交通事故による2009年の死亡者、前年比-4.7%の4914人に

2010/07/28 19:35

交通事故先日姉妹サイトの記事【サイトの名前で記事のダメだしされました(笑)】で少々触れたが、某雑誌の「交通事故による死者は実は増えている、警察の発表は真実を語ってない」という主旨の記事に対し、著名な方から【そんなことは無い。「真実を語っていない」と主張する方が真実ではない】とする反論が行われた。その際に当方のかつての記事【交通事故による死亡者、前年比-10.3%の5155人に】が資料として提示された。理由はともあれこんな形で、かの記事が再注目を集めたのも何かの縁。そこで今回は、その記事のデータ更新版を作成することにした。

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2009年分のデータは【警察庁の統計データ一覧】【平成21年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について】にそのデータがある。それによると2009年の日本国内における交通事故の発生件数は73万6688件(前年比-3.8%)、死者数は4914人(-4.7%)という結果に。

まずはデータが公開されている1993年以降の年間交通事故死亡者数推移。今データにおける「死亡者」は、事象発生から24時間以内に死亡した人数を指す。統計ではその他に30日以内の場合の「30日以内死者数」、さらには厚生労働省のデータとして「1年以内死者」も存在する(後述)。

↑ 年間交通事故死亡者推移
↑ 年間交通事故死亡者推移

多少の変動はあれど、確実に減少している様子が分かる。

これを元に、年間死亡者数の前年比(減少率)を算出したのが次の図。数字のプラスが大きいほど、死亡者数が減少している割合も大きいことを意味する。

交通事故死亡者の前年比減少率
↑ 交通事故死亡者の前年比"減少"率

前世紀末、2000年ごろまでは多少のぶり返しもあったが今世紀に入ってから、特に2005年以降は一貫して減少率が上乗せされ、死亡者数が加速度的に減少している様子が実感できる。この傾向は2009年の最新データを追加したものでも変わらない。

先の定義にあったように、この数字はあくまでも「事故発生から24時間以内」のもの。中には(冒頭の記事にあったような)「どうにか24時間は延命させて、都合の悪い数字減らしをしているのでは」と考える人もいるだろう。しかし実際にはその考えは正しくない。今データには「交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移」のグラフもあり、そこには24時間に限定せず、「30日以内」、さらには厚生労働省統計の「1年以内」の数も含まれている。そしてこれらの値を眺めれば、この15年前後来すべての値が減少しているのを確認できる。

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)(ピンクは車両台数)
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)(ピンクは車両台数)

大きめのグラフに文字を加えたが、1960-1970年における「第一次交通戦争」は経済発展のさ中で自動車、特に商用車の急速な普及と共に、立ち遅れた交通行政と自動車社会に対する啓蒙不足、法整備不足が要因。第二次交通戦争は自動車交通の加速化に対して行政の対応が間に合わなかった(環境整備予算、人員数、若年層への啓蒙)とする意見が有力。

しかし第二次交通戦争以降は

・車両台数は増加、その後十年強の間は横ばい
・事故発生件数、負傷者数は上昇、その後横ばいから、直近数年間は減少の傾向
・死者数(24時間以内、30日以内、1年以内)は一環して減少

の様相を見せている。特にこの過去10年間において事故の発生件数と負傷者数が横ばいから、直近5年来は低下傾向にある一方、各種死者は一様に急速に減少しているのは注目に値する。

これら一連の減少傾向について警察庁のレポートなどによればその原因として、

・シートベルト着用者率の向上(【シートベルトとエアバッグのデータをグラフ化してみる-「戦後の交通事故・負傷者・死亡者をグラフ化してみる」後日談】なども参照)
・事故直前の車両速度の低下(安全運転の徹底化や取り締まり・法令強化、警告装置の充実)
・悪質・危険性の高い事故の減少
・歩行者の法令遵守
・自動車技術の進歩(エアーバック、ABS、車体構造、シートベルト)
・シートベルト着用、飲酒運転などに関する交通ルールの規制強化
・医学、生存技術の進歩による事故死の減少(事故数と負傷者数が比例していることも裏づけ)

などの複合効果によるものとしている。一つ一つはさほど大きなものではないかもしれないが、これらの対策が積み重なることで、確実に交通事故による悲劇を減らしている。それは上記の各種データからも明らかである。

なお、やや蛇足ではあるが、交通事故全体の死亡者数は減少傾向にあるものの、自転車におけるそれは全体の減少と比べて減少率が緩やか。結果として交通事故全体に占める自転車事故の事故件数・死傷者率は増加傾向にある。自転車は自動車と比べて利用ハードルが低く、安全装置の類も自動車と比べて設置しにくいため、「万が一」の時の対応が難しい。「自転車だから」と油断すると、大変なことになるので、くれぐれもご注意されたい。

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