アルバミリオン4本のみ、有料音楽配信は10本に増える…CDやネット配信の「ミリオンセラー」動向(2010年発表)

2010/07/28 19:30

日本レコード協会は2010年4月5日、「日本のレコード産業2010」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2009年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料であり、音楽業界の動向を多方面から確認できる、貴重な資料といえる。今回はこの資料のデータの中から、先日ツイッターで【間接的にリクエストをいただいたこともあり】【「最近ミリオンセラーって減ってない?」趣向の多様化と大ヒット音楽CDの減少】を最新データで補完すべく、【CDやネット配信の「ミリオンセラー」をグラフ化してみる(2008年データ反映版)】の2009年版を作成することにした。

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雑誌やゲームソフトでも使われている言い回しでもあり、作家・出版元にとっては目標の一つでもある「ミリオンセラー」(100万本以上売れることを意味する)。先の記事では1989年以降 2008年までのデータをグラフ化したが、今世紀に入ってからミリオンセラーは急減し、2008年にいたってはシングル0・アルバム7・ダブルミリオン(200万枚以上)は皆無という物悲しい結果となっていた。2009年もあまり期待はできなさそう、という雰囲気はあったが、その通りの結果に落ち着いている。

↑ 音楽CD・ミリオンセラーの推移(1989年-)など(作品数)
↑ 音楽CD・ミリオンセラーの推移(1989年-)など(作品数)

2009年も残念ながらダブルミリオンを記録する曲は登場しなかった。そしてアルバムのミリオンは4本のみ。具体的には

・塩、コショウ(GReeeeN)
・All the BEST! 1999-2009(嵐)
・ayaka's History 2006-2009(絢香)
・愛すべき未来へ(EXILE)

という次第。昨年同様大御所的な立ち位置の歌手・グループによる「手堅い」作品が多く、また、タイトルから分かるように半数がベストアルバム的なもので、勢いの衰えは否定できない。

他方有料音楽配信のミリオンセラーは(4年分しかデータが無いが)昨年から持ち直し、2009年は10本に。購入までの手間的なハードルが低く価格も安く、場合によっては一人が何度も購入する場合もあること、さらには「着うた」「着うたフル」の双方でランクインしている曲名も複数(「ふたつの唇」「明日がくるなら」「遥か」)確認できる。金額的な問題や端末上の仕様、利用用途など、多彩な条件下で好きなタイプを選べる点では、物理的なCD・DVDのような媒体より自由度は高く、その点でも門戸は広いといえる。

なお詳しくは別所ですでに解説しているが(【「着うた」などの有料音楽配信売上をグラフ化してみる(2009年版)】)、配信回数そのものは横ばいを見せている。携帯電話配信周りも安定期を迎えたということか、あるいは飛躍的に市場を活性化させる勢いを持たせる個人・グループが登場していないのかもしれない。



2009年はアルバムのミリオンセラーが大幅減少、シングルは3年連続のゼロという結果に終わっている。大勢としては変化は無く、すなわち1990年後半にピークを迎えたシングル、そしてアルバムCDのヒットセールスは漸減し、さらに21世紀に入ると趣味趣向の多様化や音楽配信メディアの多角化などが原因で、ミリオンセラー数は減少の一途をたどっている次第。

かつて宇多田ヒカルの初アルバム『First Love』は初回出荷280万枚、1999年だけで800万枚を超えるヒットを記録した。このような「超ヒットセラー」は、よほどのことが起きない限り二度と起きないに違いない。エントロピーは得てして増大する方向に進むのであり、それを後押しする環境(情報伝達スピードの向上や情報検索・習得・蓄積手段の個人ベースへの拡散)が整備されつつある以上、趣味趣向もまた拡散するのが世の常だからだ。

音楽供給の媒体がデジタルに移行を続け、それと共に購入までのハードルが低くなり、「”ちょっと”気になったらすぐダウンロードで買おう」という行動が可能となった。皆が同じ曲に振り向き、我も彼も同じ曲を買い求めるという状況は、それこそ「銀河の歌姫」でも登場しない限り(この表現、まだネタとして使いますヨ)、いにしえの出来事として語り伝えられる昔話となってしまうのかもしれない。

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