弁当売れず、たばこ特需は一巡…コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる(2010年10月版)

2010/10/14 12:05

分析先に【一人暮らしの日常生活、どこで何を買ってるの? ……一人暮らしのコンビニ・デパート・ネット通販でのお金の使われ具合をグラフ化してみる】【「高齢単身者のコンビニ離れ」……一人暮らしの買物先をグラフ化してみる】などで、一人暮らしの消費生活動向について解説を加えている。その記事作成過程で気になったのが、例の「タスポ効果」をはじめとした、コンビニエンスストア(コンビニ)の、売上構成とその変化。昨今ではタスポ効果も一息つき、逆に今年10月からは「たばこ値上げ効果」という逆風が想定されることもあり、現状確認と来年以降に向けたデータ蓄積も兼ねて、昨年作成した記事【「タスポ効果」と「食品コンビニ」と……コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる(2009年11月版)】の更新版を作ることにした。コンビニの現状をかいまみることができるはずだ。

スポンサードリンク


具体的なデータ取得元はローソンが毎年発行しているアニュアルレポート。最新版は【こちらにある通り(PDF)】。ここに商品群別の売上高構成比が掲載されているが、「たばこ」について個別に区分したデータが載っているのは2004年分以降(ローソンは2月締めなので、「2010年」の場合は2010年2月末までのデータという意味)。……ちなみにローソンをデータ取得元として用いたのは、大手コンビニではローソンだけがたばこも含めた詳細な売上構成比を公開していたからで、他意は無い。

それらのデータについて、まずは売上全体に占めるたばこの割合をグラフ化する。

↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)
↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)

赤い三角でチェックを入れているが、2010年の売上構成比で「たばこ」はやや減退している。これは後述するように金額そのものは伸びているものの、伸び率は昨年ほどではなく、他の分野の伸び具合に比べて大人しかったため、相対的に比率が落ちている。もっとも2004年の時点ですでに1/7程度を「たばこ」だけで占めており、コンビニにとって「たばこ」は重要な商材であることが分かる。また、青い三角でチェックした「日配食品」が伸びているが、これは後述するように「ショップ九九」で、該当項目商品が大いに伸びたのが原因。

このようにグラフ化すると、コンビニにおいては食品販売の占める割合が大きいことが改めて確認できる。直近のデータでは9割近くが食品関連(たばこも含むが)で、非食品は1割程度でしかない。コンビニは事実上「コンビニエンス・フードストア」と表現してもおかしくはない。

金額ベースで積み上げグラフにしたのがこちら。「たばこ」そのものはそれなりに金額を積み上げているのが分かる。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)

コンビニの月次レポートで「お弁当などの日配食品が苦戦している」と毎月のようにコメントしているが、今年は米飯の売上が昨年を下回ったことなどが要因で、「ファストフード」が前年比でマイナスを示してしまっている(3328億9400万円から3241億9700万円)。食品を中心に取り扱う100円ショップ「ショップ九九」の業績が寄与し、「日配食品」「加工食品」が上回ったとレポートにはあるが、同店では米飯をはじめ麺や調理パンなど「ファストフード」の方がむしろ目立つ存在。同ジャンルのセールスの不調が深刻であることをうかがわせる。

そして「たばこ」だが、ローソンに限定すれば直近では前年比161億円のプラス。増加していることに違いは無いものの、昨年の「タスポ効果」での売り上げ増が前年比900億円強だったのに比べれば、随分と勢いは落ちている。

それがさらに分かるのが、次の前年比グラフ。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)

2010年においては「日配食品」が大健闘を見せ、「加工食品」も奮戦、「ファストフード」は前述の通り米飯が落ち込んだことで不調。そして「たばこ」はプラスには違いないものの、前年の勢いが吹き飛んで、例年並みに落ち着いてしまったのが分かる(※ローソンではお弁当の類は「ファストフード」に該当させている点に注意)。

さらに「たばこ」については【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる……(下)裏づけと「たばこが売れてハッピー」なのかを検証する】で解説しているが、他の商品と比べて粗利益率が低い。言い換えれば「儲けが少ない」商品。同じ売上をお弁当とたばこで計上した場合、利益は大体たばこがお弁当の1/3前後という計算になる。人件費を考えると、色々と頭の痛い話。

実際、「儲け難いたばこがたくさん売れたがための問題点」もアニュアルレポートでは指摘されている。

↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)
↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)

他のカテゴリの粗利益率が改善(=より効果的に儲けられる)しているのに対し、たばこを含む「加工食品」だけが大きく減少している(26.3%→24.8%→24.6%)。レポート中でも

加工食品カテゴリーについては、たばこ構成比の上昇(前期比1.4%ポイント・アップ)により、荒利益率が低下しました。

という言及があり、粗利益率の低い「たばこ」の売上の増加により、「加工食品」全体が押し下げられたことが説明されている。



データの継続性・蓄積性を考慮し、今回もローソンを例に色々見てみたが、他のコンビニでも状況に大きな変化はないものと思われる。今後については冒頭で触れたように、タスポ効果が一巡している上に、10月からの大幅値上げにより、たばこの売り上げがアップする可能性は低い。コンビニにおいて利益を維持・向上させるには、来客を増やすか、粗利益率を向上させるか、商品販売数を増やすしかない。

ファミマ中華まんその事情は各コンビニとも熟知しているようで、例えば今件のローソンなら「ウチカフェスイーツ」に代表される甘味系新商品の大規模展開による新客層の誘引、ファファミリーマートなら【Tカード会員なら80円に・ファミマも中華まんの早朝割引実施へ】などにもあるように、手持ちの顧客データをフルに使って特定時間帯限定のサービスを追加し、より多くの売上・来客を狙うなど、多種多様な手を打ち始めている。おでんや中華まんのような、粗利の高いレジ横食品について、今年は例年以上にコンビニ大手が力を入れているのも、気のせいではないだろう。

不景気で顧客の財布のヒモが固くなり客単価が下がる傾向が強まり、たばこの値上げでたばこ目的の来客が減り「ついで買い」の機会も減退。このようなマイナス要因が相次ぐ中で、各コンビニの施策がどこまで功を成すのか。たばこの大幅値上げが行われた今後においてこそ、コンビニ各社の動向に注目していきたいところだ。

スポンサードリンク


関連記事



▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー