売上高堅調推移、件数は横ばい、「着うたフル」が支える…「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数・売上動向(2010年発表)

2010/05/07 05:10

日本レコード協会は2010年4月5日、「日本のレコード産業2010」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2009年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多方面から検証することができる、現時点では最新かつ綿密な資料である。今回はこの資料のデータの中から、「着うた」「着メロ」などをはじめとする、有料音楽配信の売上件数と売上額をやや細密に区分した状態でグラフ化してみることにした。

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【音楽配信も業界を支えるには至らず…音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上をグラフ化してみる(2009年版)】でも示したように、悪環境の中でも奮闘している有料音楽配信だが、その大部分は携帯電話に代表されるモバイルが担っている。それではインターネットとモバイルそれぞれにおいて、売上件数と総売上はどのように推移しているのか。まずはインターネット部門の結果をグラフ化したのが次の図。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)

グラフを見ると、2005年第2四半期まではほぼ横ばいだった売上件数・額が同年第3四半期から突然動機付き、何度かの踊り場を挟んで大きく躍進を見せている状況が確認できる。これは2005年8月にアップル社のインターネット音楽配信サービス「iTunes」がスタートし、多くの人が利用し始めたことを起因とする。巨大なコンテンツの供給場登場で、市場が一気に花開いた形だ。

一方モバイルはインターネット以上の興味深い展開を見せている。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)

まずは聞きなれない用語の説明について。

・Ringtunes……着うた
・Ringback tunes……呼び出し音(メロディーコールなど)
・シングルトラック……着うたフル

これを元に、図から見える傾向などを箇条書きにすると次のようになる。

・売上高は堅調に拡大中。ただし総売上件数は2007年第1四半期以降ほぼ横ばいで推移。
・「着うた」は販売件数が漸減しているが、その減少分を「着うたフル」と呼び出し音などが補っている。
・特にシングルトラック(着うたフル)の伸びは大きいが、最近はやや停滞気味。

要は昨年と傾向はまったく変わっていないということになる。

【女子高生は2人に1人がこの半年で着うた購入…モバイル配信の現状をグラフ化してみる】などにもあるように、「着メロ」「着うた」は横ばいを続け、「着うたフル」は漸増状態にある。その流れが続いていることが、今グラフであらためて証明された形だ。



躍進を続けるモバイル向け有料音楽配信サービスの中でも、単なる曲の数節部分だけを再現した「着メロ」「着うた」などの利用機会が減り、曲そのものを楽しめる「着うたフル」、そしてさらには額・件数こそまだまだ少ないものの「音楽ビデオ」が着実に確実に伸びている。携帯電話の性能のこともあり、これまでは「聴きたい曲の一部が使えるだけでも御の字」だったのが、今や「全部聴けるのならサービスを利用し、CDは買わなくていいネ」になりつつあるのが実状。

携帯電話利用者数は頭打ち。
∴携帯電話利用者でまだ有料音楽を
利用していない層に訴えかける
必要が生じてくる。
少子化や携帯電話の買い替え需要の安定化により、利用者数そのものの伸びが期待できない今、利用件数を2005年や2006年の時期のように伸ばすのは難しい。現在は「単価の安いコンテンツから高いコンテンツへのスライド」が起き、さらに2009年においては低単価を好む傾向が強くなり、売上額は横ばいを見せている。踊り場、または現状の体制における臨界点に達してしまった可能性がある。

今後売り上げを維持、さらには伸ばすには、これまで有料音楽配信サービスをあまり使ってこなかった年齢・性別層への新規開拓が必要になる。例えば中堅層以降の男女、特に女性に気軽に利用してもらえるような工夫が求められよう。

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