単身生活の食生活は世代を超えてスーパーが頼り…単身世帯の食品・教養娯楽品購入先の実情(最新)

2021/08/23 03:03

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2021-0812結婚前、あるいは定年退職後の高齢者においても、一人身の生活では他の世帯構成員の目を気にしなくてもよいため、食事や趣味の品々への金銭感情が甘いものとなり、ついつい無駄遣いをしてしまう。あるいは一人身だからこそそれらに注力し、寂しさをまぎらわせるとも解釈できる。今回はそのような一人身暮らしの人が日常生活の上で調達する食料や教養娯楽品に関し、どのようなお店から購入しているかについて、総務省統計局が2021年5月18日までに発表した【2019年全国家計構造調査】の公開値を基に、その実態を見ていくことにする。

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今調査の調査要目は先行記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】を参照のこと。

今回確認するのは単身世帯における男女・年齢階級別の、食料、教養娯楽方面の支出に関して、金額面から眺め見た店別のシェア。例えば食料における男性30歳未満の一般小売店は5.4%との値が出ているが、これは男性30歳未満が食料の類を購入する際、食料調達用に支出した全金額のうち5.4%は、一般小売店から買っていることを意味する。なお百貨店は【百貨店 衣料品客離れていく 行き着く先はモールとネットに】で説明の通り、事実上デパートと同じ。

また【「高齢単身者のコンビニ離れ」…一人暮らしでの買物先の実情(最新)】で詳細の説明をしている通り、不自然な額が「その他」に割り振られていることから、今回は「その他」を除いて計算をし直している。

まずは食料。

↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、食料、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、食料、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)

すべての属性でスーパー(紫色部分)が最大値を占めており、かつ年齢が上になるに連れておおよそ値が増える傾向にある。【高齢者もネットショップやスーパー、コンビニへ】のデータ、具体的には高齢者ほどスーパーマーケットを多用する消費性向がある、が裏付けられた形だ。また、それ以外では

・一般小売店は男性より女性の方が多用している。

・コンビニは年齢が上がると利用度合いは極端に減る。

・百貨店(=デパート→デパ地下食品街)は年齢が上になると利用度合いが増加する。女性の60歳以上ではコンビニ以上の利用を示している。同じような傾向は生協・購買にも見られる。

といった具合である。【6年連続経常利益をはじき出す「ダイシン百貨店」のレポートから、デパート不況打開の糸口を考えてみる】などでも解説しているが、高齢者になると行動範囲が狭まり、できるだけまとまった場所での買物を好む傾向がある。

だからこそスーパーは重宝され、歳とともにデパート(デパ地下の食品街)が多用されるようになる。色々とまとめて購入できる生協・購買も、利用頻度が高まる。コンビニも色々な商品が展開されている点では似たようなものだが、品ぞろえが中途半端で、食品では若年層向けのものが多いことが、避けられる要因と考えてよい。さらにコンビニのメリットは昼夜を問わず開店している点にあるが、高齢者の場合は日中でも自由に買い物へ出られることから、わざわざコンビニを使うまでもなく、より安価な買い物が期待できるスーパーを多用するのも道理が通る。

続いて教養娯楽。区分を解説する【支出分類】によれば教養娯楽とは、家電製品やゲーム(コンテンツ利用料も含む)・音楽関連、ペット関連、書籍や新聞などの紙媒体、各種通信費、旅行費用、習い事などが該当する。

↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、教養娯楽、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、教養娯楽、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)

食品ではスーパーがすべての階層で最大値を見せていたが、教養娯楽では一般小売店が同じ立ち位置にある。ただし年齢階層によってはネット通販が大きな割合を示している。細かく見るとそれぞれの属性の特性が反映されているのが分かる。それらを箇条書きにすると次の通り。

・年が上になるに連れてスーパーが増えていく(女性は特に)。1か所でまとめ買いをするためか。

・量販店はおおよそ年齢が上になるに連れて利用されなくなっていく。

・ネット通販は年齢による差異が大きい。40代女性では65.2%も利用している一方で、60歳以上女性は10.2%でしかない。

単身世帯の場合、「食品はスーパー」「教養娯楽品は一般小売店やネット通販」といった消費性向上の説明をすることができそうだ。

今件はあくまでも単身世帯を対象にしたもので、二人以上世帯の消費性向は別の話。二人以上の世帯の場合、夫婦におけるライフスタイル、子供がいる場合の購入品の傾向の違いなど単身世帯との違いから、消費先にも変化が出てくるものと思われる。とはいえ、大勢にはさほど変化はないだろう。

むしろ数的にはかなりの割合を占めるものの、消費性向の面ではほとんどスポットライトを当てられていない単身世帯の消費スタイルを知る上で、今件も含めた2019年全国家計構造調査は非常に有益な資料となる。機会があれば是非とも各種発表資料を一読することをお勧めしたい。


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