【更新】ケーブルテレビやクーポンが伸びて、その他は……アメリカの広告事情

2010/03/22 19:35

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アメリカのテレビイメージニールセン・カンパニー合同会社は2010年3月17日、2009年度(2009年1-12月)におけるアメリカの広告費用動向を発表した。それによると2009年において前年と比べてもっとも広告費用が増加したメディアは「スペイン語ケーブルテレビ」であることが分かった。【アメリカで伸びる「テレビを観る時間」……レコーダーの普及、不景気と選挙が原因か】などにもあるように、景気の後退によるテレビ視聴時間の伸びが、広告費の増減と少なからず影響があるように見える。また、紙媒体においては地域向けの雑誌が特に大きな広告削減の荒波にもまれていることが分かる([発表リリース])。


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発表されたデータを元に、2009年における前年(2008年)との広告費推移をメディア別にグラフ化したのが次の図。

↑ 2009年度アメリカのメディア別広告費用前年比増加率(ニールセン・カンパニー調査)
↑ 2009年度アメリカのメディア別広告費用前年比増加率(ニールセン・カンパニー調査)

前年比プラスとなったメディアはごく少数で、ほとんどが前年比でマイナスの値を示している。リリースによればこれでもまだ2008年の状況と比べれば改善の方向を見せているとのこと。減少傾向が続いていることに違いは無いが、減少幅は縮小を見せ、下げ止まりの前兆をうかがわせるものとなっている(逆にいえば、まだ下げ続けるだろう、ということ)。

興味深いのは同じテレビでも、ケーブルテレビが伸び、全国的なテレビが落ち込みを見せていること。日本でも衛星テレビの経営が比較的堅調なところ(【テレビ放送は本当に凋落の真っただ中なのか? 総務省データの衛星放送部分を見直してみる】)を見ると、ニーズを絞ったテレビが受けるのは、日米共に変わらない状況といえる。また、【アメリカで 大いに流行る クーポンは 紙ではなくて デジタル形式】などで解説しているが、不景気によりクーポンが人気を集め、その業界の広告が増えたのも皮肉な話。

冒頭でも触れているが、下げ幅は縮小傾向にあるとはいえ、テレビや新聞、雑誌の落ち込み度は厳しいものがある。特にマイナー系雑誌の広告はその「お株」をインターネットに食われたせいか、「ボコボコと」という擬音が当てはまるくらいに広告が減少しているのが分かる。

また、インターネット広告は0.1%のプラス。正直、シケたものだが、これには有料の検索広告やテキストのみのもの、有料サイト、成功報酬型キャンペーン、電子メールキャンペーンなど、最近の多種多様な形態のものは対象外となっており、それらを足せばもう少し上乗せされる可能性はある。

広告費が増加するということは、そのメディアに注目が集まっている、視聴者の関心が寄せられている、メディア自身に勢いがある(あるいはそう思われている)ことを意味する。今件はアメリカでのメディアのすう勢を推し量るには、よいデータといえよう。


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