基本的動向は先月と変わらず、インターネットのみが堅調(電通・博報堂売上:2010年4月分)

2010/05/15 12:05

【博報堂DYホールディングス(2433)】は2010年5月14日、同社グループ主要3社の2010年4月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が先の2010年5月12日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内における二大広告代理店の直近月における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細、各項目に関する算出上の注意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】にまとめてある。そちらで確認してほしい。

二大広告代理店の2010年4月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2010年4月分種目別売上高前年同月比

まず「おや?」と思われる人もいるかもしれない。実は全体的な傾向は前回の【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2010年3月分)】と変わりが無く、そのためグラフ内のコメントも同じものとなっている。さて昨年4月分データと比べると、「雑誌」の下落度合い・「新聞」の軟調さから「紙媒体の凋落ぶりが見える」のは変わらない(むしろ先月より状況は悪化している)。またテレビは、電通・博報堂共に先月3月分と比べて前年同月比の値が多少ではあるが改善しており、特に電通はプラスを見せているのが注目に値す。さらにラジオが今月も両社とも大きく落ち込んでいるのが特徴的。そして全体で見ると、いわゆる「レガシーメディア」(新聞・雑誌・ラジオ・テレビの4大既存メディア)で前年同月比プラスとなったのは、電通のテレビ分野だけ。

会社別では電通と博報堂の傾向に大きな違いが見える。

・電通……インターネットメディアで特筆すべき伸び。金額的にはさほど大きくないが、成長性を見せている。他にも旧来メディアでプラス項目複数。テレビがプラスなのも注目に値する。
・博報堂……プラス項目はアウトドアメディアのみ。伸び率が期待できる新興メディアのインターネットだけでなく、新聞やテレビ、マーケティング・プロモーションなど旧来性の強いメディアでの落ち込みも目立つ。特に紙媒体で著しい。

博報堂の特殊事情(2009年にグループ会社の再編を行った)ことが影響しているのも一因だが、以前から指摘しているように「多項目で電通への一極集中ぶり」の可能性は否定できない。先月に続き今月は、博報堂の前年同月比でプラスとなった項目は1つしかなかった(先月は2つ)。特に金額は小さいものの、成長性著しいはずのインターネットメディアですら(ほんの少しではあるが)マイナスだったのが痛い(子会社のうちの一つ、大広ではインターネットメディアは前年比プラス54.4%なのだが、金額が小さく全体に及ぼす影響は大きくない)。

このような状況を見るに、広告を出稿する企業側も使える予算が限られてきたため「分散投資より集中投資を」と考えていると判断せざるを得ない。あるいは博報堂の事業再編がまだ進行中で、効果を生み出すまでには至っていない可能性もある。いずれにせよ、市場の健全化には競争原理が必要不可欠であるため、寡占化は良い状況とは言えない。

また先月に続き「レガシーメディア」と、インタラクティブメディア(インターネットメディア)・従来の物理メディアとの温度差が気になる。テレビがやや復調を見せているのは幸いだが(在京キー局も上方修正を相次いで発表している)、これが言葉通り「身を削るほどのコストカット」によるものなら、今後その副作用が生じる懸念もある。金額が大きいだけに、広告代理店側も気が気ではないと思われるが……

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