ラジオの下げが目立つ、紙媒体も軟調(電通・博報堂売上:2010年3月分)

2010/04/09 12:00

【博報堂DYホールディングス(2433)】は2010年4月9日、同社グループ主要3社の2010年3月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が先の2010年4月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内における二大広告代理店の直近月における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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グラフを作るために取得したデータに関する解説や、各項目の留意事項については【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で記述している。そちらを参照してほしい。

二大広告代理店の2010年3月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2010年3月分種目別売上高前年同月比

昨年3月分データと比べると、「雑誌」の下落度合い・「新聞」の軟調さから「紙媒体の凋落ぶりが見える」のは変わらない(ただし電通の新聞部門はそれでも前年同月比でプラスを見せている)。またテレビは、電通・博報堂共に先月2月分と比べて前年同月比の値が多少ではあるが悪化しており、元々額面が大きなだけに頭を抱える事態には違いない。さらにラジオが今月は両社とも大きく落ち込んでいるのが特徴的。そして全体で見ると、いわゆる「レガシーメディア」(新聞・雑誌・ラジオ・テレビの4大既存メディア)で前年同月比プラスとなったのは、電通の新聞分野だけ。

会社別では電通と博報堂の傾向に大きな違いが見える。

・電通……インターネットメディアで特筆すべき伸び。金額的にはさほど大きくないが、成長性を見せた意義はある。他にも旧来メディアでプラス項目複数。新聞がプラスなのも注目に値する。
・博報堂……プラス項目はクリエーティブとアウトドアメディアのみ。伸び率が期待できる新興メディアのインターネットだけでなく、新聞やテレビ、マーケティング・プロモーションなど旧来性の強いメディアでの落ち込みも目立つ。

博報堂の特殊事情(2009年にグループ会社の再編を行った)ことが影響しているのも一因だが、以前から指摘しているように「多項目で電通への一極集中ぶり」の可能性は否定できない。先月に続き今月も、博報堂の前年同月比でプラスとなった項目は2つしかなかった。特に金額は小さいものの、成長性著しいはずのインターネットメディアですらマイナスだったのが痛い。

このような状況を見るに、広告を出稿する企業側も使える予算が限られてきたため「分散投資より集中投資を」と考えていると判断しても違和感は無い。あるいは博報堂の事業再編がまだ進行中で、効果を生み出すまでには至っていない可能性もありうる。いずれにせよ、市場の健全化には競争原理が必要不可欠であるため、良い状況とは言えない。

また先月に続き「レガシーメディア」と、インタラクティブメディア(インターネットメディア)や従来の物理メディアとの温度差が気になる。とりわけ今月はラジオが両社ともそろって15%台の下げを記録している。これが今月のみの特異な値であるのなら良いが、来月以降も続くのであれば、ラジオ分野にとっては「何かが起きている」予兆となるのかもしれない。

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