テレビの好印象続く、次いでPC-ネット周りでは若年層に変化の兆し(2010年)

2010/06/28 07:20

メディア環境研究所は2010年6月23日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・2010」の抜粋編を発表した。それによると、あらかじめ用意された多数の肯定的項目に対する各メディアのイメージ量(≒好印象度・インパクト・影響力・メディア力の度合い)において、テレビがすべての年齢層・性別に対し、ほぼ全般的に高い値を示していることが分かった。既存4大メディアでは雑誌や新聞がテレビに次いでいるが、新聞が高齢層ほど高い値を見せているのに対し、雑誌は逆に若年層ほど高数値を示しており、イメージ度の変化傾向という観点ではパソコンや携帯電話など新世代メディアに近い傾向にあるのが分かる(【発表ページ】)。

スポンサードリンク


今調査は郵送調査方式で行われ、2010年1月29日に発送、2月10日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・愛知・高知の四地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15-69歳の男女に対し調査票が計2934通送付され、2611通が回収された。デジタル手段ではなく、郵送方式で調査が行われたこと、調査実施期日が今年の1-2月であることから、比較的片寄りの無い、昨今の状況を表したデータといえる。なお、特記無き限りデータは基本的に(今回公開対象となった)東京地区のものである。

「あらかじめ用意された多数の肯定的項目」は次の通り。

1.情報が信頼できる
2.情報が早くて新しい
3.情報が幅広い
4.分かりやすく伝えてくれる
5.知りたい情報が詳しく分かる
6.斬新な情報が多い
7.身近な内容の情報が多い
8.感動や興奮を覚える情報が多い
9.役立つ情報が多い
10.楽しい情報が多い
11.気持ちが落ち着く情報が多い
12.自分にとってなくてはならない
13.仲間との話題に必要
14.おもしろい
15.ポリシーやメッセージを感じる
16.明確な個性や特徴を持つ
17.定評や人気がある
18.センスがいい・カッコいい
19.活気や勢いを感じる
20.時代を切り開いていく感じがする
21.生活者の声に耳を傾けてくれる感じ
22.好感が持てる
23.わからない・あてはまるものはない

前回調査と比べると「最近元気がない感じがする」が除かれている。この設問は唯一ネガティブ色が強いものであり、設問上の統一感(各項目・総計共に値が大きいほど好意的な印象が強い)のために除外されたものと思われる。この削除により今件総量イメージを、「多ければ多いほど、そのメディア(が発する情報)に深い、そして好意的な関心が持たれていることが分かる」値と表現できることになる。そしてそれは「(プラス方面での)媒体力・メディア力がある」と言い換えることもできる。

それでは各メディアに対するイメージ量の総数は、どの年齢・性別でも同じだろうか。各メディアのイメージ総量と、年齢・性別に区分したイメージ総量はそれぞれ次の通りとなった。

↑ イメージ総量(2008年-2010年)
↑ イメージ総量(2008年-2010年)

↑ 各メディア毎のイメージ総量(年齢及び性別区分、補助線付き)
↑ 各メディア毎のイメージ総量(年齢及び性別区分、補助線付き)

今件は前述のように昨年と比べて1項目減っているため、単純計算すると総量の点で(本質的に何の変化が無くとも)マイナス4.2%ほどの変移が生じることになる。にも関わらず、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌はそれ以上の減少幅が確認でき、インターネットはパソコン・携帯双方でそれ未満の減退率でしかない。この点だけを見ても、「媒体力」の変化を推し量ることができる。

今回の公開資料や先の記事【男性10-30代は「テレビよりインターネット」・年齢差きわだつメディアへの接触時間】にもあるが、20代男性のテレビ視聴時間は60代女性と比べて約半分でしかないなど、若年層のテレビ離れが顕著に見えている結果が出ている。それにも関わらず、テレビが「全年齢層・性別を問わず」他のメディアと比べて高いイメージ総数≒高(好)印象度合いを確保しているのが確認できる(若年層では赤丸部分に若干凹みがあるが、他メディアと比べればまだまだ高い)。これは「オールラウンド的な魅力」「不特定多数に向けた情報発信の仕組みを採用」「視聴ハードルそのものが低い」のが主な理由。「視聴時間が短い若年層からも、一定のイメージ的な支持を維持し続けている」これがテレビの現状であり、メディアにおいて最大の威力を持ち続ける理由に他ならない。

・パソコンネットがテレビ以上
去年は10-40代、今年は50代まで
・携帯ネットの堅調さ
去年は10代が顕著、今年は20代まで

ネット世代の年齢領域の
拡大化傾向?
ただし個別ケースで比較すると、例えば男性10代-50代においては、「テレビ<<パソコン経由のインターネット」という状態が確認できる。同様の傾向は昨年においては10代-40代までだっただけに、「テレビ疎遠・パソコン傾注」な男性たちが年を取ることで40代から50代へも浸透してきたのではないかという感はある。

