男性10-30代は「テレビよりインターネット」・年齢差が開くメディア接触時間(2010年)

2010/06/26 19:30

メディア環境研究所は2010年6月23日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・2010」の抜粋編を発表した。それによるとメディア全体の接触時間は、若年層と高齢者が長く、中堅層は短めの傾向にあることが明らかになった。一方でメディア毎の接触時間は年齢階層毎に大きな違いを見せており、「20代男性はテレビ以上にパソコンでネットに接続している」「男性は10代から30代でテレビよりも、パソコンと携帯電話を合わせたインターネットへの接続時間が長い」「60代女性はテレビへの接触時間が長いことで、全年齢層で最長時間のメディア接触を果たしている」など、昨今のメディア事情を顕著に表す特異な傾向が多数見られる結果となっている(【発表ページ】)。

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今調査は郵送調査方式で行われ、2010年1月29日に発送、2月10日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・愛知・高知の四地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15-69歳の男女に対し調査票が計2934通送付され、2611通が回収された。デジタル手段ではなく、郵送方式で調査が行われたこと、調査実施期日が今年の1-2月であることから、比較的片寄りの無い、昨今の状況を表したデータといえる。なお、特記無き限りデータは基本的に(今回公開対象となった)東京地区のものである。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の既存4大メディアと、パソコン・携帯電話それぞれからのインターネット接続の計6つに限定したメディアの接触時間の総計は、 2010年においては347.9分/日という結果が出ている。また、性別・年齢階層別に見ると、60代女性がもっとも長く383.9分の値を見せている。さらに女性だけに限ると、10・20代と60代はほぼ同じであることが分かる。これは【女性はテレビが大好き!? 若年層のテレビ視聴時間をグラフ化してみる】【新聞記事や特集7割・テレビ番組8割……シニア層の情報源、テレビや新聞が圧倒的】にもあるように、男女別では女性が、年齢階層別では高齢層がテレビを長く見る傾向があるのが要因。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(2010年)(一日あたり、分)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(2010年)(一日あたり、分)

全般的には男女とも30-40代の壮年層の時間が比較的短く、若年層・高齢層の時間が長めの傾向が見られる。また、10代女性の時間が長いのは、ひとえに携帯電話からのインターネット接続時間が他年齢階層と比べてきわめて長いことによるもの。

これを各メディア毎の時間配分で区分すると、様々な特徴が見えてくる。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2010年)(クリックで拡大表示)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2010年)(クリックで拡大表示)

・男女とも20代まで、特に15-19歳は携帯電話の利用が大きな割合を占めている。
・パソコンの利用時間は男性の方が長い。仕事での活用場面が多いからか。
・テレビ視聴時間は男性が20代、女性は10代がもっとも短く、以降年齢経過と共に増えていく。また、男性よりも女性の方が長い傾向。
・ラジオは30代以降利用時間が長くなる。ただし男性に比べると女性は利用時間は短め。
・男女とも歳の経過と共に、全体に占める既存4大メディアの割合が増え、新メディアの割合、時間が減る。
・男性40代までの「テレビ離れ」が目立つ。女性は逆に接触時間が伸びる傾向に。
・女性60代のメディア接触総時間は女性の中ではもっとも長い値を示している。テレビ視聴時間が長いのが原因。
・20代男性ではパソコン経由のネット接続単独で、テレビの視聴時間を上回っている。
・男性は10代-30代まで、「パソコンと携帯電話のネット接続総時間」が「テレビ接続時間」を上回っている。昨年「上回るかも」と予想した女性10代は、携帯電話時間は増えたもののパソコンの時間が減り、テレビも増加したため、逆転現象は起こらず。

以前ヤフーバリューインサイトが公開した自主調査の結果【10代は動画投稿サイトが大好き!! 年齢階層別に見た「従来四大メディア」と新情報メディアのせめぎ合い】などで示したように、「若年層はデジタルメディア、高齢層は既存4大メディアへの注力が大きい」という傾向が改めて裏付けられている。

