不景気でテレビ時間も増加、メディア視聴の構成率は変化継続(2010年)

2010/06/27 06:58

メディア環境研究所は2010年6月23日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・2010」の抜粋編を発表した。それによるとメディアの接触時間は今年も去年に続き、わずかではあるが増加する傾向を見せていることが確認された。パソコン・携帯電話からのインターネット接続時間の増加率が大幅な伸びを示し続けている一方、テレビや新聞など一部旧来メディアの時間もわずかながら伸びており、「メディア接触のデジタル化」の進行と共に、今年も不景気のあおりを受けた「内こもり」「節約志向」の現象も反映された結果となっている(【発表ページ】)。

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今調査は郵送調査方式で行われ、2010年1月29日に発送、2月10日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・愛知・高知の四地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15-69歳の男女に対し調査票が計2934通送付され、2611通が回収された。デジタル手段ではなく、郵送方式で調査が行われたこと、調査実施期日が今年の1-2月であることから、比較的片寄りの無い、昨今の状況を表したデータといえる。なお、特記無き限りデータは基本的に(今回公開対象となった)東京地区のものである。

一連の調査において、各主要メディア毎の一日あたりの平均接触時間を時系列にたどって見ると、2006年から2008年の間に減少を見せていた総視聴時間は、2009年以降は少々ずつながら増加の傾向を見せている。

↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)
↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)

今調査を見る限りでは2006年から2010年の間で新聞14%、雑誌18%前後、ラジオにいたっては35%程度の時間減少が確認できる(テレビは去年から転じて微増)。昨年と比較すると特に雑誌・ラジオの凋落ぶりが顕著。また、昨年同様にテレビが「全メディアの中では最大の時間帯を確保している」と共に、今年は「絶対時間がさらに持ち直した」ことが分かる。この絶対時間の値だけを見ると、テレビが復調化しているようにも見える。

それぞれのメディアの増減を、もっとも古いデータの2006年時の値を100%として経緯を見たのが次の図。

↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)
↑ メディア接続時間時系列推移(分、一日当たり平均)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)

上記に挙げたポイント数の推移をはじめとした、各媒体の動向が非常によく理解できよう。

今年の特徴としては、年々減少傾向にあった「メディア接続総量」及び「4大既存メディアの接続時間」の一部が去年に続き増加傾向を見せていること。そして今年も去年同様に「パソコン・携帯電話によるインターネットへの接続時間」が大幅に増加している。ざっとまとめると今年は

・メディア接触全体量……増加
・パソコン、携帯電話経由のネット接続、テレビ……増加
・新聞……やや増加
・ラジオ、雑誌……大幅減少

という傾向にあることが分かる。今傾向の理由について元資料では解説がないが、テレビの大幅増加については【アメリカで伸びる「テレビを観る時間」……レコーダーの普及、不景気と選挙が原因か】でも伝えられているように、「不景気でお金をあまり使わずに時間をつぶせる娯楽に、時間が費やされた」ことが原因であると想定できる。要は「外に出て遊ぶと何かとお金がかかるから、家でテレビを見たり、パソコンでネットに接続してる方がいいや」ということだ。メディア全体の接続ボリュームが増えているのも、それを裏付けるデータとなる(あるいは2009年夏の選挙も要因の可能性がある)。



今回データでは旧来メディアも一部で利用時間をかさ上げし、特にテレビは復調の兆しがあるように見える。しかし実態としては、縮減の方向に向かっていることが次のグラフを見るとよく分かる。このグラフは各年のメディア接触時間全体のうち、それぞれのメディアがどれほどの割合を占めているのかを示したもの。パソコンや携帯電話の割合が確実に増加を遂げ、旧来メディアが少しずつ新メディアに領域を奪われつつあるのが見て取れる。

↑ メディア接続時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)
↑ メディア接続時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)

この形のグラフ、どこかで見た記憶があるような……と探ってみたところ、媒体別広告費の比率変化に似ていることに気がついた(【電通資料を元に媒体別広告費の推移をグラフ化してみる(増補版)】)。

↑  媒体別広告費(構成比推移、2001-2009年)(2004-2005年で推定範囲変更のため継続性は無し)(再録)
↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001-2009年)(2004-2005年で推定範囲変更のため継続性は無し)(再録)

このグラフから「プロモーションメディア広告」の部分をざっくりと削除すると、形状的に似通っていることが分かる(新聞がやや大きめなところはあるが……)。メディアの接触時間といわゆる「媒体力」、そしてその媒体力への対価としての広告費の動きには、それほど大きな違いはない、ということなのだろう。

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