2009年以降に耐震診断をした持ち家住宅は8.4%、関東や震災被災地域、地震リスク地域で高め(2015年)(最新)

2015/03/16 14:01

昨今の住宅は強度の耐震仕様が当たり前のものとなっているが、経年劣化やさまざまな事象による強度の減退でリスクが漸増する場合もあり、定期的な検査と必要ならば修復などの状況改善が求められる。また建設時期によっては十分な耐震仕様が成されていない場合もある。今回は総務省統計局が2015年2月26日に発表した、2013年10月1日時点における住宅・土地統計調査の確定集計結果を元に、持ち家住宅における耐震診断経験の状況を確認していくことにする。前調査以降の調査経歴、つまり2009年以降2013年までの状況を確認することから、2011年3月の震災を挟んだ統計結果となる。震災を経て、どれほどの持ち家住宅があらためて、あるいは初めて耐震診断をしたのかを知る、良い機会となるに違いない(【発表ページ:平成25年住宅・土地統計調査】)。

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全体では8.4%、共同住宅では19.4%…2009年以降の耐震診断経験


次に示すのは建て方別における持ち家の、2009年以降における耐震診断の有無を尋ねた結果。全体では8.4%が耐震診断をしたと答え、7.2%は耐震性の確保が確認でき、1.2%は耐震性の確保が出来ておらず、要補強の判定が下されたとの結果が出ている。

↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(建て方別持家に占める割合)(2013年住宅・土地統計調査)
↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(建て方別持家に占める割合)(2013年住宅・土地統計調査)

注意をしてほしいのは、「2009年以降に耐震診断をしていない」イコール「耐震性能を持たない住宅」ではないこと。建築当初から耐震補強・性能を持つ住宅もあれば、診断を受けずに補強工事をした場合もある。また、2009年以前にすでに耐震診断を受け、あるいはその結果から補強を行い、再度診断の必要は無しという状態の住宅もある。実際、内閣府の調査結果【耐震補強工事してますか? 「予定が無いネ」の人は65.5%・最大の理由は「お金が無いネ」】では2010年の時点で「すでに耐震性あり」の回答者は23.0%に達している。

↑ 耐震補強工事の実施状況(内閣府調査、2010年時点、再録)
↑ 耐震補強工事の実施状況(内閣府調査、2010年時点、再録)

種類別に見ると、やはり共同住宅の方が診断率が高い。管理会社によるサービスの一環としての実施で行われる場合もあれば、一部居住者が不安を抱き診断を希望した場合、住宅全体が診断対象となるのが原因だろう。前回調査では以前建設業界を震撼させた「耐震強度偽装事件」で大きな機運が出来たが、今回調査分では震災によるところが大きかったに違いない。

都道府県別、居住者別、建築時期別…


これをいくつかの属性別に振り分けて確認していくことにする。まずは対象となる持ち家の建築時期別。

↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(2013年住宅・土地統計調査)(建築時期別)
↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(2013年住宅・土地統計調査)(建築時期別)

今回の問いは2009年以降(調査年の2013年まで)に耐震診断を行ったか否かとの問いとなっている。2008年までの建築住宅は、それ以前に耐震診断をしている可能性が高く、それ以降改めて診断をする判断に迫られる人はさほど多くない。そのため、2009年以降と2008年までとの間には大きな差異が生じている。

それでも2009年以降の建築時期の持ち家に限っても、診断率は3割から4割程度に留まっている。結果として耐震性が十分でないとの結果が出た住宅は1%前後。まずい状況が判明しただけでも良しとすべきだろう。残りの7割から6割程度の住宅が、すでに十分な耐震強度を有している(と持ち主が確認している)ことを願わずにはいられない。

続いて居住者の構成別。特に高齢者にスポットを当てた仕切りにしている。

↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(2013年住宅・土地統計調査)(居住世帯構成別)
↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(2013年住宅・土地統計調査)(居住世帯構成別)

高齢者が居住する持ち家の方が概して診断率は低い。すでに十分な耐震性が確保されているから診断の必要性が無いのか、それとも診断をする余裕が無いのかまでは今調査からは判断できないのが残念。ただし「耐震診断・耐震性非確保」の回答率が全体と比べて高めに出ている状況を見るに、多分に高齢者が住んでいる住宅は経年劣化が進んでおり、耐震性に問題があるものが多いことが推測される。地震時のリスクは高齢者の方が高いことを合わせて考えると、大いに問題視されるべき結果ではある。

最後は都道府県別の数字を算出し、高低それぞれ10位の地域を抽出したもの。

↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(2013年住宅・土地統計調査)(都道府県別)
↑ 2009年以降の住宅の耐震診断の有無(持家)(2013年住宅・土地統計調査)(都道府県別)

住宅の新陳代謝が激しい東京をはじめ、先の震災で大きな被害を受けた地域、さらには震災を受けて大規模地震の発生リスクが高いとされる地域で高い値が生じている。なお長野県で高値が出ているのは、2011年の東日本大地震・震災翌日に発生した、長野県北部地震によるところが大きいと考えて良い。

一方で低めの値が出ているのは、西日本を中心とした地震リスクが低い地域が多分を占めている。これも地震に対する意識によるところなのだろう。



本文中でも触れているが、今件はあくまでも2009年以降における診断率であり、その値の高さがそのまま耐震性のある住宅普及率の高さにつながるわけではない。しかし耐震診断率の高さは、地震に対する意識や耐震性住宅普及率を底上げする要素となっているのも事実。持家に住み、耐震性の保証が元々無く、あるいは過去に行ったものの現状に関して気になる人は、まずは公的な補助制度があるか否かについて、お役所などに連絡を入れてみてはいかがだろうか。


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