上を向き「ナニあれ?」と思わず声をあげたくなる地下通路広告

2010/06/27 06:56

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思わず上に注目地下鉄駅とその周辺の通路、あるいは地下街を行き来するための通路(合わせて地下通路)は周囲を壁で仕切られ、多くの人が行き交うという特殊な環境のため、【あの映画のワンシーンに飲み込まれた気分になれる地下鉄通路の側壁広告】【そばを通るだけでセレブ気分になれるカメラの広告】のような広告展開の場所として良く利用される。同時にそれは、地下通路が広告の出稿場所・展開場所として、色々なアイディアを盛り込むチャンスの場であることに他ならない。今回紹介する広告もまた、地下通路の特性を活かした、独創的で目を引きつける発想のものである(トリガー記事:uphaa.com)。


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↑ これは確かに身近なところ。
↑ これは確かに身近なところ。

ジャンプして手に取りたくなるこれはポテトチップスで有名な【Lay's】がアメリカの地下通路で2009年8月に展開した広告。自社の主力商品であるポテトチップスの原材料「じゃがいも」が、どごそも知れない遠くからの輸入品では無く、消費者の手身近なところで育てられたものであることをアピールするために展開されたもの。

側面のポスターにはLay'sのロゴと共に「私たちのポテト商品の原材料となるじゃがいもは、あなたが想像する以上に近いところで育っているんですよ(Our potatoes are grown closer than you may think.)」とのメッセージ。「そんなに近いってどこなんだろうな」とやや意地悪にひとりごちていると、視界の端に映る妙な造形が気になり、ふと目を上に。すると、ひび割れた地下通路の天井からじゃがいもたちがたわわに実っているのが目に映る。「近く、ってこの地下通路の真上かい!」「こりゃ、確かに想像以上だわ……」と思わず吹き出してしまうという次第。

もちろん天井のじゃがいもたちが本物であるはずもなく、よく創られた造形だろう。それでもじゃがいもが育つ様子を下から見る機会など滅多にないだけに、そんな情景を目にできたこと自身でもその珍しさに、思わず足を留め、見入ってしまう。

広告はまず不特定多数の人に見て注目してもらう必要がある。そしてその際に、単に視界に留まるだけでなく、何らかの行動や思考的アクション(例えば理解する、納得する、普段の行動と結び付ける)があれば、認知率・記憶残存率は飛躍的に高まる。もちろんその際に、ネガティブな感情ではなく、ポジティブ、あるいは素直な感心や納得の気持ちがあれば、より深く一人ひとりの心に刻まれ、口コミの対象となる(何の予備知識も無くこの「じゃがいも」たちを目にしたら、誰にも話さないことなどできようか?)。

商品の素材が地面に植わっていることから地下通路が利用できたという、やや幸運なところもあるが、あらかじめ用意されている条件や素材をうまく結び付け、多くの人たちに深い印象を与えるものを作り上げるのは、並大抵の努力と「ワザ」と「発想力」が無ければ出来ない。その意味で、この広告は大変良く出来たものといえよう。


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