今世紀のお菓子の売れ行き具合をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/04/03 10:39

先行記事【業界規模は3兆3254億円・お菓子の売れゆき具合をグラフ化してみる(2016年)(最新)】で直近となる2015年における、日本国内のお菓子業界の動向を確認したが、そのデータを収録する全日本菓子協会のサイトでは毎年定点観測的に売上高を報告し、似たようなレポートを発している。そこでそれらのデータを集約し、今世紀に入ってからの各お菓子の販売状況の推移をチェックし、業界の動きを垣間見ることにする(【菓子統計・統計資料:発表リリース一覧ページ】)。

スポンサードリンク


先行記事の通り、2015年においてはチョコレートが最も売れており、次いで和生菓子、スナック菓子が続いている。数年の範囲ではチョコレートが伸び、和生菓子は復調、スナック菓子は堅調、洋生菓子は軟調。

↑ 菓子小売金額(2009-2015年、億円)(再録)
↑ 菓子小売金額(2009-2015年、億円)(再録)

それでは過去はどのような売上高を示していたのか。その推移を示したのが次のグラフ。2001年以降の各種類別売上高を単純に折れ線グラフにしている。

↑ 種類別・お菓子の小売金額推移(億円)
↑ 種類別・お菓子の小売金額推移(億円)

今世紀の動向としては2007年夏に始まる金融危機、リーマンショックなどの不況、そして2011年の震災など、多くの経済的な揺り動かしをもたらす事象が発生し、その影響が多分に生じている。実際、2007年から2008年以降、右肩下がりを示している項目が複数確認できる。とはいえ、短期間で大きな変化は見られない。

一方、10年以上の経過を見るに、各種類の好調・不調さが全体の雰囲気からにじみ出ているのが読み取れる。例えばチョコレートは震災以降成長期に入っている、スナック菓子や米菓は2004年以降確実に成長を続けている、洋生菓子は2008年あたりから減退に向けて動いている、チューインガムは2003年以降下落の一途をたどっているなどである。

とはいえ、元々ベースとなる額面が異なるため、それぞれの種類を一度にまとめたのでは、さすがに個々の種類毎の状況が把握しにくい。そこで個々の種類別にもっとも古い値の2001年の売上高を基準値の100.0%とし、2002年以降はどのくらいの額に変化したか、つまり「2001年比(前年比では無いことに注意)」をグラフ化したのが次の図。これなら種類別の動向がよく分かる。

↑ 種類別・お菓子の小売金額推移(2001年の額を100%とした時の推移)
↑ 種類別・お菓子の小売金額推移(2001年の額を100%とした時の推移)

昔から世間一般に普及しているお菓子の代表格ともいえる「せんべい」は一様に下げ続けており、ややショックを覚えるものがある。一方で類似品ともいえる「米菓」は年々順調な伸びを示しており、あるいはシンプルな「せんべい」から、より変化の富んだ「米菓」へと趣向がシフトしている可能性が見えてくる。

さらに2014年やそれに続く直近の2015年では多くの項目で増加が生じている。これは消費税率の引き上げや原材料の高等化に伴う値上げ、景況感の回復に連動したお菓子需要の増大など複数の要因によるもの。見方を変えればそれらの条件下においても下げ続けている洋生菓子やチューイングガムの状況が、極めて好ましくないのも把握できる。

単純に仕切り分けをするのも問題かもしれないが、プラス圏とマイナス圏で区分すると、「飴菓子」「チョコレート」「ビスケット」「米菓」「スナック菓子」「油菓子」はプラス圏、「チューイングガム」「せんべい」「洋生菓子」「和生菓子」はマイナス圏での推移となる。さらに直上で解説した2007年の景気後退開始以降、「ビスケット」「油菓子」のトレンドが下げに転じた雰囲気を見せ、「チョコレート」は逆にプラスに転じている。2014年以降はそれらのトレンドがいくつかの種類で加速化、あるいは転換した動きを見せており、大きな消費の変化が起きていることも見受けられる。中でも「和生菓子」や「飴菓子」、そして「ビスケット」の復調は注目に値する。

また、「せんべい」「チューイングガム」の下落傾向は深刻で、特に「チューイングガム」は10年強の間に売り上げを3割強も落としてしまっている。消費性向の大規模な変化も一因だが、前述記事の通り幼少期の子供達の間にもガム離れが生じており、原因は年齢構成の変化のみに留まらない。昨今のガム業界ではしきりに大きなプロモーションを実施したり、奇抜な発想の新商品が送り出されているが、その理由の一端がこのグラフに表れている。



【不況下でも「強い」企業たち】でも解説しているが、単価が安くて容易に心の安らぎを得られるお菓子類、特に甘味の強いチョコレートなどは、比較的不景気の影響を受けにくい。さすがに砂糖をはじめとする原材料の高騰などは要因として避けられないが、それでも他の小売商品と比べれば、景気による売り上げ減は最小限のものに留まっている。むしろ売り上げを地道に伸ばす種類もある。

企業としては利益を得なければならず、売り上げだけで万事OKではない(極論として売上高経常利益率がゼロなら、いくら商品を売っても利益は無しとなる)。しかし最低限の条件として、売り上げを得ることが欠かせないのもまた事実。その観点で考えれば、もちろん努力は重ねているとはいえ、「総額」の値がほぼ100%を維持しているお菓子業界は、比較的手堅い業界といえよう。同時に、ここ2、3年の上昇は上記の通り原材料の高騰化や消費税率の引き上げも一因なため、市場規模の金額的拡大は果たしても、収益状況の改善が成されたかについては分からない。

他方、周囲環境の変化による影響も多分に受け、内部的シェアが大きく様変わりしているのも事実。売上を伸ばす種類と落とす種類が二分化する昨今、数年後に各お菓子の種類のシェアはどのように変化を遂げているのだろうか。そのような想いを抱きながらスーパーやコンビニのお菓子コーナーを眺めると、より楽しい買い物ができそうではある。


■関連記事:
【オリジナルスイーツ、コンビニ常用者で月一以上の購入者は7割近く】
【カステラやおまんじゅう、羊かんはシニアの方が好んで食べる…世代別・単身世帯のお菓子支出比率をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2016年)(最新)】
【お菓子予算 1週間にどれくらい? 1000円未満が8割を占める】
【和風コンビニスイーツ、ターゲットは40代以上!?】
【コンビニ入店のきっかけになる商品、つい衝動買いしてしまう商品とは】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー