全体で大きなプラス続く、しかし雑誌は大きなマイナスのまま(経産省広告売上推移:2010年9月発表分)

2010/09/09 07:04

経済産業省は2010年9月8日、特定サービス産業動態統計調査において、2010年7月分の速報データを発表した。それによると、2010年7月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス7.9%と増加を見せていることが明らかになった。主要項目別では「雑誌」がマイナス14.9%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得や項目選択のあらましは記事一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】で解説しているので、そちらで確認してほしい。今記事はその2010年7月分データ(公開は同年9月)の速報値を反映させたもの。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年6-7月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年6-7月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしてみたが、先月同様に一部部門で状況の改善が見受けられる。特に「テレビ」は確定値で確認する限り、今年の4月以降順調に伸び続けているのが見て取れる。ただしこれは先月の事情同様、今月の伸びも「昨年の同月における」前年同月比がマイナス12.3%と(テレビ部門にしては)かなり大きな下げ幅だった反動によるところが少なくない。「ラジオ」は今回かろうじてプラスに転じたが、これもテレビと同じ理由によるところが大きい(昨年同月はマイナス18.3%)。一方で「雑誌」の下げは継続しており、昨年同月のマイナス30.8%から更に下げたことを考えると、目も当てられない状態。

今回も該当月における各区分の売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データ【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2010年7月分)】との違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つ程度としてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年7月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年7月、億円)

今回取り上げた項目中では、インターネット広告はすでにラジオ、雑誌を超え、テレビ・新聞に次ぐ第三番目の規模にまで成長している。しかし全体に占める割合はまだわずかでしかなく(先月と同じく該当月全広告費の3.9%)、テレビのケタ違いの大きさにはまだまだ太刀打ちできそうにないのも分かる(八分の一程度)。ただし、「新聞」の広告費は漸減している一方、「インターネット広告」は伸長を続けており、順位が逆転するのもそう遠い日の話ではないと思われる。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年7月まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年7月まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で回復、プラス圏を維持」「新聞・テレビ・ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小、一部はプラスに」「雑誌はかなりマズいレベルの下げ幅を継続中」という傾向を見せている。

特に雑誌の低迷ぶりは(2009年のマイナス30-40%という最悪期は脱したものの)、前年同月比で大きなマイナスを続けていることからも明らか。これは絶対額の低下継続を意味しているため、崖っぷちの展開といえる。だからこそ(海外での浸透やプラットフォームの急速な普及もあるが)昨今において、急速に「電子出版」「電子書籍」関連の動きが加速していると考えて間違いない。つまり前々から有望視されていたものの腰の重かった「デジタル化」という新航路の開拓に、販売低迷・広告費の止まらない減退という「お尻に火がつく状態」になり、ようやく本腰を入れて乗り出した次第(あるいは逆に、広告が紙媒体の「雑誌」から、電子書籍上の「インターネット広告」に移行しているという考え方もできる。電子書籍そのものの売買が精いっぱいであまり話題に登っていない話ではあるが)。

また、一部の経済指標では6月あたりから「リーマンショック時の最悪状態よりはマシだろう」ということで雰囲気的にややリバウンド調の復調を見せていた経済動向も、再び踊り場、あるいは低迷の様相を見せ始めている(先日発表された【景気ウォッチャー調査の結果】にも顕著に表れている)。いわゆる「前年同月比のワナ」が終わる、あるいは昨年夏までの「遺産」の食いつぶしの傾向が見えてくる時期でもあり、今後の動向が気になるところだ。

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