「買うのやめた」ネット通販のショッピングカート上のキャンセル事情を探る
2010/06/19 12:00


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元記事では価格比較サイトや競争の激化、複数サイトの渡り歩きが楽になったことなどから(【Facebookやツイッターなどのソーシャルメディアが通販サイトにお客をどれだけ流しているかを調べてみる (2010年5月版)】を参照のこと)、ネット通販での「ショッピングカートのキャンセル」事例が増加したと指摘。その上で、いくつかの調査結果をビジュアル化している。そのうちおもなものを箇条書きにすると次の通り。なおデータは基本的に2009年のアメリカにおけるもの。
・全米人口3億0950万人のうち75%がネット通販を利用
・ネット通販利用者の7割が、一度は「ショッピングカートのキャンセル」の体験あり
・「ショッピングカートのキャンセル」でキャンセルされた商品の平均価格は109ドル
・「ショッピングカートのキャンセル」で180億ドルの売上機会が喪失した
・ネット通販業者の45%は「ショッピングカートのキャンセル」問題を、どうにかして改善したい問題だと考えている
続いてグラフ化が可能な、あるいはグラフ化した方が分かりやすいデータを3つほど。まずは「キャンセルしたショッピングカートの中身」の金額。平均金額は109ドルとあるが、その内情が見て取れる。

↑ キャンセルしたショッピングカートの中身はどれくらい?
大体が100ドル未満、日本円なら数千円台までの商品だったことが分かる。もっともネット通販で購入するもの自体、さほど高値をつけているものではないこと、そして「買物のプロセスの途中でキャンセル」という状況が容易に想像できるから、金額がやや少なめなのも理解できる。
それを裏付けるのが次のグラフ。キャンセルした際に、そのカートには何個の商品が入っていたか。「3つ」までで全体の四分の三を占め、少数購入ケース、あるいは多数購入する途中でキャンセルした様子が想像できる。

↑ ショッピングカートに入れた商品の購入をキャンセルした際の平均的なカート内商品個数
ネット通販利用者からすれば「単にカートに入れただけなんだし、実店舗での買い物のように傷がつく可能性もないから、別にキャンセルしたっていいじゃん」という思いもある。しかし店舗側の視点で考えると「機会損失」「システム負荷」が頭に浮かぶ。出来るだけキャンセルは避けたい、避けてほしいというのが本音。
そして店舗側としては「なぜショッピングカートに入れた商品をキャンセルしたのか」、その原因を知りたくなる。「気まぐれ」「比較したら他店舗の方が好条件だったから」という理由ならあきらめもつくが、自店舗側の問題点でキャンセルされていたとしたら、改善の余地はあるからだ。

↑ なぜショッピングカートの中身をキャンセルしたのか(複数回答)
最大の理由は「配送料が高い」。逆にいえば配送料が安い、あるいは無料ならば、この46%分はキャンセル「されない」可能性が出てくる。【アマゾン、全商品の通常配送料無料キャンペーン継続へ・終了時期は未定に】にもあるように、アマゾンなどが配送料の基本無料サービスを継続しているのも、この機会損失を考慮したのが一因であると考えれば、納得もいく。
また、列挙されている項目のうち少なくとも「支払い方法」「カスタマーサポート」「クレジットカードのセキュリティ」は、店舗側の対応を改善することで、キャンセルを留まらせる可能性がある。
今件はあくまでもアメリカの事例ではあるものの、配送料のくだりなど日本でも納得できる部分は多い。きっと何らかの参考になるはずだ。
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