メキシコ湾の原油流出阻止に「核爆発を」の声・米政府は完全否定

2010/06/03 19:30

メキシコ湾の原油流出事故アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が2010年6月3日に【伝える所によれば】、現在も状況は悪化進行中のメキシコ湾における原油流出事故について、事態打開のオプションの一つとして「核爆発」を用いて流出を食い止めるとする案が民間などから相次いで提案されている。これに対してアメリカ政府側では「検討したことすらない(The nuclear option was not ― and never had been ― on the table.)」とコメント、さらに高官の一人は「クレイジーな話だ(It's crazy.)」とまで断じているとのこと。

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↑ 現状を伝える報道。これはトップキル作戦が失敗したことを伝えるAP伝(公式)動画。
↑ 現状を伝える報道。これはトップキル作戦が失敗したことを伝えるAP伝(公式)動画。

メキシコ湾における原油流出事故は2010年4月20日に、アメリカのメキシコ湾沖で操業していたイギリス・BP社の石油採掘施設(半潜水式の石油プラットフォーム)「ディープウォーター・ホライズン」が爆発を起こし、1.5キロメートルもの深度のある海底へ伸びる深さ5.5キロの掘削パイプが折れ、海底油田から大量の原油がメキシコ湾全体へと流出し続けているもの。現在英BP社の【公式サイト】では日々状況を伝える体制をとり、状況を伝えている(【最新のリリースではルイジアナ周辺の島々に対し、原油による汚染を防止するための防油バリア設置のために3.6億ドルほどの資金提供に応じた】との話が掲載されている)。

↑ 事故発生から36時間以内に撮影された映像の1カット。
↑ 事故発生から36時間以内に撮影された映像の1カット。詳細は【Deepwater Horizon Oil Rig: The First 36 Hours】で。

事故・原油流出対策としてパイプから原油を回収すると共に、破損したパイプそのものを挟みこんだり、油田自身を泥で埋める作戦が行われていたが、後者(トップキル作戦)は失敗。今後数か月は流出が続くとし、史上最大(最悪)の原油流出事故になる可能性がある(2010年6月2日時点でのNASA提供による【国際宇宙ステーションからの写真】でも規模の大きさが良く分かる)。


原油流出の動向がよくわかる動画。NASAなどの画像を利用している。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、流出する原油の「フタ」を閉めるアイディアとして、(最大の爆発力を持つ)「核」を地下の流出現場で爆発させるという方法について、複数の科学者やレポーターなどが提案をしている。また、BP社や政府機関などに同じような発想の提案が、ブロガーなどから殺到しているとのこと。論理的には同一体積で最大の圧力・熱量を創造できるのが(現在の人類の科学では)核爆発によるものであること、高温によって多孔質岩石が溶けてガラス化し、それがフタの役割を果たしうるなどの説明がなされている。さらに、実際に1966年から1981年にかけてソビエト連邦が天然ガスの採掘井戸火災を止めるのに核爆発を用い、成功した複数の事例を挙げている。

冒頭でも触れたように、アメリカ政府側では今件について「検討したことすらない」と断じている。また、アメリカでは古くは「チャリオット作戦」(1950年代に検討された、アラスカに核爆発を利用して人工湾を創ろうとした計画。反対運動で頓挫)を中止した経歴があり、最近ではオバマ大統領自身が「核兵器なき世界」の実現を掲げたことでノーベル平和賞を授与されていることから、政治的・歴史背景として実現性はゼロに等しいとされている。

ただし原油流出の被害は日に日に広がりを見せ、相次いで講じられる対応策・打開策でも状況の改善・原油流出に歯止めがかからない事実も変わりは無い。他に打つ手が無ければ、「最大の熱量・圧力を発生させられ得る」道具の一つとして、想定されないわけではないことも指摘されている。

なお原文では最後に「原油流出以上の状況悪化とは?」という設問に対し「”放射能を帯びた”原油の流出」という回答を紹介している。

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