・若年層はパソコンやケータイ経由の
ネットアクセス時間が長い。
→デジタルメディアに慣れ親しむ。
・高齢者はテレビや新聞などの
既存4大メディアの利用時間が長い。
→旧来メディアが浸透。
・テレビ接続時間を去年と比較すると
男性:減少、女性:増加という傾向が。
また今年も去年同様に20代男性において「テレビの視聴時間<パソコン経由のインターネット使用時間」というデータが確認できた。要は「テレビを見るよりネットをする時間が長い」ということだ。10代においては(メディアに触れる機会そのものが家族や学校などに制限される場合もあり)まだテレビの影響力が強いが、若年層のデジタルメディアへの傾注が加速している形。ただし今年は全般的にテレビ接触時間において、男性は減少・女性は増加の動きが見られる。単なるデータ上のぶれか、あるいは安上がりの娯楽として選ばれたのかもしれない。

特に注目されている20代男性のメディア接触時間を、全体接触時間に占める割合でグラフ化すると、この層における既存4大メディア離れがよく分かる。

↑ 20代男性におけるメディア接触時間(一日あたり、全体接触時間に占める割合)
↑ 20代男性におけるメディア接触時間(一日あたり、全体接触時間に占める割合)

女性に限定すれば、社会人となる20代までは携帯電話への注力時間が非常に長いため全体数を押し上げ、全年齢層でもっとも長い値を示す結果となった(104.7分)。しかしこれも20代に入ると(社会人になることから)極端に短くなり(59.1分)、代わりにパソコンの利用時間が増えている。携帯電話に対する注力度の高さが、同年齢における男性との違いの特徴ともいえる。

もう一つ気になる点を挙げるとすれば、男性、特に20代の「テレビ離れ」。接触時間は2時間を切っており、60代男性と比べると半分強ほど・女性60代との比較なら半分未満でしかない。流行に敏感な女性10代も、携帯電話の利用時間は去年からさらに大幅に増加している。



今年は去年ほど明確な区分を見いだせないものの、メディア接触時間の傾向の変化は40代から50代を境界線として生じている。これは世間一般に言われるところの「近頃の若い者は」「これだから歳寄りは」という類の、普通の「世代間ギャップ(ジェネレーションギャップ)」とはまた別の差異があるようにすら見える。

近頃では高齢者も携帯電話でインターネットに注力する人が増えている。しかし全体的にはインターネットが普及しはじめた10年ほど前から今現在までに、それらのデジタル・ネットメディア(新メディア・新世代メディア)を受け入れるだけの柔軟性が(・を持つ年齢で)あったか無いかが「ギャップ」を生み出している感が強い。

例えば「パソコンや携帯電話、インターネットの普及」がこの10年の間に大規模に進んだとする(本当は個々においてもっと細かな違いがある)。つまり現時点において、一人一人において最大でも10年間しか「新世代のメディア」と接触できないわけだ。

現在40歳の人なら10÷40=25%、50歳なら10÷50で20%。これまでの人生のうち、それぞれこの割合の時間しか、新メディアに接触していない。人生の接触時間において多数派を占める「旧来メディア」への注力・信頼度が強いのもうなづける。ところが現在20歳の人なら10÷20=50%、30歳なら 10÷30=33.3%と、自分の人生においてかなりの時間を「新世代のメディア」に触れて過ごしたことになる。高齢者と比べて「慣れ」「信頼し」て当然といえる。

↑ 新世代メディアの展開を10年と仮定した時の、各年齢における「自分の人生全体における新世代メディアとの接触年数」(概念図)
↑ 新世代メディアの展開を10年と仮定した時の、各年齢における「自分の人生全体における新世代メディアとの接触年数」(概念図)

もちろんわずか20%しか触れていない50歳でも「新世代メディア」について熟知し、理解する人もいれば、50%も触れている20歳でもまったく理解できない人もいる。個人差はどんな世代にでもある。しかしながら全体的に、自分の人生においてどれだけの時間「新世代メディア」と触れたかにより、許容・拒絶の違いが生じるのも、ある程度は仕方が無い。それはまるで、歳をとるほどに主観時間が短く感じられる(1年ごとに人生の分母が増える。例えば20代にとっての1年は1/20であるが、60代にとっての1年は1/60でしかない)ジャネーの法則のようですらある。

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