在庫数は増加継続、兼業状況も増加…レコード・CDレンタル店舗数動向(2010年発表)

2010/07/31 12:05

先に【視聴音楽入手 借りるか買うか】で視聴音楽ソースの入手手段として、CDレンタル店舗が意外に使われている話をお伝えした。それに絡み、以前【CDレンタル店舗減少の理由を仕切り直してみる】で2008年度分の実情を元に、CDレンタル店の現況をグラフ化・分析したことを思い出した。今回はせっかくだからということで、そのデータの更新を行うことにする。

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用いる資料は日本レコード協会による【CDレンタル店調査 2009年度】。店舗規模・業態を勘案したサンプル調査方式で、975店を訪店調査した結果によるもの。それによれば2009年におけるCDレンタル店舗の特徴として、

・店舗数減少
・大型化止まる
・アルバムCD増加、シングル減少
・書籍レンタル兼業店増加

などの傾向が確認できる。

店舗数減少は止まらず、しかし単に減少するにあらず
まずは店舗数の動向だが、これは【「日本のレコード産業2010」】のものを利用した。

↑ レコード・CDレンタル店数の推移(各年年末)
↑ レコード・CDレンタル店数の推移(各年年末)

ゆるやかなカーブを見せてはいるものの、減少の傾向を続けていることに違いは無い。これだけを見ると単純に業界そのものが縮小しつつあるように見えるが、単純な縮小ではないのが理解できるのが次のグラフ。

↑ CDレンタル店のコーナー別店舗面積(1店舗平均、平方メートル、コーナー別)※コーナーの重複計算のためか近年データでは全項目を足すと全体数以上になる
↑ CDレンタル店のコーナー別店舗面積(1店舗平均、平方メートル、コーナー別)※コーナーの重複計算のためか近年データでは全項目を足すと全体数以上になる

データが存在する1994年以降、「その他」の売り場も含めた平均店舗面積は年々拡大を続け、単純に「店舗数縮小」では無く「多様化・兼業化の促進」と「規模の拡大」(あるいは小規模店舗の統廃合、自然淘汰)が行われていたのが分かる。

ただし2009年度は初めて店舗面積が縮小に転じており、特に「その他」部分の減少度が大きいのが気になる。「多様化・兼業化」の部分にも限界が生じたのか、その業界も縮小傾向にあるのか、今データだけでは判断が難しい(今件については後ほど改めて推測する)。

1店舗あたりの在庫数は増加を続ける
レンタル用CDの在庫だが、シングルの減少・アルバムの増加という傾向に変わりは無い。ただしシングルの減少数にアルバムの増加が追い付かず、結果として在庫総数は2008年からほぼ横ばい(微減)という結果に。店舗数が減少しているので、逆算的に1店舗あたりの平均在庫数は増加の勢いを止めていないが、直上の「1店舗あたりの面積増加傾向が止まった」ことと合わせ、少々気になる動きではある。

↑ CD総在庫数(千枚)
↑ CD総在庫数(千枚)

↑ 1店舗平均在庫数
↑ 1店舗平均在庫数

各店舗側は在庫を増やし、ニーズに対応すべく努力しているのだが、平均面積は減っているところを見ると、色々と場所的な工夫をして在庫のCDを押し込んでいる感はある。多種多様なニーズに対応しようとしているのか、あるいはCDの供給側の多さに対応せざるを得ないのか。

また、2002-3年以降はシングルCDそのものの売上急減(≒需要減退)に伴い、在庫をシングルからアルバムにスライドしている傾向が顕著なものとなっている。いまや在庫の大部分(2009年では91.9%)をアルバムCDが担っている状態。

兼業傾向にも変化が見える
さらに兼業率を見ると、興味深い動きが見られる。「CDレンタル専業」ではビジネス的に難しいことは昨年までと同じだが、他商品の新品販売や買い取りの兼業率が減少し、中古CDの販売やコミック・書籍のレンタルの兼業率が明らかに増加している。

↑ CDレンタルショップの兼業状況
↑ CDレンタルショップの兼業状況

2008年度まではほぼ全業態の兼業率が増加していたが、2009年度に入ると元々急増状態にあった「コミック・書籍レンタル」、在庫の融通もしやすいためかほぼ全店が兼業している「中古CD販売」以外はすべて減少傾向を見せている。利用客の財布のひもがますます固くなり、安上がりに済ませようとする姿勢にそった動きと考えれば、納得はいく。また、上記グラフで店舗売り場面積について、「その他」部分の減少度が大きいとしたが、これが「他商品の新品販売や買い取りの兼業率が減少した」ことによるものとすれば、上手く説明できる。

付け加えるなら、以前の記事でも指摘したが「ゲームソフト市場そのものが横ばい・オンライン通販による購入が普及している」「購入CDを中古として売りに出すような『CD取得・保存への傾注度の低い人』たちはオンライン・デジタルの楽曲購入に流れてしまい、市場が拡大していない」の流れが拡大したと見ることもできる。



レンタルCDショップが商品のオンライン販売、さらには楽曲そのもののデジタル販売の浸食をうけるという環境変化の中で『大型化・多様化』によって最適化を図ろうとしている様子に大きな違いは無い。店舗数の減少が続いていることを考えると、これに『自然淘汰』も加わるのだろう。この流れは【書店もリストラ・集約化が進む? 一年で484店舗減少するも総面積は拡大】【「書店の減り具合」と「書店の売り場面積動向」のグラフ化を仕切り直してみる】でも指摘しているように、書店業界でも同様の動きを見せている。

書店もCDレンタルショップも
大型化・多様化が
生き残る道
……のはずなのだが。
書籍にしてもCDにしても、そしてゲームにしても、他人の創造した文化的作品を楽しむという観点では何ら変わるところはない。その視点から見ると、インフラとしてのインターネットとデジタル系の商品が普及しつつある今、これらの商材(書籍・CD・ゲーム、そしてDVD)の物理的店舗が生き残るには、繰り返しになるが「文化メディア会館」のような大型・総合店舗化するか、本当の意味での専門特化店(例えば各分野のコンシェルジェ的な存在の店員がいるような)になるしか手がないように思える。だからこそ、書店・本屋とCDなどの音楽系メディアの店舗が融合しつつあると考えれば、昨今の動向も納得がいく。

あるいは「インターネット喫茶」のように「場の提供」をメインとし、商品の販売をサブ的要素にするという手もある。現在無料提供されているもの(立ち読みや試聴は無料)をお金を払ってまでやる人はいないので、ビジネス化は容易ではない。

さらに直近2009年度のデータでは、「店舗面積拡大化がストップ」「兼業スタイルで消費者が一層お金を使わない、デジタル側にお客を奪われている雰囲気が見受けられる」雰囲気が感じられる。この動きが一過性のものでなければ、今後CDレンタル店業界ではさらなる変化・進化が求められることになるだろう。

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