エリア情報誌はキビシいのです…諸種雑誌部数動向(2010年1-3月)

2010/06/01 05:07

先に【ゲーム・エンタメ系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2010年1月-3月データ)】などで【社団法人日本雑誌協会】が2010年5月24日に発表した、2010年1月から3月分の主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータを元に、いくつかのグラフを生成した。今データは定期的に更新され、すでに丸一年以上のデータが取得できたため、季節属性にとらわれない「前年同期比」の値を出せるようになったことは、これまでの記事でお伝えした通り。今回は番外編として、【「小学●年生」は2-3割減!? その他色々な雑誌部数の変化をグラフ化してみる(2009年10-12月データ)】同様に、当サイトで定点観測しているデータ以外のいくつかの雑誌について、「前年同期比」における部数推移をグラフ化してみることにした。雑誌不況はどこまで、どのジャンルに浸透しているのか、どこまで進行しているのか、ある程度はつかみとれるはずだ。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。状況としては前期とあまり変わらず。

一般週刊誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)

今回計測分については、前期比(前年同期比では無い)でプラスに転じている雑誌は「週刊現代」と「サンデー毎日」の2誌のみ。上記グラフ(前年同期比)と相合わせて考えると、週刊現代が順調な伸びを見せているというのが分かる。それにしても3期連続して前年同期比でマイナス10%超えを見せた「SPA!」や「FLASH!」などは先行きが心配。

続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)
↑ 育児系雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)

育児系雑誌は比較的手堅いジャンルであったはずだが、今期もかなり辛い状況に。「プレモ」は前回同様前年同期比で大きな伸びを見せており、前期比でもプラス。部数自身も最新データで5万6000部あまりとそれなりの数のため、少数による「ぶれ」ということでもない。何か躍進の秘密でもあるのだろうか(調べてみた限りでは、ファッション誌ライクなオシャレ感・情報量の多さと読みやすさ、そして充実した別冊がニーズに応えているということだ)。一方、他はかなり大変な状況。「こっこクラブ」「ベビモ」は3回連続の前年同期比で10%超えのマイナス。危機的な状況ではある。

食・料理・レシピ系雑誌。内食・中食への注力が高まる中で、ニーズは強まるばかり、のはずだったのだが、全般的に伸び悩み状態なのは前期と変わらず。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)
↑ 食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)

料理の鍋ならぬ「地獄の釜のフタ」を開けたような状態。レタスクラブは情報を非公開化したのでグラフからは外れ、1誌以外はすべてマイナス。特に前回同様「bonmerci! little」の減少ぶりが気になる。前回の-19.2%をはるかに超えた-40.2%とは。この1年の間に約12万9000部から7万7000部への落ち込みは、まさに急降下状態。

エリア情報誌。こちらは「福岡ウォーカー」「北海道ウォーカー」の2紙が新しくデータ掲載対象紙として登場しているが、まだ三期分しかデータが蓄積されていないのでグラフ上には登場しない。

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)
↑ エリア情報雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)

対象雑誌は前回に続き今回も全部マイナス。さらに「TOKYO1週間」「KANSAI1週間」の両誌が今年6月8日号を最後に休刊することもあってか、直近データが非公開となり、前年同期比のグラフからは外れてしまった。特に「東京ウォーカー」の減りっぷりが潔いほど……とこれで3回目の繰り返しコメントになるほど、「東京ウォーカー」が大変な状況に。実測値も約9万2000部から約8万部への減少と、少なからぬ値であるだけに、「ぶれ」で説明できるものではない。ちなみにこれらのエリア情報雑誌のうち、印刷実績そのものが一番大きいのは関西ウォーカーの11.8万部。

【イヌとネコ、耳や鼻が良いのはどっち?…イヌとネコのトリビアたち】にもあるように、必ずといってよいほど対で紹介される「犬猫」双方の専門誌、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)
↑ 犬猫雑誌印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)

この雑誌不況の中、相変わらず両紙とも堅調な伸びを見せている。今回も「ねこのきもち」が「いぬのきもち」に勝った。直近前期比でも「ねこのきもち」は数を増やしており、猫派には嬉しい話。ただし絶対数では「ねこのきもち」11.5万部に対し「いぬのきもち」は16.2万部。まだまだ犬派優勢。

最後に小学館の「小学●年生」シリーズ。以前【「小学五年生」「小学六年生」が休刊・来年春に学習まんが誌「GAKUMANPLUS」を創刊へ】で報じたように、「小学五年生」「小学六年生」は休刊となり、データとして提示できるのは「小学一年生」から「四年生」まで。

「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)
「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2010年1-3月、前年同期比)

前回「小学二年生」がかろうじてプラスマイナスゼロだったのに続き、今回は大幅にプラス。絶対値そのものも直近期で19万7500部と、「ぶれ」で説明できるものではない。色々調べたがこれだけ伸びる原因はつかめていない。読者の方々で何か「これではないか」という原因を御存知なら、是非ともお教え願いたい。

※追記:読者からの情報によれば、データカードダス 仮面ライダーバトル・ガンバライドのディケイドカードが2010年2月号の付録についたのが一因のようです。



以上ざっとではあるが、定点観測の対象外となっている各種雑誌について、前年同期比の印刷実績の推移をグラフにしてみた。「犬猫雑誌」のような例外を除けば、ほとんどが前年同期で1割前後の売れ行き減を見せており、また休刊紙も少なくない。

意外なのはニーズが高い(【教育費 生活苦でも 減らしません 苦しい時こそ 子への期待を】などで触れているが、子供にかける費用は削られない傾向がある)にも関わらず、育児系雑誌が大きく落ち込んでいること。育児を本で学ぶ人が減っているのか、あるいはインターネットにスライドしているのか、その因果関係まではつかめないが、注目すべき傾向といえる。一方で「プレモ」の堅調な伸び具合には、育児系雑誌だけでなく雑業界全体における、低迷から抜け出すヒントのいくつかが見え隠れしている気がする。

雑誌低迷の原因の多くはメディアの多様化、新メディアと比べた上での相対的なデメリットが目立つ点にあるが、それと同時にメディアの仕組み・システムそのものではなく、内部でメディアを支え・構築する人たち(特に上層部)の「金属疲労」的な面も否めない。某アニメ映画における名セリフ「戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ」がそのまま当てはまる感は否めない。

果たして彼らは、すでに雑誌業界が戦争状態に等しいことを「本当に」認識しているだろうか。


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