偶然が引き起こす「エラいことになった」ヘリコプターの映像

2010/04/30 05:05

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「エラいことになった」ヘリコプターの映像プロペラ式の戦闘機には前方に向けて発射する機銃のうち、胴体本部から放たれるものはプロペラ越しに弾が飛んでいく。「弾そのものがプロペラに当たって、自分で自分を撃墜しちゃわない?」と思いがちだが、ちゃんと同期機構が設けられていて、プロペラの羽根と羽根の間をくぐり抜けていく仕組みになっている。似たような「同期」の仕組み・理屈が起した、偶然の産物が今回紹介する動画。恐らくはロシア製の戦闘ヘリ・ハインドを航空ショーなどで撮影したものなのだが……


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↑ まるでメインローターがほとんど止まったように見えるハインドヘリ。Camera shutter speed synchronized with helicopter blade frequency。
↑ まるでメインローターがほとんど止まったように見えるハインドヘリ。Camera shutter speed synchronized with helicopter blade frequency。

静止画で見るとごく普通のヘリコプター(Mi-24攻撃ヘリ・ハインド!?)なのだが、動画で見ると本体上部にあるメインローター(回転翼)がほとんど停止し、後部のテールローターだけが勢いよく回っている「ように見える」のが分かる。まるで下から突風で吹きあげられた、あるいは上からピアノ線で釣りあげられているかのようにしか見えない。いずれにしても、非常に異様な光景であることに違いは無い。

動画のタイトルは「Camera shutter speed synchronized with helicopter blade frequency」。直訳すると「カメラのシャッタースピードがヘリコプターの回転翼の回転スピードに同期した」とある。冒頭の「戦闘機のプロペラと頭部機銃」のように、シャッタースピードがうまく同期したせいで、プロペラがほとんど回って見えないようになった結果(実際には回っている)、このような動画が撮られたとのこと。簡単に説明すると、「端から走行中のF1のレースカーを見ると一瞬で目の前を通り過ぎるけど、同じ速度で並走して眺めると止まって見える」のと同じ理屈。

「こんなことありえるのかな?」と思って調べてみると、デジタル系の動画撮影機材ではよくある話で、例えば【アップルが提供している「デジタル写真の基礎」なるマニュアル(PDF)】によれば、

一般にシャッタースピードは、被写体の動きを強調したり、または動きを止めたりするのに使用します。たとえば、自動車などの動きの早い被写体は、1/8 秒などの低速なシャッタースピードで撮影するとぶれる可能性が高くなります。一方、1/1000 秒などの高速なシャッタースピードでは、飛行中のヘリコプターのプロペラすら止まって見えます。

などという表記がある。これは静止画に関する言及だが、シャッタースピード次第でこんなこともありうることを表している。

また今件は「まるで止まったような」見え方だが、デジタル系のカメラの場合には似たような話として「走査速度の問題(一定のエリアを少しずつ順番に撮影していく)」関係から、プロペラが妙な形に見える動画が出来上がることが多数報告されている。


↑ これはiPhoneで本人が搭乗している飛行機のプロペラを撮影したもの。iPhone recording of a propeller。
↑ これはiPhoneで本人が搭乗している飛行機のプロペラを撮影したもの。iPhone recording of a propeller。

ともあれ、世の中には自身が意図することなく、不思議なものが創られることもあるものだ。


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