「COURRiER Japon」前年比で大きくマイナス、リニューアルで挽回か…ビジネス・マネー系雑誌部数動向(2010年1月-3月)

2010/05/30 07:17

【社団法人日本雑誌協会】は2010年5月24日までに、2010年1月から3月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、各紙が発表している「公称」部数より正確度が高く、各雑誌の現状を「正確に」把握できるデータといえる。今回は当サイトのメインテーマにもっとも近い「ビジネス・マネー系雑誌」についてデータをグラフ化し、前回からの推移を眺めてみることにする。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

それではまず、2010年の1-3月期とその前期、2009年10-12月期における印刷実績を見てみることにする。

2010年の1-3月期とその前期、2009年10-12月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績
↑ 2010年の1-3月期とその前期、2009年10-12月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績

【マガジンとサンデー、どっちが売れてる? 少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2010年1月-3月データ)】の週刊少年ジャンプの「郡を抜く売れ行き」のように、雑誌名通り「プレジデント」が断トツで印刷部数が多い状況に変化はない。また、いわゆる「季節特性」(今期は正月・年度末休暇を含むので通勤・通学の際に読まれる雑誌は減少している)は、ほぼすべての雑誌に影響が出ているようだ。ただ、減り方が規則属性云々を超えたレベルの雑誌もあり、全体的な市場状況の悪化も多分に出ているもよう。

続いて各誌の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化する。要は約3か月の間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。よほどの「イベント」が発生するか、あるいはたまたま定期的な印刷部数見直し時期に当たらない限り、3か月間で大きな変化は見られないはず。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)

前回記事【ビジネス・マネー系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年10月-12月データ)】の同じグラフと比較して欲しいのだが、いくら季節属性があるとはいえ、四半期でこのレベルの状況変化は少々異常。百歩譲って「週刊東洋経済」「THE21」の2誌が前期の堅調さからの反動だとしても、「\enSPA!」については説明がつかない。次期にこれらの冊子の数字が持ち直してくれれば良いが、それが果たさなければ各誌、さらにはこのセクター全体の状況が思わしくないことを改めて認識する必要がある。

さて一連の定点観測を続けたことでデータ蓄積量も一年分を超え、「前年同期比」のデータを算出することができるようになった。今回も「季節属性」を考慮しなくても済む「前年同期比」のグラフも生成し、掲載する。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)

不景気な昨今において経済誌は「情報武装をするために欠かせない『武具』」としての立ち位置を持っているはずなのだが、今期に至っては前年同期比でプラスを見せた雑誌は皆無。マイナス5%超えの赤棒グラフは8誌。特に20%近い落ち込みを見せた「COURRiER Japon」は状況を認識しているようで、『最新の第68号』ではデザイン・内容の大幅なリニューアルを断行している。成果がどこまで出るのか、気になるところだ。



2008年秋の「リーマンブラザーズショック(リーマンショック)」を直近における天井とする形で、金融・経済系のウェブサイトにおける(確証度・知名度・権威度の高い新聞社・法人系サイトを中心にした)アクセスの増加傾向は速度をゆるめている。あるいは減少に転じたところもある。しかしパソコンや携帯電話、各種モバイル端末からアクセスできるインターネットメディアへの、紙媒体からの読者移行の流れは留まるところを知らない。特にリアルタイムで情報が変わる経済系ジャンルにおいては、雑誌の不利さは他のジャンル(漫画や趣味系の雑誌)の比では無い。携帯電話より表示面積の大きい画面を備えたスマートフォンの普及が進むに連れ、今ジャンルのインターネット上での情報展開はますますその重要度を増しつつある。

頑なに古い体制ばかりのみを固持することなく、この現状を正しく認識し、「それでは紙媒体・雑誌ならではの内容、雑誌にしかできない情報提供・読者へのサービスとは、そしてその仕組みとは何だろうか」という基本原理に立ち返ること。あるいは「新しいメディアと相乗効果を生み出せる仕組み、アイディアは無いだろう」という模索をすること。さらにそれらの答えを見つけ出して躊躇することなく実践し、読者に受け入れられるように自らの姿かたちを変えていくこと。ビジネス・金融・マネー誌にはその「進化のための努力」が求められているに違いない。


■関連記事:
【ビジネス・マネー系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2009年10月-12月データ)】

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