また、特異な値としては、元々女性は男性よりもテレビを視聴する時間が長いのだが、それと共にイメージ量も女性の方が大きいことがわかる。携帯電話における世代間格差が極めて大きいこと、パソコンは男性の方が(仕事などで多用しているからか)年齢差が小さいなど、各メディアの細かい利用事情が見えてくる。

さらに去年のデータ(【好印象、テレビが一番・パソコン二番。雑誌は意外にパソコン・ケータイに近い……?】)と比較した場合、携帯電話において20代の大きな伸びが目立って見える。前述したように1項目減ったため、昨年比では単純に計算しても4.2%の減少が生じるはずなのに、女性20代は100ポイント強、男性20代に至っては200ポイント近くもの上昇が確認できる。携帯常用世代による携帯電話への心頭度の高さが、20代にも派生してきたというところだろうか。来年以降の値が気になるところ。

雑誌とパソコンはほぼ同じ傾向
これは昨年の調査結果でも指摘したが、4大既存メディアの中で唯一「雑誌」は、他の既存メディアと違い、むしろ新世代メディアであるパソコンや携帯電話に近い傾向が見られる。具体的には各メディアにおいて、

・新聞……全般的に「高年齢層ほど印象度が高まる」
・雑誌、携帯電話……「若年層ほど印象度が高まる」
・パソコン……「中堅層まで印象度は高く、高年齢になると印象度が低下する」

のようなイメージ総数の推移が見られる。また今回は記事作成を略しているが、各メディア毎にイメージ度の高い項目をピックアップすると、

・雑誌
「★知りたい情報が詳しく分かる」「★役立つ情報が多い」「楽しい情報が多い」「おもしろい」「明確な個性や特徴を持つ」「センスがいい・カッコいい」

・パソコンからのインターネット
「情報が早くて新しい」「情報が幅広い」「★知りたい情報が詳しく分かる」「★役立つ情報が多い」「自分にとってなくてはならない」「時代を切り開いていく感じがする」

・携帯からのインターネット
「情報が早くて新しい」「★知りたい情報が詳しく分かる」「★役立つ情報が多い」「自分にとってなくてはならない」「時代を切り開いていく感じがする」

となり、パソコン・携帯電話間には共通項が多いものの、雑誌との間には「知りたい情報が詳しく分かる」「役立つ情報が多い」の項目しか共通項が無く、あとは違う項目で好印象を受けていることが分かる。しかも違う項目を見比べると、雑誌が「エンタメ系」色が強いのに対し、インターネットは先進性・広域性的な印象が強く、別の方向にあるのが見て取れる。

お互いのメリット・デメリットをうまく活かすには(視聴者から見た)「雑誌とパソコンの共通点を強く連動させつつ、お互いの足りない部分を”相手だけが持つ部分”で補完し合える」ような企画を、両者に共通した「支持の高い若年層-中堅層」に向けて発するのが賢いやり方といえる。これにより、非常に有効で相乗効果を期待できるものが創り出せる可能性が出てくる。これは去年も指摘したことではあるが、残念ながら今のところ、劇的な効果を挙げた事例はまだ見られないように思える。

あるいは考え方を変え、「雑誌の足りない部分をパソコン・ケータイに補完させるための仕組みをあらかじめ雑誌に添付させる」という手もある。これなら今までにも何度と無く行われてきたし、手立ても簡単に済む。また、【ウェブで最新マンガが読めるなら「ぜひとも読みたい」1割足らず、か!?】で紹介したような「ウェブ上で漫画(の一部)を公開する」のも一つの手かもしれない。



携帯電話は他メディアと比べてまだ歴史が浅く、利用ハードルも高いことから、特に中堅層以降のイメージ量が少ない。そのため、メディア全体としてのインパクトは低くなる。しかし利用頻度の高い若年層(10代)に限れば、男性ではラジオ・新聞・雑誌を抜き、女性でもラジオ・新聞、さらにはパソコンを抜いて雑誌に迫る勢いを見せている。

「これらの層が年とともに社会人となり年齢を重ねるに連れ、利用時間そのものは減少する。社会人になれば学生時代と比べて自分が自由にできる時間は減少するからだ。しかし、その一方で携帯電話に対するイメージ総量にはさほど変化は起きないものと思われる(学生時代に培った携帯電話との接触時間の経験はそのまま残り、消えてしまうわけではないからである)。それと共に各メディアに対するイメージ総量の相対的な立ち位置も、1、2年単位ではさほどの違いはないが、数年、10年単位でみれば、大きく変化を見せることだろう……」

……というのが昨年の結論だった。本文でも触れているように、今年はすでに携帯電話項目の20代の男女双方においてその兆しが見られる。これが単なるデータ上のぶれなのか、それとも「動き出して」いるのかは、来年以降の調査結果で検証する必要がある。しかしながら、今記事においてはもっとも重要視すべき動向といえる。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー