保険の見直し、「投資から貯蓄へ」が進む? 種類別貯蓄現在高をグラフ化してみる

2010/08/31 04:59

【家計調査報告】を元に、【50歳代以上で貯蓄総額の8割強…世帯主の年齢別貯蓄総額分布をグラフ化してみる】などをはじめ、先日から以前挙げた記事の見直し・データの最新版への更新を行っている。この「家計調査報告」はデータそのものだけでなく、そのデータをさまざまな視線から図式化しており、現在の日本の家計における実情を指し示す良い資料といえる。今回は「参考資料」の中から「貯金や保険、有価証券など、どのような種類の貯蓄をしているのか、その推移」について、元データからグラフを再構成してみることにした。

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家計調査は全国のすべての世帯(学生の単身世帯を除く)を対象として家計収支の調査を行い、各種世帯の特性による集計結果によって、国民生活の実態を毎月明らかにし、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を得ることを目的としている。調査期間は原則毎月。毎月6分の1ずつが差し替えられる。調査方法は基本的に調査票を用い「調査員による質問」「記入された調査票の回収」などによる。

基軸となるキーワード、「貯蓄」と「勤労者世帯」についてだが、

・「勤労者世帯」…世帯主が勤め人の世帯。ただし社長などの役員は「勤労者以外」とする。
・「勤労者以外世帯」……世帯主が役員、個人営業世帯、無職世帯(年金生活で世帯主が働いていない場合も含む)など。

・「貯蓄」……負債を考慮しない、単なる貯蓄の額(預貯金、生保の掛け金、有価証券、社内貯金、共済などの貯蓄の合算。個人では無く、世帯全体の貯蓄を意味する)。例えば借金が1億円あっても100万円の貯金があれば、貯蓄額は100万円。

となる。「二人以上の世帯全体」とは、「勤労者世帯」と「勤労者以外世帯」の合計、「勤労者世帯」とはそのうち、「世帯主が勤労者の世帯だけ」を意味する。

さてまずは、二人以上の世帯全体を示したものをグラフ化する。各年の貯蓄現在高積み上げグラフと、各項目の推移を折れ線グラフで示したもの、双方を作成することにしよう。

↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯全体)(万円)
↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯全体)(万円)

↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯全体)(万円)(項目別・折れ線グラフ)
↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯全体)(万円)(項目別・折れ線グラフ)

・「保険見直し」の流れや運用利回りの低迷を背景に「生命保険など」は漸減継続
・「貯蓄から投資へ」の動きで2007年までは「有価証券」が増加。しかし2007年以降の金融危機で株価低迷による評価減と共に、リスク資産からの逃避もあり、2009年は大幅に減少
・定期性預貯金は低利回りから漸減傾向。しかし普通銀行においては株価低迷の流れを受けか漸増傾向を見せている(ただし郵便貯金銀行は減少が続く)
・普通預金は横ばい、あるいは微増

などの傾向が見られる。特に2009年においては「有価証券の激減(前年比-17.8%)」「普通銀行への預貯金(普通・定期性を問わず)」の増加が確認できる。「二人以上世帯全体」には「勤労者」以外に「役員」「年金生活者」なども多分に含まれるため、ある程度大きな手持ちの資産を低リスクなポジションへ移行する様子がよく見える。

勤労者世帯に限定すると……
これを勤労者世帯に限定すると、少々事情が変わってくる。

↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)(万円)
↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)(万円)

↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)(万円)(項目別・折れ線グラフ)
↑ 貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)(万円)(項目別・折れ線グラフ)

・「保険見直し」の流れや運用利回りの低迷を背景に「生命保険など」は漸減継続
・「貯蓄から投資へ」の動きで2007年までは「有価証券」が増加。しかし2007年以降の金融危機で株価低迷による評価減と共に、リスク資産からの逃避もあり、2009年は大幅に減少
・定期性預貯金は低利回りから漸減傾向。しかし普通銀行においては株価低迷の流れを受けか2008年には増加。ところが2009年には再び減少(郵便貯金銀行は減少が続く)
・普通預金は横ばい、あるいは微増

貯蓄額総額(赤文字部分の数字)が「二人以上世帯全体」と比べて少ないのは、現役勤労世代から構成されており、退職金はまだ支払われていないし、経年による積立がさほど無い世帯も多いといった、構成上の事情によるもの(貯蓄額をかさ上げする定年退職者・役員が含まれていないのが大きい)。

動向そのものにさほど違いは無いが、「定期性預貯金」の部分で普通銀行においてですら、2009年に減少を見せているのが気になる。多分に収入の減少を定期預金の「切り崩し」で補っているのではないか……そのような想像が容易にできうる。



貯蓄当サイトの性質上、一番注目すべきは「有価証券」の2009年における減少額の大きさ。今回はグラフ構成を省略したが、「有価証券」は「株式・株式投資信託」「貸付信託・金銭信託」「債券・公社債投資信託」の3タイプで構成されている。2008年から2009年においては「二人以上世帯全体」「勤労者世帯」双方で「株式・株式投資信託」の下げがもっもとキツく、「二人以上世帯全体」ではマイナス18.7%、「勤労者世帯」にいたってはマイナス20.2%にも達している。

確かに2008年初頭から2009年春先にかけて株価はダイナミックに下落し(所有株式の評価額も減少し)たが、それでも2割もの減少は尋常な値とは言い難い。証券税制の改悪も合わせ、市場環境の悪化が消費者の株式投資離れ・「投資から貯蓄へ」を加速化させ、結果として昨今の日本市場における出来高減少の一因になっていると考えることもできよう。


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