再就職は果たせても立場で変わる仕事への想い…米不景気下の再就職事情

2010/09/06 19:30

失業と再就職先に【米不景気下の社会情勢をグラフ化してみる】、そして【米不景気下で起きる「悪い事」とそうでないこと】において、アメリカの調査機関PewResearchCenterの調査公開データを元に、同国における失業者の心境、取り巻く環境の変化について紹介した。さらに先日同調査機関から、似たような調査報告書として「リセッション(不況期)中に再就職した人たちの状況変化」に関するデータが公開された(【Most 'Re-employed' Workers Say They're Overqualified for Their New Job】)。今回はその調査結果から、再就職出来た人たちの環境や立場による、仕事への想いの変化をいくつかピックアップし、紹介してみることにする。

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今調査は2010年5月11日から31日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の人に対し、固定電話・携帯電話双方の経由で(RDD形式にて選択)行われたもの。固定電話経由は1893人・携帯電話経由は1074人、計2967人。

まずはリセッション中に失職したものの、無事に再就職を果たした人たちが、どのような雇用体系に収まっているか。正社員だったもののパートタイムとなってしまった人は26%。逆にパートタイムだったけれども正社員になれた人は13%。正社員・パートタイムで変わらない人はそれぞれ45%・14%。

↑ リセッション中に失職して現在再就職中の人たちの、雇用体系
↑ リセッション中に失職して現在再就職中の人たちの、雇用体系

給与体系や仕事の内容など他の条件も色々と考査しなければならないので、一概に「パートよりも正社員の方が良い」とは言い切れない。とはいえ同条件ならば正社員の方がいいし、雇用情勢が不安定な昨今においては、正社員の方が安定感(雇用という面だけでなく、経済・精神の面でも)があるに違いない。その観点では、「正社員だったがパート」になった約1/4の人たちは「再就職できたものの、安心感は今一つ」的な状況に置かれているのではないだろうか。

ただ、社会・雇用情勢がまだ活況化していないこともあり、再就職できたこと自身を喜び、それをポジティブにとらえて現職への評価をプラスしている面もあるようだ。次のグラフは前職と現職について、給与・それ以外のさまざまな恩恵(人間関係や就労環境など)・それらも含めて全部合わせての3点において比較し、どちらが良いかを答えてもらったもの。

↑ リセッション時に再就職して前職と比べると……
↑ リセッション時に再就職して前職と比べると……

給与は絶対額で比較されるので心理的な反映は無く、やはり悪くなった人が多め。人間関係や就労環境でも「まぁ、大体同じかな」という人が多いものの、「悪い」と判断を下した人の方が「良い」よりも多い。ただし全体的な面でとらえると、「悪くないネ」と答える人の方が「悪くなったな…」という人より20ポイント近くも多いのが確認できる。再就職出来たこと自体を「良い事」と判断してポイントが加算されたと考えてよいだろう。

影を落とすもの…失職期間の長さと雇用体系の悪化
再就職が出来たこと自体に満足感を覚える向きが強いのは、何もアメリカに限った話ではない。そしてその気持ちがさまざまな条件によって大きくゆらぐのもアメリカだけの話ではなく、十分に理解が出来る。「現職が前職より良いか否か(単純に良し悪しを聞いただけ)」について、失職期間の長さ別に区分した結果が次のグラフ。失職期間が長い人ほど、現職へのイメージが悪い結果が出ている。

↑ 現職は前職より良い? 悪い??
↑ 現職は前職より良い? 悪い??

このデータからはいくつかの推論が導き出せる。一つは「失職期間が長い=(周囲、あるいは本人の)雇用情勢が悪く、前職と比べて条件が相当悪い職にしか就けなかった」とするもの。もう一つは「失職期間が長いと精神的な痛手を大きく受けてしまい、新しい環境になじみにくくなる(あるいは割り切りが悪くなる)」というもの。元データでは詳しい分析はなされていないが、留意に値するデータといえる(日本でも【一年以上失業で求職中な若年層は38万人…失業期間別に見た完全失業者数の推移をグラフ化してみる】という話もあるし……)。

もう一つのグラフは、再就職を果たしたものの、かつては正社員だったのにパートとしての職しか得られなかった人における心境の変化。正社員から再び正社員になった人との比較だが、明らかにモチベーションが落ちてしまっているのが分かる。

↑ 正社員からパートに転職すると満足感は(リセッション中に再就職した人対象)
↑ 正社員からパートに転職すると満足感は(リセッション中に再就職した人対象)

雇用の上でも不安定で職場内での立ち位置も低く、給与も正社員の時と比べると少なめとなれば、「前職よりも良い」と評価する人が少なくなるのも当然。しかし満足度ややりがいまで落ちているところを見ると、職場での就労態度、見方を変えればその企業におけるサービスや経営効率の面で影響が出てくる可能性は否定できない。



もちろんこれらのデータはアメリカでの話ではあるが、日本ではまったく状況が異なるとは言い切れない。特に再就職時のモチベーションについては、あまり検証したデータが無く、非常に参考になる。労働環境の急激な変化で、国内の雇用情勢の好転があまり期待できない昨今においては、むしろこれから検証が必要となるテーマといえよう。

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