結婚した後もお仕事は続けられる? 女性の結婚後の就業状況

2010/03/23 05:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
就業女性イメージ厚生労働省は2010年3月17日、第7回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概要を発表した。そのデータによると、2002年時点で独身で就業しており、2008年までに結婚した女性について、結婚後も同一の就業を継続できた人は54.2%であることが分かった。10.6%は転職し、30.8%は離職する結果となっている。また、正規雇用者よりも非正規雇用者の方が離職率が高いなど、立ち位置によって就業継続率などにはさまざまな違いが確認できる(【発表リリース】)。


スポンサードリンク


今調査は2002年時点で20-34歳だった男女に対し、それ以降継続して同一人物・配偶者を対象に毎年行っているもので、今回発表されたのは第7回調査の結果(2008年11月5日実施、26-40歳)。調査方式は調査員があらかじめ配布した調査票に被調査者が自ら記入し、密封したものを後日調査員が回収する方法。引越をしている場合は、厚生労働省から郵送された調査票に被調査者が自ら記入し、郵送により厚生労働省に提出する方法により行った。今回調査における調査票回収数は1万5337件。

就業している女性にとって、結婚は人生そのものはもちろん、仕事においても大きな節目となる。結婚前後にはお休みを余儀なくされるし、結婚後のこと(出産や家事など)を考えると雇用主から見れば雇用リスクが高まるからだ。また、本人にしても結婚を機会に家庭入りしようという考えを持つ人も少なくない。

今調査の第一回目にあたり2002年時点で独身者の女性のうち、その後の6年のうちに結婚し、結婚前に仕事をしていた女性について、「結婚後に仕事はどうしたか」を尋ねたところ、同じ仕事を続けている人は54.2%だった。転職した人は10.6%、離職は30.8%と、大体5対1対3の割合となっている。

↑ 結婚した女性の就業継続の有無
↑ 結婚した女性の就業継続の有無

正規・非正規別では非正規の方が継続出来た割合は小さい。雇用している側もされる側も、正規雇用と比べて離職しやすいのが非正規雇用の特徴であるだけに、ある意味当然の結果といえる。なお、転職・離職の回答は「本人が継続就業を望んでいた」「望んでいない」双方の事例を含んでいることに注意。

年齢、そして正規・非正規との掛け合わせで見ると……
一方これを年齢階層別に見ると、若年層ほど「結婚退職」をした女性が多いことが分かる。

↑ 年齢階級別にみた結婚した女性の就業継続の有無
↑ 年齢階級別にみた結婚した女性の就業継続の有無

若年層の場合はやはり結婚した時にスッパリと退職し、家庭に入るのだろう。一方で歳を経るほど同一就業を継続する・できるのは、社内でもそれなりの地位につき、仕事そのものが楽しくなったことや、企業側でも足止めしているものと思われる。

また、数としては少数ではあるが、転職先として正規社員より非正規社員の割合がかなり多いことが確認できる。日本における派遣業普及のきっかけの一つが、結婚なり出産で休業・退職した女性陣の「もう一度働きたい」というニーズに応えるためのものであったことを考えると、これはこれで当然の結果と言える。

さてこれらを掛け合わせたもの、つまり正規・正規ごとに年齢階層別で結婚後の女性の就業状態を見ると、興味深い傾向が見えてくる。

↑ 年齢階級別にみた結婚した女性の就業継続の有無(結婚前調査時の状況別)
↑ 年齢階級別にみた結婚した女性の就業継続の有無(結婚前調査時の状況別)

大雑把にまとめると、正規社員では結婚後の就業状態の変化は、年齢別でさほど違いは無い。やや26-35歳で継続できる率が高まるが、大体6割程度。転職派は少なく、3割前後が離職する。

一方、結婚前に非正規雇用だった人は「年齢が上になるほど同一就業を継続できる確率が高くなる」。36-40歳の81.3%という値は驚くに値するレベル。一方で若い女性ほど再就職せず・出来ずに離職している人が多く、20代前半では実に6割近くが「離職」と答えている。

また、結婚前の職業が非正規雇用の女性は、転職時に再び別の非正規雇用社員として雇われる場合も多い。36-40歳は別にして、1割強がその道を歩んでいる。家計を支えるために仕方なく、なのか、その仕事が好きで、なのかまでは数字からだけでは読みとれないが、注目に値するものといえる。



繰り返しになるが今回の数字はあくまでも「結婚後の就業状態を尋ねた結果」の数字でしか無く、それぞれ個人がどのような思いでその結果に至ったかまでは反映されていない。例えば20代前半では41.8%が結婚後離職したと回答しているが、その人たちすべてが「家庭に入るので仕事はすっぱり辞めます」という決意によるものなのか、「結婚を機会に辞めさせられ、その後再就職を考えているけど職が見つからない」なのかまでは分からない。

ただし結婚前の女性が結婚後も同じ職場に居続けることは、特に若年層、そして非正規雇用においては、難しいことを知っておいた方が良いだろう。


スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS