全体でわずかながらプラスに、テレビがプラスで大きく貢献(経産省広告売上推移:2010年7月発表分)

2010/07/09 05:02

経済産業省は2010年7月8日、特定サービス産業動態統計調査において、2010年5月分の速報データを発表した。それによると、2010年5月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス0.4%と久々に増加を見せていることが明らかになった。主要項目別では「雑誌」がマイナス12.4%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得や項目選択のあらましは記事一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】で解説しているので、そちらで確認してほしい。今記事はその2010年5月分データの速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年4-5月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年4-5月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしてみたが、全体的に足踏み状態に近い感のあった先月と比べ、全部門で状況が改善されているように見える。特に先月、速報値ではマイナスを見せていた「インターネット広告」だが、確定値ではかろうじてプラスだったことが確認できる。ただし改善、という表現を使ったとしても、紙媒体2部門の落ち込みが著しいことに違いは無い。

個別で見ると、テレビが先月に続きプラスを維持しているが、これは先月の事情同様、「昨年の同月における」前年同月比がマイナス12.0%と(テレビ部門にしては)かなり大きな下げ幅だった反動によるところが少なくない。

今回も該当月における各区分の売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データ【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2010年5月分)】との違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つ程度としてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年5月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年5月、億円)

今回取り上げた項目中では、インターネット広告はすでにラジオ、雑誌を超え、テレビ・新聞に次ぐ第三番目の規模にまで成長している。しかし全体に占める割合はまだわずかでしかなく(該当月全広告費の4.3%)、テレビのケタ違いの大きさにはまだまだ太刀打ちできそうにないのも分かる(八分の一程度)。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年5月まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年5月まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で回復、プラス圏に」「新聞・テレビ・ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小に。ただし新聞は失速気味、テレビはプラスに転じる」「雑誌はかなりマズいレベルの下げ幅を継続中」という傾向を見せている。

特に雑誌の低迷ぶりは(最悪期は脱したものの)、前年同月比で大きなマイナスを続けていることからも明らか。これは絶対額の低下継続を意味しているため、冷や汗ものの展開といえる。だからこそ(海外での浸透やプラットフォームの急速な普及もあるが)昨今において、急速に「電子出版」「電子書籍」の話を耳にするようになったのだろう。つまり前々から有望視されていたものの腰の重かった「デジタル化」という新航路の開拓に、販売低迷・広告費の止まらない減退という「お尻に火がつく状態」になり、ようやく本腰を入れて乗り出したという次第である。

また、一部の経済指標では6月あたりから再び踊り場、あるいは低迷の様相を見せ始めている。いわゆる「前年同月比のワナ」が終わる、あるいは「遺産」の食いつぶしの傾向が見えてくる時期でもあり、気になるところだ。

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