音楽配信も業界を支えるには至らず全体売上は減少…音楽CD・有料音楽配信の売上動向(2010年発表)

2010/05/06 06:58

日本レコード協会は2010年4月5日、「日本のレコード産業2010」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2009年のレコード産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多彩な面から確認できる、貴重な資料として注目すべきものといえる。今回はこの資料中のデータを元に、以前【ネット音楽配信はCDの売上減少を支えきれたのか!? 音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上をグラフ化してみる】などで掲載した音楽業界の動向のうち、「音楽ソフトと有料音楽配信の売上推移」の最新データ(2009年分を反映させたもの)などをグラフ化してみることにする。

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まずは一番気になる「有料音楽配信」の2009年における結果だが、金額としては910億円、前年比で+0.6%の伸びを示した。データの公開を始めた2005年から今回の2008年目で5年目となるが、伸び率は鈍化してしまっている。しかし周辺環境の状況(不景気・若年層の消費抑制傾向の加速化)などを考慮すれば、大いに健闘したと断じて良い。

さてこれを、音楽ソフト(CDなどの音楽レコード媒体にDVDなどの音楽ビデオを加えたもの)と有料音楽配信(ケータイとパソコンなど)の双方を合算した売上推移について見てみたのが次のグラフ。後者は2005年以降分しかデータが公開されていない(本格的に普及し始めたのがこの年からだから)ので、 2005年から2009年までのデータを用いている。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移

2007年までは「音楽ソフトの売上減を有料音楽配信がカバーして余るほどだった」、言い換えれば「音楽業界そのものの売上は成長を続けており、CDなどの音楽ソフトの売上減は有料音楽配信にそのシェアを食われているからだ」と説明することができた。

ところが2008年に至り、有料音楽配信の成長は続いているものの、それ以上に音楽ソフトの売上減が急速に進んでおり、市場全体の売上も落ち込む結果となってしまった。2009年はその流れがさらに加速する状態であるのが確認できる(音楽ソフトの前年比は2008年でマイナス7.5%・2009年でマイナス12.5%)。市場全体の飽和感、不景気による可処分所得の減少を起因とする買い控えなど複数の要因が考えられるが、このデータからだけでは確定付けることは難しい。

ただし、音楽ソフトの中でも俗に言う「音楽ビデオ(DVDなど)」は前年比で+2%の伸びを見せている。メディア移行期における変移、さらにはそのニーズに配信側が追い付いていない可能性は高い。

「メディア移行期における変移」。この推測をある程度裏付けるのが次のグラフ。上記のグラフを1990年までさかのぼって再構築したもの。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-)
↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上推移(1990年-)

有料音楽配信のデータは2005年からなのでそれまでは音楽ソフトのみだが、2004年以前は有料音楽配信そのものが無きに等しい状態だったので、グラフ形成上問題は無い。【「最近ミリオンセラーって減ってない?」の「ミリオンセラー作品数」を仕切り直してみる】など過去のCD売上に関する記事でも述べているが、1990年代後半に音楽業界はピークを迎えており、それ以降は売上の面で漸減する傾向にあった。

携帯電話上の着メロがスタートしたのは1996年。ただし2004年以前は計測対象とならないほど売り上げは小さかったことや音質の善し悪しから、1996年-2004年の間の音楽ソフトの減少が、デジタル有料音楽配信のみに起因するとは考えにくい。2005年からは計測上無視できないほど有料音楽配信が成長を見せ、音楽業界に救いの手を差し伸べた形になっているのが分かる。



音楽ビデオの伸びは別にして、音楽ソフト(特にCD)の売上減少は著しいものがある。本文で「メディア移行期における変移」と表記したが、売上データの推移を見る限り、「音楽CD」から、「聴くだけならばiPodや携帯電話などによるデジタルメディアへ」「PV(プロモーションビデオ)のようなビジュアル付の音楽を楽しむならば音楽DVDへ」と二極化する傾向がある。

↑ 音楽ソフトの売り上げ推移(前年比)
↑ 音楽ソフトの売り上げ推移(前年比)

現在は移行先メディアへの乗り換えの遅延、さらに不景気や主な購入層である若年層の節約性向の高まりのため、一時的に市場全体が縮小しているように見える。しかし全体的な流れとしては、音楽CDの減少分を音楽DVDと有料音楽配信が支えようと奮戦する状況に変化は無い。

ただし前世紀末から見られた、少子化などによる「人口レベルでの市場縮小」は避けることが出来ない。【CD シングル・アルバムの購入枚数をグラフ化してみる】【着うたフル、中高生は50曲も保存中】などでも分かるように、購入枚数が少なめな中堅-高齢者にも受け入れられるようなマーケティングが業界に求められているのは言うまでも無い。

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