昨年は3割近い下げを示していたことを考えれば・前年同月比でプラス15.1%(2010年4月分大口電力動向)

2010/05/26 19:30

電気事業連合会は2010年5月21日において同会公式サイトで、2010年4月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年4月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で742億kWhとなり、前年同月比でプラス8.5%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス15.1%を記録し、5か月連続で前年同月の実績を上回ることになった。活況感がうかがえる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そちらで確認をしてほしい。

2010年4月においては大口全体で前年同月比プラス15.1%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が増えたことになる(機器の技術進歩などによる節電効果もいくぶん数字には反映されているが、一年で加速度的な進歩がない限り、誤差の範囲でしかない)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2010年3-4月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2010年3-4月)

今月は前月と比べ、窯業・土石は数字を持ち直しているものの、他は足踏み、あるいは戻りの歩みを遅くしている。リリースでも言及されているが、先月から続き鉄鋼系での強い回復ぶりは確認でき、それと共にすべての値がプラスを見せる結果になっている。数字のプラス値そのものは非常に頼もしい話ではあるが、昨年のこの時期は「リーマン(ズ)・ショック」で急激な下げを見せていただけに、安心はできない。

つまりコンビニの売り上げにおける「タスポ効果」の反動と真逆で、リーマンショックの反動を超えたものではないというとらえ方。絶対値の差異を見れば分かる。(2009年3月の全体値はマイナス29.3%)。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

2010年4月の時点では、大口電力使用量の観点においては、3月までの状況回復傾向が失速、あるいは足踏みをしているように見える。先月言及したように今月も含め、これからしばらくは「前年同月比」において、昨年の「マイナス20%、30%は当たり前」と比較した形での値が出るため、見た目は急速に回復しているようでも、実はそれほど驚くべき内容ではない、繰り返しになるが「コンビニの売り上げ」や「住宅の新築着工」でも見受けられた「前年同月比のトリック」が発生する(去年の下げ方が異常な大きさなら、今年は下げていても「それよりマシ」に見えてしまうという現象)ことに留意する必要がある。全体値では2009年2-5月で大きなマイナス値(マイナス30%前後)が確認されているので、この数か月が「前年同月比の」ピークを迎えるように思われる。

投資の世界で言われることだが、「3割減った後に3割増えても元には戻らない」という話がある。3割減少したあとに原状復帰するためには、3割では無くそれ以上(約4割2分)の回復が必要になる。昨今の状況はあくまでもリバウンドの域に留まっているというのが現状だ。

さらに日本国内の政策大転換と混乱(改善か改悪かは各自判断してほしい)が起きていることで、国内需要に見切りをつけた企業の動きが少なからず確認でき、このグラフの先行きが大きなぶれを見せることは容易に想定される。国内景気(内需)を推し量る物差しとして注目すべき指標であるだけに、大口電力使用量は今後も注意深く見守り続けることが求められよう。

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