米不景気下の社会情勢をグラフ化してみる

2010/08/22 12:05

リセッション【「リセッション」を再確認してみる】【「アメリカは2007年12月からリセッション入り」専門機関が正式発表】にもあるように、リセッション(景気後退局面)入りしているアメリカ。今年の4月には「リセッション終了宣言はまだ時期尚早」との話もあり、現在もなお真っただ中にあることに違いは無い。そして今回のリセッションは、アメリカの社会においても様々な変化をもたらしている。その一端を知ることができるレポートが、先日【Lost Income, Lost Friends -- and Loss of Self-Respect】というタイトルでPewResearchCenterから発表されていた。今回はそこに掲載されていた、あるいは大本となった詳細レポートの図表を再構築し、アメリカのリセッション状況をかいま見ることにしよう。

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今調査は2010年5月11日から31日にかけて、18-64歳のリセッション中における失業経験者810人をはじめとする2967人に対し、面談調査によって行われたもの。まずは概念的に、リセッションが自分の人生に大きな影響を与えたか否か。

↑ リセッションは自分の人生に大きな影響を与えたか(失業期間別)
↑ リセッションは自分の人生に大きな影響を与えたか(失業期間別)

失職経験が無い人でも2割、長期失職者では半数近くが大きな影響を受けたと自認している。元記事にもあるが、失業者の失業期間は長期化する傾向があり、2010年6月においては失業期間の中央値が25.5週という、第二次大戦後最長の値を記録している。半年以上の人が44%というのは、むしろ少ない方かもしれない。

続いて、リセッション後世帯収入が減少したか否か。失職中は当然自前で稼ぐことが出来なくなるわけで、世帯収入が減少する可能性は高い。

↑ リセッション後、世帯収入が減少した人の割合(失業期間別)
↑ リセッション後、世帯収入が減少した人の割合(失業期間別)

当然失職期間が長い方が「減少した」回答率は高いのだが、失職した経験がない人でも、1/4強が「世帯収入が減少した」と答えている。失職は避けられたものの、減給措置などを受けた人が多い事は容易に想像がつく。

直接お金ことだけではなく、人間関係も
失業は直接のお金周りはもちろんだが、そこから関連して様々な社会生活の上にも影響を及ぼす。

↑ 失業期間と人間関係
↑ 失業期間と人間関係

ややぶれがあるが、失業期間が長い人ほど、人間関係・社会生活においても様々なマイナスの影響を受けていることが分かる。特に「親友と連絡が取れなくなった」は、親友が行方不明になったのか、回答者自身の立場が変わって親友が避けるようになったのか(お金の無心など)などさまざまなパターンが考えられるが、数字の上で表わされる以上の悲しみを覚えずにはいられない。

最後に、ある程度具体的な、失業・金銭問題から派生するトラブルなどについて。

↑ 失業期間とお金周りのトラブル・変化
↑ 失業期間とお金周りのトラブル・変化

こちらもややぶれがあるものの、失業期間が長い人ほど体験率が高い結果となっている。気になる点といえば「失業未体験者でも4割、失業体験者は過半数が『老後のお金』を(金額はともあれ)引き出さざるを得なくなっている」「失業者はほぼ半数が友人・家族からお金の借り受けをしている」などの点。前者はリセッションを脱した後に社会問題化しそうな感があるし、後者は先の「親友と連絡が取れなくなった」と合わると、やはり友達間のお金のやり取りは大きな社会問題になりうるのかも、と考えてしまう。



リセッション本文中でも少々触れているが、今回のリセッションはこれまでのと比べて、社会・経済・産業構造の大変革に伴う面もあり、失業期間が異様に長くなるというこれまでに無い状況を呈している。不景気下における社会変遷や文化の移り変わりはこれまでに多数の研究が行われているが、今回はそれら過去の蓄積・経験がほとんど役に立たない、合致しない可能性も多分に考えられる。

仮にリセッションを脱することが近々あったとしても、その後のアメリカはこれまでと多分に違う姿を見せる可能性もある。無論それはアメリカに限らず、日本を含めた他国でも同様のお話。現状が色々な意味で「膿を出している・取り除くべき毒物を明確にしている」と考えれば、(致命傷を負わない限り)不景気そのものも、悪い面ばかりではない、と考えることもできよう。

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