読売1000万部確保、毎日は前期比マイナス1.75%…新聞販売部数動向(2009年分データ更新・補完版)

2010/03/12 07:15

先に【1年間で114万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2009年分データ暫定更新版)】で各新聞社の発行部数などについての最新情報を反映した各種グラフを作成した際、【読売新聞社の広告ガイドページ】などに日本ABC協会提供による「新聞発行社レポート」の最新データが反映されておらず、各種グラフ化が出来ない旨をお伝えした。これについて2010年3月11日までに、そのデータ更新が行われ、内容が2009年7-12月期のものに指し代わっていることが確認された。そこで今回は、前回グラフ作成・分析が出来なかった主要全国紙の販売部数などについて触れてみることにする。

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まずは最新データを元にした、主要全国紙、すなわち読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日経新聞・産経新聞の計5紙の「販売部数」。これは各紙広告関連ページで取得することができるが、【新聞広告データアーカイブ】からリンクをたどり、【読売新聞社の広告ガイドページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2009年7月-12月平均」で容易に取得することができる。なおこれは朝刊「販売」部数。

↑ 2009年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
↑ 2009年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

「販売部数1000万部超」をうたう読売新聞が、ギリギリながらも1000万部を確保し、トップの座についている。次いで朝日新聞、かなり下がって毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞の順となる。いくつかの新聞については、その販売数に関して意外に思った人も少なくないだろう。先日発売された『東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔』によれば、読売新聞が1000万部を維持、むしろ部数を伸ばしているのは、「ホテルなどへの営業で即売部数が伸び続けている」のが要因とのこと。

せっかくなのでいくつか比較グラフを生成する。まずは前回記事で掲載した2009年前期との差異。単純計算で半年の間にどれだけ部数が動いたかを知ることができる。

↑ 2009年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2009年前期との比較)
↑ 2009年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2009年前期との比較)

ただでさえ絶対数的な発行部数が五大紙中もっとも少ない産経新聞が、減少率でも最大の値を示している。色々な意味で後が無い。また、それ以外では読売新聞の奮闘ぶり、毎日新聞の下げ幅が目に留まる。なお先の「東洋経済」の特集号では毎日新聞をして「純資産はわずか81億円」「主要資産は担保に入っており」などの表記が見られ、財務的にも危機が迫っている。

さて当方(不破)は日本ABC協会会員でも無ければ新聞関係者でもないので、過去のデータを取得することはできない。さらに日本ABC協会では関連データは非公開の方針のようで、これらのデータの過去分は確認できなかった。しかし、いわゆるウェブ魚拓などを使ってデータのサルベージを行い、2005年-2007年までのデータを確認することができた。ところが肝心の2008年分が無く、推移グラフを作ることは不可能となってしまった(さらにいえば、産経新聞の部数は2007年以降の掲載となっている)。もしどなたか2008年前期・後期のデータをお持ちの人がいたら、お教えいただけるとありがたい……というあたりは前回記事から状況に変化は無い。

そこで今回の2009年後期部数と比較する形で、2005年後期・2007年後期との差異を%で算出し、発行部数の減少ぶりを見てみることにした(産経新聞の2005年後期については別ルートから、該当期間の単月データを取得して流用)。

↑ それぞれの過去の期と比べた、2009年後期朝刊販売数の差異
↑ それぞれの過去の期と比べた、2009年後期朝刊販売数の差異

見方としては例えば毎日新聞なら、「2005年後期と比べると2009年後期の販売部数はマイナス5.27%」「2007年後期と比べると2009年後期の販売部数はマイナス4.45%」という感じに読めば良い。つまり最新期を基準として、該当期と比べてどれだけ部数が減っているかということだ。

これを見ると、産経新聞が非常に大きく部数を減少しているのがひと目で分かる。しかも「2005年との差異」よりも「2007年との差異」の方が(マイナスの絶対値が)大きいということは、少なくとも2005年から2007年までは部数が増加していることを表している。それ以外は読売新聞がほぼ横ばい、他の3紙は漸次部数が減少中ということだ。

またこれらのグラフを見ると、毎日新聞の減少ぶりや読売新聞・日経新聞の奮闘のようすなど、【この1年、日経わずかに読者増。毎日・専門新聞激減!?】の調査結果と、各紙の相対的な位置において大きな違いはないように見える(数字そのものの規模には違いがあるが)。一部に「データの精密度において信頼が出来ない」という意見もいただいたが、少なくともそのような心配は要らなかったわけだ。さらに先日【赤字に転落した日経新聞の2009 年12月期決算短信をグラフ化してみる】でお伝えしたように、ほとんど部数を減らしていない日経新聞ですら赤字に転落した事を考えると、新聞社が皆、高コストな体質にあり、そこから脱しきれていないことを想像させる。



半期前のデータを示した以前の記事【新聞の販売部数などをグラフ化してみる(下)……主要全国紙編とオマケ】の後半、オマケ部分、いわゆる「広告費の単価減少が著しいらしい」「いわゆる押し紙問題」については何ら進展がない。むしろ【新聞や雑誌の買われ方はこの10年でどのように変化したのか……週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる (追補編)】【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】を見る限り、事態は悪化の一途をたどっているようにしか見えない。

海外の動向を見る限り、メディアの進化や浸透などを受けて、現行スタイルの新聞が勢いを減じ、さらに後ずさりするのは仕方の無い話。そこから周囲を見渡し、足元を眺め、その上で新しい靴を履いて一歩前に踏み出せるかいなかが、各新聞社に求められている。それが出来なければ、背面にある底なし沼に落ちていくだけだ。

もしその「底なし沼」への道をぬるま湯的に(あるいは現実逃避、または上層部の「勝ち逃げ的」思考で)楽しんでいるのなら、それもまた選択肢の一つ。ただその「黄泉への道」は自らのみで堪能して欲しいものであり、周囲(読者、そして日本社会全般)を巻き込むのは許されざるお話。ここ数年来特に見受けられる各新聞社の動向を見る限り、そう感じざるを得ない。


★追記:
【ツイッター経由】で「部数減少率がそれほどでもないのに(利益ががた落ちで)新聞(の財政状態)が危機だとすれば、広告減がいかに影響が大きいかが分かる」という意見をいただきました。広告出稿の量や実単価についてはもちろんABC協会のデータにはありませんし、各社も公開はしていませんが、確かにそのように推論できます。また、これは経済産業省の広告費における最新データ【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2010年3月発表分)】の傾向とも合致します。

さらに、それだけ「対価としての広告費を削らねばならないほど媒体力が落ちている」ということへの間接的な裏付けにもなるでしょう。

(Thanks to sakaiosamu!)

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