久々のマイナス、中でも新聞の下落が大きい(経産省広告売上推移:2010年10月発表分)

2010/10/13 12:00

経済産業省は2010年10月12日、特定サービス産業動態統計調査において、2010年8月分の速報データを発表した。それによると、2010年8月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でマイナス5.3%と減少を見せていることが明らかになった。主要項目別では「新聞」がマイナス24.4%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得や項目選択の概要については記事一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】で解説している。そちらで確認のこと。今記事はその2010年8月分データ(公開は同年10月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年7-8月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年7-8月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしてみたが、先月とはうって変わり、一部部門で状況の悪化が確認できる。特に「新聞」の大幅下落、「ラジオ」のマイナスへの転換が目立つ。テレビは変化率の上では少ないが、元々の金額が大きいので全体に与える影響も大きなものとなり、これらが総合して売上高合計もマイナスに転じてしまう。

ただし昨年同月(2009年8月)とその前後のデータを見ると、今回大きく値を下げた「新聞」「ラジオ」双方とも、2009年8月において一時的に回復基調が見られ(例の衆議院選挙特需によるものと思われる)、それの反動が今回大きなマイナス値として表れたと想定できる。この現象は、計測値としては一か月先行している広告代理店大手のデータでも表れており、お互いの推測の裏付けにもなる(【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2010年8月分)】)。

今回も該当月における各区分の売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つ程度としてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年8月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年8月、億円)

今回取り上げた項目中では、インターネット広告はすでにラジオ、雑誌を超え、テレビ・新聞に次ぐ第三番目の規模にまで成長している。しかし全体に占める割合はまだわずかでしかなく(該当月全広告費の4.6%)、テレビのケタ違いの大きさにはまだまだ太刀打ちできそうにないのも分かる(七分の一程度)。ただし、「新聞」の広告費は漸減している一方、「インターネット広告」は伸長を続けており、順位が逆転するのもそう遠い日の話ではないと思われる。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年8月まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年8月まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で回復、プラス圏を維持」「新聞・テレビ・ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小、一部はプラスに」「雑誌はかなりマズいレベルの下げ幅を継続中」という傾向を見せている。

ただし今回掲載月は前述したように、昨年同月の「選挙特需」の反動を一部メディアが大きく受けており、これが顕著な動きとしてグラフ上に現れているのが確認できる。特に新聞のマイナスぶりは、データが手元にある1988年以来においては、2009年2月のマイナス30.5%・2009年7月のマイナス25.2%に次ぐ下落ぶり。

一方で雑誌の低迷ぶりは(2009年のマイナス30-40%という最悪期は脱したものの)相変わらずの状態。今件データは絶対額の低下継続を意味しているため、崖っぷちの展開といえる。だからこそ(海外での浸透やプラットフォームの急速な普及もあるが)昨今において、急速に「電子出版」「電子書籍」関連の動きが加速していると考えて間違いない。かねてから有望視されていたものの腰の重かった「デジタル化」という新航路の開拓に、販売低迷・広告費の止まらない減退という「お尻に火がつく状態」になり、ようやく本腰を入れて乗り出した次第である。

あるいは広告そのものが紙媒体の「雑誌」から、電子書籍上の「インターネット広告」に移行しているという考え方もできる。その場合は広告料金の入る先は雑誌発行会社となるため、単純な「雑誌」部門の項目の減退ぶりよりは、現状は多少ではあるもののマシなことが推測できる。

また、一部の経済指標では6月前後から「リーマンショック時の最悪状態よりは悪くは無いだろう」ということで雰囲気的にややリバウンド調の復調を見せていた経済動向も、再び踊り場、あるいは低迷の様相を見せ始めている(先日発表された【2010年8月分の景気動向指数は2か月連続の下落、先行きは5か月ぶりに上昇】にも表れている)。いわゆる「前年同月比のワナ」が終わる、あるいは昨年夏までの「遺産」の食いつぶしの傾向が見えてくる時期でもある。今後の動向が気になるところだ。

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