預貯金神話健在・「資産形成に重要な方法は預貯金」は45.8%

2010/04/28 12:05

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預貯金フィデリティ投信は2010年4月13日、退職金と老後生活に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、退職後の必要資産を創り出すのに重要な方法として「預貯金を使っての蓄え」と答えた人は45.8%に達したことが分かった。「資産運用」は19.9%でしかない。ただし年収が上がるにつれて両者の関係は変化を見せ、年収2000万円を超えると逆転する傾向が見られる(【発表リリース、PDF】)。


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今調査は2010年2月5日から15日にかけてインターネット経由で20歳から59歳の公務員・会社員に対して行われたもので、有効回答数は1万0976人。男女比は7730対3246、年齢階層比は20代2464人・30代2937人・40代2827人・50代2748人。調査そのものはIpsos日本統計調査が実施した。

【4割強が老後難民予備軍…退職後の資金準備額、ゼロの人は44.3%・50代でも2割強】などにもあるように、平均的な「退職後に必要な生活資金(公的年金以外)」は3000万円といわれている。それではその資産を創り出すのにどんなことが重要だと思っているのだろうか。「退職金や企業年金の充実」「預貯金を使っての蓄え」「資産運用」「不動産の取得」「遺産の相続」「その他」の選択肢から一つを選んでもらったところ、全体では「預貯金」がもっとも多く45.8%と半数近くを占めた。ここまで低金利が続く昨今においても、預貯金に対する絶大な信頼は変わりがない。

↑ 退職後の必要資産を創り出すのに重要だと思う方法は何ですか(択一、再構築部分あり)
↑ 退職後の必要資産を創り出すのに重要だと思う方法は何ですか(択一、再構築部分あり)

傾向としては「男性よりも女性の方が資産運用は苦手・預貯金信仰が強い」「歳を経るほど退職金や企業年金への期待が強まる」などの傾向が見られる。特に退職金や企業年金をもらう直前の50台になると、それらへの期待が男女ともにグンと高まるのは言葉通り「現金」な話。

一方これを年収別で見ると、違った傾向が確認できる。

↑ 退職後の必要資産を創り出すのに重要だと思う方法は何ですか(択一、再構築部分あり)(年収別)
↑ 退職後の必要資産を創り出すのに重要だと思う方法は何ですか(択一、再構築部分あり)(年収別)

・低年収ほど「退職金や企業年金にはあまり期待をしない」「預貯金が大切」「資産運用は二の次」
・年収が上がるにつれて「退職金・企業年金にも期待」「預貯金への傾注度が低下」「資産運用への期待が高まる」
・年収700-1000万円層あたりから「退職金・企業年金への期待が横ばい」に

などの傾向が見られる。低年収の人は現状をかえりみて退職金などにも期待できないから、とにかく確実に蓄財する方法として預貯金を重視、資産運用などもっての他となる。年収が上がり、ある程度余裕が持てるようになると、退職金・年金への期待と共に積極的な資産運用を試みるようになる。

ところがある一定以上の年収を超えると、関心はむしろ退職金・年金よりも資産運用に向くようになる。「退職金・年金はある程度確保できるし、今現在どうこうしても仕方がない。むしろ今から手が打て、最善が尽くせる資産運用が大切だ」という考えが拡大すると考えて良さげだ。

預貯金と資産運用へのウェイトの関係をはっきりと把握するため、この2項目だけを抽出したのが次のグラフ。年収増加と共に預貯金が減り、資産運用派が増加していくのがひと目でわかる。

↑ 退職後の必要資産を創り出すのに重要だと思う方法は何ですか(預貯金を使っての蓄え・資産運用の項目のみ抜粋)
↑ 退職後の必要資産を創り出すのに重要だと思う方法は何ですか(預貯金を使っての蓄え・資産運用の項目のみ抜粋)

年収1000万円を超えたあたりで、貯蓄派と資産運用派がほぼ均衡するのが興味深い。逆にいえば概論的に「資産運用を貯蓄と同じくらい大切に考えているのは年収1000万円以上の層」と見ることもできなくはない。



厳密には「預貯金」も「資産運用」の一つの手段。増加率が極めて低い(預貯金にも一応利子はある)代わりに、リスクが極力軽減されている・流動性が高いだけの話に過ぎない。要は「預貯金」と「資産運用」の違いは、この3点、すなわち「資産の増加率」「リスクの多少」「流動性」の違いに過ぎない。

そう考えれば「預貯金」重視派も「資産運用」に対する見方が多少は変わってくる。年収が上がり、お金周りに余裕が持てるようになると、その点に気がつく人も増えるのだろう。


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