「マイナス29.5%」との比較・前年同月比でプラス19.9%(2010年3月分大口電力動向)

2010/04/17 07:52

電気事業連合会は2010年4月16日、2010年3月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年3月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で733億kWhとなり、前年同月比でプラス6.1%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス19.9%を記録し、4か月連続で、先月以上の上昇幅で、前年同月の実績を上回ることになった(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そちらで確認をしてほしい。

2010年3月においては大口全体で前年同月比プラス19.9%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が増えたことになる(機器の技術進歩などによる節電効果もいくぶん数字には反映されているが、一年で加速度的な進歩がない限り、誤差の範囲でしかない)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2010年2-3月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2010年2-3月)

今月は前月と比べればさらに数字は持ち直している。リリースでも言及されているが、先月から続き鉄鋼系での強い回復ぶりが確認できる。また、グラフの形状を見れば分かるように、前年同月比でマイナスの値が無くなったため、当然のごとく全体でもプラスを見せる結果になった。数字のプラス値そのものは非常に頼もしい話ではあるが、昨年のこの時期は「リーマン(ズ)・ショック」で急激な下げを見せていただけに、安心はできない。

つまりコンビニの売り上げにおける「タスポ効果」の反動と真逆で、リーマンショックの反動を超えたものではないという考え方。絶対値の差異を見れば分かるはず。2009年3月はマイナス29.5%)。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

2010年3月の時点では、大口電力使用量の観点においては、状況の回復傾向が明確に見えているのが改めて分かる。しかし今月も含め、これからしばらくは「前年同月比」において、昨年の「マイナス20%、30%は当たり前」と比較した形での値が出るため、見た目は急速に回復しているように見えても、実はあまりたいしたことが無い、繰り返しになるが「コンビニの売り上げ」や「住宅の新築着工」でも見受けられた「前年同月比のトリック」が発生する(去年の下げ方が異常な大きさなら、今年は下げていても「それよりマシ」に見えてしまうというもの)ことに留意する必要がある。2009年2-3月で大きなマイナス値が確認されているので、今月あたり、あるいは来月(または直近数年での最大のマイナス値を記録した2009年5月と比較して5月あたり)が「前年同月比の」ピークを迎えるように思われる。

投資の世界で言われることだが、「3割減った後に3割増えても元には戻らない」という話がある。3割減少したあとに原状復帰するためには、3割では無くそれ以上(約4割2分)の回復が必要になる。その視点で見ると、2008年3月の水準に戻るためには全体で19.9%では無く最低でも29.5%を超えるプラス(繰り返しになるが、2009年3月は前年同月比でマイナス29.5%だった)が必要なのだが、そこまですら達していない。あくまでもリバウンドの域に留まっているというのが現状だ。

さらに日本国内の政策大転換と混乱(改善か改悪かは各自判断してほしい)が起きていることで、国内需要に見切りをつけた企業の動きが少なからず確認でき、このグラフの先行きが大きなぶれを見せることは容易に想定される。国内景気(内需)を推し量る物差しとして注目すべき指標であるだけに、大口電力使用量は今後も注意深く見守り続ける必要があるに違いない。

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