ツイッターとソーシャルメディア、それぞれのニュース媒体としての使われ方の違いとは

2010/09/27 12:10

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ニュースアメリカの調査機関PewResearchCenterは2010年9月12日、アメリカ人が接触する主要ニュースメディアに関する調査結果【Americans Spending More Time Following the News】を発表した。それによると調査母体全体においては、Facebookをはじめとするソーシャルメディアの利用率は45%、ツイッターの利用率は9%であることが分かった。それぞれの利用者内ではニュースの取得・発進共に、ソーシャルメディア利用者の方がツイッターよりもやや多い傾向がある。ところがニュース関係者(組織やジャーナリスト)をフォローする割合はツイッター利用者の方が多い。ツイッター利用者の多くは、大量のツイート(つぶやき、個々の発言のこと)に翻弄され、「ニュース」という1カテゴリに限定した場合には十分な情報を取得しきれていないようにも見える。


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今調査は2010年6月8日から28日にかけて、乱数で選ばれた大人を対象に、携帯電話・固定電話経由の口頭による電話経由で行われたもので、有効回答数は3006人。

時代の変化と共にニュースと接する総時間に大きな違いはないものの、ニュースを取得する媒体、各媒体に配する時間は変化を見せている。以前【新聞が最下位へ・アメリカ人が利用する主要なニュースメディア推移】でも示したが、紙媒体が漸減し、テレビは横ばい、インターネットが増加の傾向を見せているのが分かる。なお下のグラフに直接表記は無いが、「携帯電話・電子メール・ソーシャルメディア・ポッドキャストをインターネット項目に加えると、インターネット経由でのニュースアクセスは全部で44%に達する」とある。

↑ ニュースを取得するために昨日接触したメディアは?(複数回答)
↑ ニュースを取得するために昨日接触したメディアは?(複数回答)(再録)

それではインターネットのサービスの中でも昨今もっとも強いスポットライトを浴びている、ソーシャルメディアとツイッター(厳密にいえばツイッターもソーシャルメディアの一つなのだが、元資料で区分してあるので今件も別物扱いとする)それぞれを介した、ニュースの読まれ方などについてデータを見ることにする。まずは調査母体内のそれぞれの利用率。ソーシャルメディアは45%、ツイッターは9%。電話調査であることを考えると、ツイッターの9%はある意味驚きの値でもある(単純換算で全人口の9%がツイッターを利用していることになる)。

↑ ソーシャルメディアとツイッターの利用率
↑ ソーシャルメディアとツイッターの利用率

それぞれのメディアからニュースを取得しているか否か。全体比ではツイッターそのものの利用者が少ないので、頻度を別にしても全部で6%ほどしかいない。しかしツイッター利用者全体に占める比率では58%。ソーシャルメディアの64%と比べれば6ポイント少ないが、それなりの値ではある。

↑ 該当サービスからニュースを取得しているか
↑ 該当サービスからニュースを取得しているか

興味深いのはソーシャルメディアとツイッターにおける、利用頻度の違い。「いつも使っている」人はツイッターの方が多いが、「時々」の人はソーシャルメディアが、そして「たまに」はまたツイッターの方が多くなる。これはソーシャルメディアの利用者がニュースについて色々な使い方をしているのに対し、ツイッターの利用者は「ニュースを常にじっくりと見ている人」と「目に留まればたまに見る程度」という両極端に分かれる傾向があることを示している。

この傾向はニュースを配信・提供する(要は書き込む、コピーして転送するなど)でも変わらない。

↑ 該当サービスからニュースを配信・提供しているか
↑ 該当サービスからニュースを配信・提供しているか

やはりツイッター利用者の方が「いつも」「たまに」の両極端に分かれる傾向があり、ソーシャルメディアの方が分散度が大きい。恐らくは、ツイッター利用者の一部は専用ツールやツイートを追いかける対象を限定したり、リスト化するなどでニュースを効率的に取得する術を持ち、積極的に情報源として活用しているのだろう。一方で多くのツイッター利用者は、次々に流れるタイムラインに翻弄され、たまたま目に留まったニュースをチェックする程度であり、それはまさに「流しそうめんで赤いそうめんをつかみ取った」くらいのものといえる。

「ソーシャルメディア利用者と比べ、多くのツイッターユーザーは情報の流れに翻弄され、ニュースをつかみ切れていない」を裏付けるのが次のデータ。ニュース組織やジャーナリストをフォローし、彼らの発言を逐一チェックできる状態にしているか否かについてのもの。ソーシャルメディアでは16%と、「いつもニュースを取得している人」の割合と奇しくも一致するが、ツイッターでは「いつもニュースを取得している人」17%以上の24%もの人がフォローしていると答えている。

↑ ニュース組織やジャーナリストをフォローしているか
↑ ニュース組織やジャーナリストをフォローしているか

つまりツイッター利用者の少なくとも7%(=24%-17%)は、「ニュース組織をフォローしているにも関わらず、ニュースの取得頻度は”時々”か”たまにでしか無い”」ということになる。フォローしていなくても常にニュースを見ている人もいれば、フォローしている人の全員がニュースを「いつも」見ているわけではないので、内情はもう少し複雑だが、少なくともソーシャルメディアと比べて「ニュース関係者をフォローしているのに追いかけ切れていない率」が高いことは間違いない。



大義的にはツイッターもソーシャルメディアの一つではあるが、利用方法やシステムなどは大きく異なるところがある。今件のデータはそれを示す一つの事例ともいえる。ツイッター、ソーシャルメディア(特にFacebook)それぞれの特徴をしっかりと把握した上で、それぞれの特性を活かした使い方をしたいものだ。

また、ニュースに限れば、利用者絶対数がきわめて大きいソーシャルメディアに合わせた配信を第一義的に考えるべき。何しろツイッターの利用頻度全部区分を合わせた数より、ソーシャルメディアの「いつも取得する」数の方が多いのだから。ただ、ツイッターの即時性と情報の瞬間的伝播性は、捨て難いものがある。やはりそれぞれの個性を活かした利用を心がけるべきであろう。


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