実はこの数年増えてます…デビュー歌手数動向(2010年発表)

2010/07/31 19:30

日本レコード協会は2010年4月5日、「日本のレコード産業2010」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2009年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料であり、音楽業界の動向を多方面から確認できる、貴重な資料といえる。今回はこの資料のデータの中から、以前【デビュー歌手数をグラフ化してみる】でグラフ化した、デビュー歌手数の推移の更新を行うことにする。

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「初音ミク」のようないわゆる『ボーカロイド』(ヤマハが開発した音声合成による歌声生成システム)などなら話は別だが、音楽業界・市場にはコンテンツ(曲)を歌う歌手が欠かせない。歌手一人一人が永遠に生き続け、次々と新曲を出し続けるのは無理な話。毎年多くの歌手予備群がさまざまな困難に立ち向かいながらプロデビューを目指し、音楽マーケットは常に新陳代謝が起きている。多くは何とかデビューを果たしてもなかなかメジャーにはなれず、いつの間にか引退したり、あるいは地方巡業などで、さらなる修行と実力の積み重ねを行うことになる。

新陳代謝の活性化は、その業界のすう勢を推し量る一つのバロメーターでもある(もちろん「粗製乱造」という相反する要素と背中合わせ)。それでは音楽業界のデビュー歌手数はどのような推移を見せているのか。今資料では1998年以降において、日本レコード協会の会員社関係に限定された数だが、デビュー・再デビュー数が公開されている。それをグラフ化したのが次の図。

↑ デビュー歌手数推移
↑ デビュー歌手数推移

少なくともデータ範囲内ではもっとも少ない値をつけた2001年を境に大きな変化が起き、「デビュー数合計の増加」「再デビュー数の絶対数・全体に占める割合の増加」という二つの傾向が確認できる。特に後者においては、全デビュー数の2割前後が再デビューという状態が維持されており、これが一種のトレンドであるかのようにも見えた。直近2009年では純粋な新人によるデビュー数が増加を見せ、再デビューの割合は15.6%にまで低下。変化が表れたようにも受け止められる。

なおこのデータでは、複数人数によるグループの場合は1人として勘定している。市場がそれを求めているからなのか、個々の「実力」の低下からなのかは不明だが、ソロの割合が減りグループ化が進んでいる昨今の状況を考えると、実際の歌手「数」はさらに増加しているものと思われる。



【CDやネット配信の「ミリオンセラー」をグラフ化してみる(2009年データ反映版)】など音楽CD関係絡みの記事で繰り返し述べているように、今世紀に入ってから「デジタル音楽端末や携帯電話など配信メディアの多角化と購入実行までのハードルの低下」「情報取得の容易さの進歩と情報そのものの増加による趣味趣向の多様化」で、購入される音楽が分散化し、ミリオンセラーが生まれ難い状況が生じている。一方で、歌手数が多ければそれだけ多くの曲が世に出回ることになる。

歌手”歌手が増えたから曲が増えて視聴者の「好みの曲」が分散化した”のか、”視聴者の趣味趣向が分散化したので、市場がそれにマッチすべく歌手が増加している”のか。いわば「卵が先かニワトリが先か」の話になるが、どちらなのかは判断がつきにくい。あるいは双方が同時進行をしている可能性もある。

デビュー歌手の増加がそのまま市場の拡大につながるのか否か、見極めは難しい。本文中でも使ったキーワード「粗製乱造」、あるいは「使い捨て」的な扱われ方を主人公がされてしまう業界は、長続きしないのは世の常というもの。

いずれにせよ、絶対数だけ見ても、10年前と比べて1年単位でのデビュー歌手数が2倍に増加しているのは事実。音楽業界そのものが、前世紀までとは違った環境に変わりつつあることを表す一つの指針と言えそうだ。

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