【更新】コンビニ以外の「タスポ導入」の影響をグラフ化してみる(2010年8月更新版)

2010/08/17 12:05

たばこ先に【飲料欲しくてコンビニ 65.4%】で、自動販売機でのたばこ購入用成人識別ICカードこと「タスポ(taspo)」の導入で(2008年3月以降順次、同年7月以降は全国で)、カード利用の手間を敬遠した喫煙者が「自販機での購入」から「コンビニでの購入」に移行、結果としてコンビニエンスストアでたばこの売上が上昇し、特にカードの登録・利用を嫌う高齢者にその傾向が強いデータを提示した。その際、以前に【コンビニ以外の「タスポ導入」の影響をグラフ化してみる】で、「それではタスポの導入でコンビニ以外の動向はどのような変化を見せたのか」について、ごく一部の観点ではあるが、グラフ生成などでチェックを入れたことを思い出した。今回は良い機会なのでそれらのグラフのデータを更新し、その後の状況の変化について確認をしてみることにする。

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まずは以前の記事において、日本たばこ産業が財務省に提示した資料【(社)日本たばこ協会等の「成人識別機能付たばこ自動販売機」全国導入について(PDF)】を元にした、四半期単位のたばこ販売実績と前年同期比などのグラフ。残念ながらこの提出はこの時限りのことで、定期更新はされていない。そこで日本たばこ産業の【統計データページ】から、四半期販売実績を抽出。それぞれの四半期では「累計」データが出ているので、第2四半期以降は直前期の値を差し引いて単期毎の数字を算出、生成したのが次のグラフ。

タスポ導入後のたばこ販売実績
タスポ導入後のたばこ販売実績

タスポ導入後の2008年7-9月期以降、販売数が減少しているが、元資料にもあるように経済状況悪化などの他要因もあり、タスポによる影響度合いは不明……とのことだったが、1年後は多少反動もあり、持ち直しているかのように見える。しかし右軸を見ればお分かりのように、これは「持ち直し」では無く、「下げているには違いないが多少下がり方がマシになった」という程度に過ぎない。タスポそのものの導入は落ち込みを加速化させたに過ぎず、たばこのそのものの売れ行きは元々全般的に落ちている状態にあると見た方が良さそうだ。

続いて日本自動販売機工業会が公開している、2009年末の各自販機のデータ。【2008年末自販機普及台数及び年間自販金額】から、たばこ自販機やその他の自販機のデータを元に、グラフ化したのが次の図。参考までに、前回の記事の2008年末分のグラフも併記しておく(グラフ生成ソフトが異なるため、見た目が違う事に注意)

2008年末自販機普及台数及び年間自販金額(前年比)
2008年末自販機普及台数及び年間自販金額(前年比)(再録)

2009年末自販機普及台数及び年間自販金額(前年比)
2009年末自販機普及台数及び年間自販金額(前年比)

「年間販売金額」とは自動販売機本体そのものの売買額ではなく、自動販売機が提供しているサービス・商品の売買代金。これを見ると、たばこ自動販売機の台数が2割近くも減少した去年と比べ、台数減少は5%未満に留まっている。しかし販売代金は3割強の減と、大きな減少幅であることに変わりは無い。

昨年同様に、経済状況の悪化に伴うマイナス分を考慮するため、たばこ自販機と、連鎖反応によるマイナスが生じている飲料自販機「以外」の自販機(=タスポの影響はない)の販売金額と減少率を平均化して「景気後退によるマイナス分」を算出し、それをデータ上のたばこ自販機の販売金額減少分に反映させようとしたのだが……前回この値が-1.7%だったのに対し、今回は+1.3%という結果が出てしまった。このまま適用すると、「約35%がタスポ導入に伴うたばこ自販機での販売金額減少分」と見ることができる。ほぼ半減、という昨年の状況よりはマシだが、三分の二に減少はインパクトとしては十分過ぎるものがある。ただしこれがすべてタスポによるものとは限らないことを加えておく。健康志向の高まりや不景気により、自販機経由で買わなくなった可能性もあるからだ。

最後に日本たばこ協会が発表している、紙巻きたばこの販売実績。直近の流れは一番初めのグラフで分かるが、年次のグラフは提供場所が見つからなくなったので【数字データ(PDF)】からグラフを当方で再構築することにする。


1996年度以降のたばこ販売数量・売買代金
1996年度以降のたばこ販売数量・売買代金

上記のグラフからも分かるように、この10年強の間、販売数量・販売代金共に漸減する傾向を見せている。健康志向・可処分所得の減退などが要因だと思われるが、ともあれこの短期間だけで「タスポの導入がタバコ”全体”の売上を押し下げた」と断じることは出来ない。……代金は、多少ながらも減少を加速化させた感もあるが。



今件をまとめると、

・タスポ導入によるたばこ自販機の販売業績マイナス分は2009年においては「最大で」3割強。
・「ついで買い」の減少で飲料自販機の業績も数%のマイナス影響(2008年に続き2009年も確認されている)
・たばこの販売数全体への影響は不明(劇的な変移は見られない)。
 (自販機減少分をコンビニがほぼ吸収した可能性)

のような形になる。

たばこ自販機かつては非常に手堅いビジネスの代表格として名前が挙げられていた「たばこの自販機」だが、タスポの導入でこの2年ほどで大きく売上を減じてしまっている。自販機の数そのものの減少を差し引いても、「売上は激減」と表現して良い。未成年者の喫煙防止を目的として導入されたタスポが、たばこの小売における構造を大きく変えてしまったことは間違いない。

一方、タスポ導入が「たばこ業界全体」の販売実績にどのような影響を与えた・与えているのかについては、現時点では明確な答えは出ていない。繰り返しになるが、元々たばこの販売は減少傾向にあり、タスポによるものか否かが判断できないからだ。さらにタスポの普及率が上がらないことに業を煮やした業界周辺が、免許証によるチェック形式の自販機を展開するなど、「タスポ騒ぎとは何だったのか」的な状況になりつつある。

さらに【たばこ税増税で「禁煙・節煙しよう」と考えている人は55.7%】で触れているように、この10月にはたばこが大きく値上げされる。これが販売本数にどのような影響を及ぼすことになるのか。来年以降のデータ推移が気になるところだ。

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