テレビが両社ともプラス、紙媒体は不調(電通・博報堂売上:2010年5月分)

2010/06/10 05:12

【博報堂DYホールディングス(2433)】は2010年6月9日、同社グループ主要3社の2010年5月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が先の2010年6月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内における二大広告代理店の直近月における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細、各項目に関する算出上の注意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】にまとめてある。そちらで確認してほしい。

二大広告代理店の2010年5月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2010年5月分種目別売上高前年同月比

先の【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2010年6月発表分)】と比べると計測月は一か月先行しているが、いくつの共通点が見受けられる。やはりもっとも気になるのは、テレビが両社ともプラスを示していること。金額そのものが大きいので、全体に占めるテレビのプラス分の金額的割合は小さくない。例え数%でも、両社にとっては大きく支えとなっているはず。

一方で紙媒体の軟調さは先月から変わらず。電通の新聞項目がかろうじてプラスだが、雑誌の落ち込み方は小さくない。しかも「相当数落ち込んでいた」前年同月と比べてさらに落ちているのだから、数字自身は昨月と比べて改善されたとしても、安心はできない。

会社別では電通と博報堂の傾向に大きな違いが見える。

・電通……インターネットメディアで特筆すべき伸び。金額的にはさほど大きくないが、成長性を見せている。他にも旧来メディアでプラス項目複数。
・博報堂……プラス項目はテレビとインターネットのみ。ほとんどの項目で電通よりネガティブな数字(絶対金額では無く各々の前年同月比で)。特に4大既存メディア以外の従来型媒体では、電通がすべてプラスなのに対し、博報堂はすべてマイナス。

博報堂の特殊事情(2009年にグループ会社の再編を行った)ことが影響しているのも一因だが、以前から指摘しているように「多項目で電通への一極集中ぶり」の可能性は否定できない。今月は、博報堂の前年同月比でプラスとなった項目は2つしかなかった(先月は1つ)ことを考えると状況はちょっぴり改善しているように見えるが、電通の変移と比べると心もとない。

このような状況を見るに、広告を出稿する企業側も使える予算が限られてきたため「分散投資より集中投資を」と考えた方が自然。あるいは出稿する広告量そのものが減退しているかもしれない。さらには博報堂の事業再編がまだ進行中で、プラスの効果を生み出すまでには至っていない可能性もある。いずれにせよ、市場の健全化には競争原理が必要不可欠であるため、寡占化は良い状況ではない。

また先月に続き「レガシーメディア」と、インタラクティブメディア(インターネットメディア)・従来の物理メディアとの温度差が気になる。テレビがやや復調を見せているのは幸いだが、これが言葉通り「身を削るほどのコストカット」によるものなら、今後その副作用が生じる懸念もある。質の変化は具体的な数字としてすぐには表れないだけに、その副作用が表面化してからでは応対に時間がかかるものだが……。

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