全体での下げ幅縮小、復調への兆しか?(経産省広告売上推移:2010年4月発表分)

2010/04/13 07:55

経済産業省は2010年4月12日、特定サービス産業動態統計調査において、2010年2月分の速報データを発表した。それによると、2010年2月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でマイナス5.2%と少なからぬ減少を見せていることが明らかになった。主要項目別では先月同様に「雑誌」がマイナス24.2%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得や項目選択のあらましは記事一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】で解説しているので、そちらで確認してほしい。今記事はその2010年2月分データの速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正済み。

なお今回発表分データから、2009年1月以降の過去データにおいて「一部数値に変更が生じたため、以前の数値と一部不連続が生じて」(カッコ内原文ママ)いる。今回以降の各種数字は変更後の値であるため、前回までのグラフとやや形が異なることに留意されたい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年1-2月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2010年1-2月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしてみたが、全体的にやや復調していた先月に続き、状況が改善しているようすが見受けられる。テレビに至っては2008年2月以来2年強ぶりに前年同月比プラスを見せているが、その1年前の2009年2月は当方で集計データを保全している1988年12月以来最大の下げ幅マイナス19.0%を記録しており(リーマンショックの影響が大きく出ている)、その反動にしてはむしろ小さい感さえ否めない。

また、雑誌は相変わらず前年同月比でマイナス2割超という高い値を維持したまま。大きく下げた2009年2月からさらに四分の一近くの下げは、想像したくないほどの下落ぶりといえる。

「インターネット広告は大きく躍進している。しかし、広告業全体を底上げするだけの規模を持っているのか」という疑問もあるに違いない。そこで今回も、2010年2月における各区分の売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データ【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2010年2月分)】とやや違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つ程度としてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年2月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2010年2月、億円)

今回取り上げた項目中では、インターネット広告はすでにラジオ、雑誌を超え、テレビ・新聞に次ぐ第三番目の規模にまで成長している。これなら全体を「ある程度」引っ張ったとしても不思議ではない。ちなみにインターネット広告は2009年の時点ですでに、雑誌広告の規模を上回っていたことが確認されている。ただし言葉通りテレビのケタ違いの大きさにはまだまだ太刀打ちできそうにないのも改めて確認できる。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年2月まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2010年2月まで)

繰り返しになるが配信元において2009年以降のデータで微調整が行われたため、右側部分のグラフの形が先月までのそれとやや異なる様相を見せている。しかし大勢としては「インターネットは回復、プラス圏に」「新聞・テレビ・ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小に」「雑誌はかなりマズいレベルの下げ幅を継続中」という傾向に違いは無い。特に雑誌は、2009年の春先以降新聞と共に他の媒体から下部にかい離を見せ始め、2009年秋以降は同じ傾向を見せていた新聞が下落幅を縮小したことで余計に下げ幅が目立つようになり、歯止めがかからなくなってきている。

先の総務省統計局のデータを元にした分析記事【新聞や雑誌の買われ方はこの10年でどのように変化したのか……週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(追補編)】で解説しているように、雑誌・週刊誌は「購入世帯数の減少」「購入世帯の購入冊子数の減少」というダブルパンチを受けている状態。これと今件の広告売上の減少ぶりを見ると、雑誌業界が尋常でない状況にあることがあらためて理解できるというもの。業界関係者は少なからぬ危機感を抱いているに違いない。……危機感を抱くだけでは何の解決策にもならず、それは関係者自身も理解しているはずなのだが。

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