【更新】新聞社ウェブサイトに望むこと、トップは「専門性」「正確性」ではなく……!?

2010/05/26 12:05

ORIMOは2010年5月12日、以前【日経新聞、完全収録な「電子版日本経済新聞(Web刊)」創刊へ・Web版のみは月4000円】で紹介した日本経済新聞(日経新聞)の電子版(Web刊))に関する調査結果を発表した。それによると調査母体が、日経Web刊をはじめとする法人新聞社のウェブサービスにもっとも期待することは「低価格化/無料化」であることが分かった。33.2％の人が望んでいる。男女別では女性はお手軽さ、男性は専門性などニュースとしての本質を求める傾向が強い([発表リリース、PDF])。



今調査は2010年4月11日から20日にかけて携帯電話経由のインターネットで20-59歳の有職者に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は718対282で、年齢階層比は20代239人・30代370人・40代284人・50代107人。

現在新聞大手5社(読売・日経・毎日・朝日・産経)をはじめ、多くの新聞社は自社のサイトを持ち、情報を配信している。記事のほとんどは新聞本紙の(一部)転載だが、中にはウェブ版独自の記事もある。それら新聞社のウェブサイトのユーザー層は「ある程度」レベルなら【主要新聞社サイトの読者数や読者年収など】などの外部ツールで確認できるが、詳細は外からは分からない。

また、海外の状況や、日経新聞がわざわざ「有料版」を展開するあたりから察するに、現在の「無料配信」のスタイルでは色々な意味で(特にお財布事情で)厳しいことは否定できない。今後何らかの形で単独、あるいは既存・新規媒体と融合・連動する形で、収益を上げる形を創る必要に迫られている。

それでは読者サイドの立ち位置からは、それらの問題を抱える新聞社サイトに対し、どのような期待を持っているだろうか。トップの回答は「低価格化/無料化」。インターネットのコンテンツ全体の流れとして浸透している「価格は低きへ流れる」動きは止められそうにない。


↑ あなたが、今後新聞社（日本経済新聞に限らず）のWeb サービスに期待することは何ですか？(上位10位まで)
法人新聞社配信ならではの独自性、すなわち「専門性」「正確性/信頼性」などは要望度は低く、インターネットのメリット「リアルタイム性」「速報性」の方が上に来ている。まずはインターネット配信の長所を活かしてほしい、という声にも読めてくる。

またトップの回答に対しては色々な解釈ができる。単に「他のサイトが無料で閲覧できるから新聞社サイトも無料にすべきだ」という程度のものか、それとも「新聞社サイトが提供している情報は、有料化・現行価格の額だけの価値は無い」という判断によるものなのか。または「お金を出してでも読みたくなるような優良コンテンツを配信してほしい」という要望の裏返しなのか。いずれにせよ、現行の新聞社サイトには厳しい対応が求められている。

この結果を男女別に見ると、それぞれの「新聞社サイトに対するニーズの微妙な違い」が読めてくる。


↑ あなたが、今後新聞社（日本経済新聞に限らず）のWeb サービスに期待することは何ですか？(上位10位まで)(男女別)
女性は男性と比べて「リアルタイム性/速報性」「読みやすさ/見やすさ」「手軽さ/アクセスしやすさ」を強く求めている。これは女性は新聞社サイトに「ライト感覚な読み物を期待している」感が強いと見てよい。地方紙の地域のイベントや、情緒あふれる物語、ちょっとお得なお話や芸能ニュースなど、女性週刊誌や奥様向け総合誌(オレンジページのような)的な情報スタイルを欲しているようだ。

一方男性は女性と比べ、「専門性」「正確性/信頼性」「WEB特別サービス/検索サービス」など、知的探究心に応えてくれる情報の提供や資料性を求めている向きが強い。半ば新聞の情報をデータベース的に使えるよう望んでいるというところか。

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新聞社がどの方向に向けてサイトの刷新を図るかは自由だが、読者のニーズを無視するようでは成功は難しい事を頭に入れ、検討課題にしなければならないのはいうまでもない。自分達の都合ばかり振りまわしては、読者はついてこないのだから。


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