【更新】早くも天井観が予見・前年同月比でプラス12.4%(2010年5月分大口電力動向)

2010/06/19 19:30

電気事業連合会は2010年6月18日、同会公式サイトにおいて、2010年5月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年5月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で689億kWhとなり、前年同月比でプラス6.7%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス12.4%を記録し、6か月連続で前年同月の実績を上回ることになった。これで半年連続のプラスとなる([発表リリース、PDF])。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そちらで確認をしてほしい。

2010年5月においては大口全体で前年同月比プラス12.4%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が増えたことになる(機器の技術進歩などによる節電効果もいくぶん数字には反映されているが、一年で加速度的な進歩がない限り、誤差の範囲でしかない)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2010年4-5月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2010年4-5月)

今月も前月に続き、すべての項目で前年同月比でプラスを見せている。数字のプラス値そのものは非常に頼もしい話ではあるが、昨年のこの時期は「リーマン(ズ)・ショック」で急激な下げを見せていただけに、安心はできない。つまりコンビニの売り上げにおける「タスポ効果」の反動と真逆で、リーマンショックの反動を超えたものではないというとらえ方。絶対値の差異を見れば分かるはず(2009年5月の全体値はマイナス30.0%)。また、「鉄鋼」の急速な回復は頼もしい限りであるが、「化学」以外のすべての項目で先月比で伸び率が後退しており、早くも天井観が予見される。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

2010年5月の時点では、大口電力使用量の観点においては、3月までの状況回復傾向が失速期に入ったように見える。先々月詳細を解説したように今月も含め、これからしばらくは「前年同月比」において、昨年の「マイナス20%、30%は当たり前」と比較した形での値が出るため、見た目は急速に回復しているようでも、実はそれほど驚くべき内容ではない、繰り返しになるが「コンビニの売り上げ」や「住宅の新築着工」でも見受けられた「前年同月比のトリック」が発生する(去年の下げ方が異常な大きさなら、今年は下げていても「それよりマシ」に見えてしまうという現象)ことに留意する必要がある。全体値では2009年2-5月で大きなマイナス値(マイナス30%前後)が確認されているので、今月、あるいは来月あたりが「前年同月比の」ピークを迎えるように思われる。

投資の世界で言われることだが、「3割減った後に3割増えても元には戻らない」という話がある。3割減少したあとに原状復帰するためには、3割では無くそれ以上(約4割2分)の回復が必要になる。昨今の状況はあくまでもリバウンドの域に留まっているというのが現状だ。

今件は国内景気(内需)を推し量る物差しとして注目すべき指標であるだけに、大口電力使用量は今後も注意深く見守り続けることが求められよう。

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