勤労者はあくまでも被雇用者を意味し、会社役員や自営業者などは勤労者に該当しない)までは問われておらず、それらの属性がすべて混じっている。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、60歳以上)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、60歳以上)

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、60歳以上)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、60歳以上)(参考値:「その他」をのぞいて再計算)

「一般小売店の減退とスーパーの伸長」の点では他世代と変わりはないが、この2系統だけで7割近い支出を占めているのが特徴的。これは【6年連続経常利益をはじき出す「ダイシン百貨店」のレポートから、デパート不況打開の糸口を考えてみる】などで説明している通り、高齢者は移動の難儀さなどから多店舗での買物を苦手とし、可能ならば少数か所・自宅から短い距離にある場所で生活必需品を調達したいとの希望を有しているため。一般小売店は近所の商店街(=短い距離で済む)を意味するが、商品の値引きがされにくいことに加え、閉店が相次ぎ通えない店が増えてきたことを考えれば納得がいく。個々の用品を販売する店が集まった商店街の便宜性が低下し、何でもそろうスーパーが近場に登場すれば、そちらを日常生活品の調達先のメインとして選ぶようになるのは、道理ではある。

「長距離の移動が苦手なら、ネット通販を利用すれば良いのでは」との発想もある。しかし高齢者は一般的に他世代と比べると、インターネットを用いたサービスの利用が苦手なのは他の多数の調査結果から明らかになっている通り。今件でも計測項目がはじめて用意された2004年・2009年共に0.4%でしかなく、直近の2014年でも1.4%に留まっている。

他方、コンビニの利用がほんのわずかずつではあるが増加している点にも注目したい。価格がスーパーなどよりは高く、商品ラインアップもデパートやスーパーほどではないものの、日用生活品の取扱範囲も増えており、何より店舗数の拡大で「身近」さは増している。深夜営業などのメリットを享受する部分は無いが、単身高齢者の間にも、コンビニは少しずつその存在意義を高めつつある。



概要を世代別にまとめると、単身世帯の消費生活上の買物先としては次の通りとなる。

●30歳未満
・一般小売店とスーパーで約半分。スーパーの利用は増加中。
・ディスカウントストアや量販店の利用も増加だったが、直近で大きく減退。
・コンビニ利用率は変化なし、幾分低下か。
・ネット通販は確実に増加し、百貨店を超えている。

●30歳-59歳
・一般小売店とスーパーで6割近く。スーパーの利用は増加中。
・ディスカウントストアや量販店の利用も増加していたが、30歳未満同様に直近では減退。
・コンビニ利用率は漸増。
・ネット通販も大きく増加。

●60歳以上
・一般小売店とスーパーで7割近く。スーパーの利用は大きな割合で増加中。
・百貨店は漸減していたが、直近では増加に転じる。
・コンビニは少しずつ、確実に増加。
・ネット通販はわずかなものでしかない。

ショッピングカート繰り返しになるが、若年層のコンビニ利用額比率に増加の傾向が見られない、むしろ漸減する動きすら見せているのは興味深い。この点に関して食料の観点で見ると、その動きが顕著に表れており、厳密には食費の上でコンビニ経由の調達をひかえつつあるのが分かる。

若年層の生活が、とりわけ食生活の上で厳しさを増しているのは【食費の割合が減り、家賃負担が増加……一人暮らしをする若者のお金の使い道の変化をグラフ化してみる】をはじめ、これまで多数の記事でお伝えしている通り。定価販売のコンビニの利用をためらうようになるほど、一人暮らしの若年層の生活が次第に厳しさを増していることがうかがいしれよう。


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