食費の割合が減り、家賃負担が増加……一人暮らしをする若者のお金の使い道の変化をグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/10/05 08:13

総務省統計局は2015年9月30日に、【「2014年全国消費実態調査」】のうち、【「単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果」】を発表した。一人暮らしの日常生活をお金周りの面から推し量ることができる、貴重な資料・データが多数盛り込まれているこのデータ群の中から、今回は「一人暮らしの若者が消費するお金の使い道の移り変わり」について、その実情を精査してみることにする。

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今調査に関する調査要目は先行記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。

今回精査するデータは、一人暮らしの勤労者世帯のうち30歳未満が対象。その世帯を対象に、一か月の消費支出(【エンゲル係数の推移をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2015年)(最新)】でも説明している通り、税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)が具体的にどのような項目に割り振られているのかを示したもの。取得可能なデータは1969年以降のものであることから、それ以降のものをすべて用いる。また個々の額が少数のため、「その他消費支出」独自の項目以外に「光熱・水道」「家具・家事用品」「保険医療」「教育」もまとめて「その他消費支出」に合算している。

なおこれまでの調査における「若年」の定義が30歳未満だったのに対し、今回発表された概要では40歳未満に変更されており、その値そのものを用いると連続性が無くなる。そこで今記事の各値に関しては、e-Statから公開値(金額)を直接取得した上で再計算を行っている。

↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(男性)
↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(男性)

↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(女性)
↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(女性)

まずは全般的な傾向について。昔から今に至るに連れて「食料」が減り「住居」が増えている。先の「エンゲル係数の推移をグラフ化してみる」の通り、いわゆる「エンゲル係数」が減少しているのが確認できる。食品価格の安定、下落、支出の多様化の他に、特に男性においては外食費の切り詰めが原因。もっとも男性に限れば、直近2014年ではわずかながらも増加している。

「交通・通信」の増加は公共機関やガソリン代の値上げの他、【電話料金と家計支出に占める割合を詳しくグラフ化してみる(2015年)(最新)】でも解説しているように携帯電話の使用によるところが少なくない。ただし男性は今世紀に入ってから比率が漸減しており、切り詰めの対象としていることが分かる。

一方、「住居」の割合が大きく増加しているのも確認できる。一般に「家賃は収入の2割から3割が家計のバランス的に優れている」とされている。今グラフの割合は「消費支出」であり、「収入」ではない(収入は今件消費支出以外に、税金などの非消費支出や貯蓄などにも割り振られる)ことを合わせて考えると、実際の対収入比率はもう少し下がるが、負担が大きくなりつつあることに変わりはない。

また、女性に比べて男性の方が「食料」の割合が大きく、また経年による減少率も大きい(直近ではわずかながらも増加しているが)。これは上記でも触れているのと共に、詳しくは機会を改めて解説するが、単身若年男性は外食に頼る面が多く、同時に切り詰めの対象として筆頭に挙げられているからに他ならない。

女性は直近の2014年において、前回調査の2009年と比べ、住居が大きく減り、交通・通信がダイナミックな上昇を示している。交通通信部分の詳細を確認すると、自動車などの関係費に加え通信、移動電話通信(携帯電話)の料金が、交通・通信全体を底上げしている。

↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出(女性、交通・通信、円、一部)
↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出(女性、交通・通信、円、一部)

自動車の利用者の増加、携帯電話の負担増加(多分に利用率のアップに加え、利用者の単価が上昇)が交通・通信の金額、そして比率を引き上げている。また住居だが金額を調べると、2009年時点では5万4177円だったものが、2014年では4万2151円にまで落ちている。大よそ交通・通信費用の増加で、住居費用がしわ寄せを受けた(品質を落とす形で対応した)ものと見受けられる。

お金を数える元々女性は【「家賃高い!」男性半数 女性7割】【家賃の面から大学生の収入と生活の厳しさをグラフ化してみる】などでも解説の通り、セキュリティなどに気を使う必要があるため、どうしても家賃そのものが高い傾向となる。そして男性よりも実収入は低いため、結果として消費支出における住居費の割合が高いものなってしまう。そのような実情の中で、女性の住居費比率が減り、男性とさほど変わらない状況となりつつあるのは、憂慮すべき動きといえる。

なお2014年では男女とも、消費支出の1/4以上が住居費で占められる結果となった。家賃などは半ば固定費でもあり、節約することは難しく、他の消費項目と比べても家計に対するプレッシャーは大きい。税金や保険と同じようなものとの認識もあながち間違っていない。お財布事情の厳しさは察するに余りあるといえよう。


■関連記事:
【貯蓄率減少は本当なの? 家計の貯蓄率をグラフ化してみる(単身勤労者世帯版)(2015年)(最新)】
【収入と税金の変化をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2015年)(最新)】

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