日本の法人税は世界一ィィィ! 主要国の法人税率をグラフ化してみる

2010/03/22 12:10

法人税イメージ先日【ツイッター経由】でOECD加盟諸国の法人税の推移を示したページ【International corporate tax rates 2001 and 2008】を教えてもらった。こちらは【オーストラリア政府の税金関連のページ】に掲載されていたグラフをそのまま引用したもので、それはさらに【OECDの税金関連のデータベース】の数字を利用したものだった。図式化されたグラフでは具体的な数字が表記されていなかったこともあり、せっかくなのでOECDの元データまでさかのぼり、グラフを再構築してみることにした。

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元データの場所は上記のURLにあるページの、「Taxation of corporate and capital income」の部分。このうち「Table II.1」が対象となる。このファイルには1981年-2009年のOECD加盟諸国(全加盟国では無い)法人税の推移が記載されている。もっとも古いデータは具体的な値が記載されていなかったり、複数の様式が併記されているので、単純比較は少々困難。

掲載されている法人税は「中央政府が徴収する法人税」「実効税率を反映させた法人税」「地方政府(地方自治体、州)が徴収する法人税(法人住民税や法人事業税)」「最終的な実効税率の法人税」が記載されている。例えば日本の場合は法人事業税は損益として算出されているなど、ややこしい計算が必要になる(単純に法人税+法人住民税+法人事業税=実効税率の法人税、では無い)。OECDのデータではそのあたりを計算した上で「最終的な実効税率の法人税」が算出されており、グラフ化する際にわざわざ国別の事例を調べる必要は無い。

データを見ると「地方政府(地方自治体、州)が徴収する法人税(法人住民税や法人事業税)」の項目で多くの国が空白のまま。つまり法人住民税が存在せず、これが法人税そのものを低い水準にしているのが分かる。具体的な例を挙げると【スペインの場合】、法人税は課税対象額の69万2000ユーロに対する35%(※当時。現在は30%)で24万2200ユーロという値が確認できる。

ともあれ、法人税の実効税率について最新データの2009年、そして10年前の1999年の値をグラフ化したのが次の図。日本を赤塗りして、分かりやすくしておいた。

↑ 各国法人税(実効税率)(1999年)(アイスランド、韓国、ルクセンブルグ、トルコは2000年)
↑ 各国法人税(実効税率)(1999年)(アイスランド、韓国、ルクセンブルグ、トルコは2000年)

↑ 各国法人税(実効税率)(2009年)(ポルトガルのみ2008年)
↑ 各国法人税(実効税率)(2009年)(ポルトガルのみ2008年)

後ほど改めて触れるが、ほぼすべての国で法人税は減少傾向にあることが分かる。これは各国の企業における競争力の充足と、他国からの企業誘因を目指してのもの。単純に例えれば、宿屋が並ぶ宿場町で、宿泊料金の値下げ競争をしているようなものだ。もちろん企業の競争力や拠点国の選択は、税金だけを決定要素とするものではない。しかし税金の高い・安いは単純明快にして重要な要素であるのも事実。

例えば1999年時点でトップの法人税率を見せていたドイツは、何回かに分けて法人税を引き下げている。これは企業の競争力回復に期待してのもので、代わりにVAT(付加価値税)の引き上げなどを行い、税収のバランスをとっている。

日本も法人住民税の変更などで幾分実効税率は下がっているが、焼け石に水。2009年の時点では「OECD諸国中もっとも法人税の高い国」という、あまり嬉しくない冠を得ていることになる。

ちなみに実効税率で、この10年間にどれだけ変移を見せたかを算出したのが次のグラフ。並びは2009年時点での実効税率の順位に従っている。

↑ 10年の間の法人税の変移(1999年-2009年)
↑ 10年の間の法人税の変移(1999年-2009年)

ドイツが大胆な法人税の減税を行ったことがひと目で分かる。また、多くの国で10-15%ほどの法人税減税をしていること、数%台の減税しかしていないのは日本やアメリカ、イギリスなど少数派でしかないことも見て取れる。



国内の産業を活性化し、さらに海外から有力な企業を呼び集めるためには、負担となる法人税の減税は有効な手立ての一つ。今回のデータを見ると、日本は世界有数の高法人税国であることが確認できる。にも関わらず、税収不足が叫ばれている状況にあるのはなぜだろう。

今データからだけではすべてを断じることは出来ないが、いくつか推論してみると、

・法人住民税の問題(中央政府が徴収する法人税に限れば、日本はずば抜けて高いわけでは無く、「高め」の範ちゅうに収まる)
・効率的に法人税が集まっていない(会計の「工夫」による赤字決算化など)
・不明瞭、理不尽な理由で減額や免税されている要素が多い(法人税に限らず)
・優遇するべきところに優遇せず、優遇しなくとも何の問題もないところを優遇している
 (法人税に限らず)

などが考えられる。ともあれ、第三者の目から見れば「こんな措置、おかしいよね。誰が得をしているの? 」という類の(税金面での)既得権益を打破しなければ、財政の改善は図れない。逆にいえばそれを成し遂げれば、日本経済は新たな夜明けを迎えることが出来るに違いない。

あるいはこれこそが、20年来の景気低迷の最大要因なのかもしれない。風呂桶に水を注ぎ足そうと蛇口をひねっても、あちこちにすき間が空いて水がこぼれているようなものだからだ。

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