アニメ制作会社の経営実態をグラフ化してみる

2010/08/21 12:05

アニメ帝国データバンクは2010年8月19日、アニメ制作会社の経営実態調査結果を発表した。それによると同社が把握している「アニメ制作を主事業とする会社」118社の2009年度における売上(収入高)は1648億3000万円で前年度比マイナス3.9%となり、2年連続して減少した。これは2年連続の減少となる。規模の小さな会社ほど、減収傾向が強いのも特徴である(【発表リリース】)。

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今件は2010年7月末時点の帝国データバンクにおける企業概要データベースを元にしたもの。「アニメ制作を主事業とする企業」に該当する118社の過去5年間における収入高推移は次の通りとなる。

↑ アニメ制作会社・収入高規模別2009年度の収入増減状況
↑ アニメ制作会社・収入高規模別2009年度の収入増減状況

直近5年間では2007年度をピークとし、次第に減少傾向にあるのが確認できる。このタイミングは例の「金融(工学)不況」が始まった2007年夏以降のそれと一致しており、景気動向そのものがアニメ業界、そして制作現場にも少なからぬ影響を与えていることが分かる(もちろん景気動向「だけ」が問題では無く、市場そのものの構造変化、社会の情報伝達・消費スタイルの移り変わりも大きな要因)。また、2009年度の売上はリリースでも言及されているように、「萌え系」を中心にしたアニメブームのスタート時期ともいわれている2005年度の水準すら割り込んでいる。

制作会社の不振は、規模が小さいほど著しいものとなっている。リリースでは会社規模別・売上別にデータが用意されているが、今回はそのうち後者を元にグラフを作成した。売上高が少ない会社ほど、2009年度1年をみても、厳しい状況におかれていることが再確認できる。

↑ アニメ制作会社・収入高規模別2009年度の収入増減状況
↑ アニメ制作会社・収入高規模別2009年度の収入増減状況

こちらは計139社を対象にしている。いずれの規模の会社においても、「減収」が「増収」を上回っており、特に小規模の「1億円未満」において、増収会社の少なさ・減収会社の多さが目立つ結果となっている。

リリースではこれらの傾向について

・不況でDVDなどの関連商品の販売が低迷している……(A)
・キャラクタの商品化権など版権収入が期待できる大手はまだしも、それが望めない中小では収入がさらに減少する
・パチンコ業界と取引がある会社は全体と比べて増収傾向が強い
・(A)のため「収入の大半を関連商品で回収する」従来型のテレビアニメに関するビジネスモデルが成り立たなくなる傾向に……(B)
・(B)によりテレビアニメ放映数は減少しているが、映画作品は好調

アニメーションと分析している。インターネットや携帯電話の普及、テレビメディア離れなどにより、従来型のビジネスモデルが通用せず、採算性の問題からテレビアニメそのものが「金銭的に」難しくなっていることは否定できない。一方で、他メディアの動向同様に、多くの消費者は「ネット上では得られないリアルな体験」を求める傾向も見られ、これが映画作品の堅調さに結び付いているものと想像される。

現時点でもアニメを取り巻く状況は非常に速いスピードで動きを見せている。新しいメディアや方法論、ビジネスモデルが毎日のように生み出され、多くは流行らずに消えていくが、中には皆の支持を集めて太い川の流れを創り出していくものも見られる。この流れの行きつく先を素早く見極め、正しい方向に舵を取り、邁進できる会社やグループが(制作会社に限らず)、今後のアニメ業界をリードしていくことになるのだろう。


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